4日に終了したフィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第2戦、スケートカナダ女子で初優勝し、日本選手でGP最多の4勝目を挙げた浅田真央(愛知・中京大中京高)に不安材料が出てきた。3回転ルッツの跳び方で今季からの厳しい採点基準の洗礼を浴びたからだ。
世界選手権2位の浅田真はルッツをショートプログラム(SP)、フリーともに着氷したが、「踏み切り違反」のマークでマイナス採点。ルッツは左足のアウトサイドのエッジで踏み切るが、浅田真は跳ぶ直前にフリップと呼ばれるインサイドのエッジになったからだ。国際連盟ジャッジの加藤真弓・日本連盟理事は「着氷の回転不足の確認はビデオの再生ができるが、踏み切りの確認はできない。よっぽどじゃないとマークは付かないのに」と言った。
昨季までも浅田真のルッツ、世界女王の安藤美姫(トヨタ自動車)のフリップの踏み切りは疑わしいと言われたが、安藤は第1戦のスケートアメリカで減点なしと改良に努めた。対照的に違反の浅田真は今大会で自己ベストよりも22点近くも下回って「シーズンが始まったし、直そうとするとほかも崩れる」と得意のジャンプの減点に神妙な表情をのぞかせた。
欧米主導の国際連盟のジャッジを集めたセミナーで見せる模範映像は世界選手権3位の金ヨ児(キム・ヨナ、韓国)のジャンプばかりが出ていた。日本連盟関係者は世界選手権女子で「日本の2人がワンツーを占めたため、厳しくなった“政治的”な側面もあると思う」と日本つぶしに警戒感を強めている。(共同)
毎日新聞 2007年11月5日 17時10分