ニュース:生活 RSS feed
【やばいぞ日本】第4部 忘れてしまったもの(2)「お前ら全員辞めさせる」 (3/4ページ)
このニュースのトピックス:学校教育
■強まった教育への「消費者」意識
理不尽な親が目立つようになった背景はなんだろう。プロ教師の会を主宰する日本教育大学院大学の河上亮一教授は「『国民』を育てる、という公教育の基本理念を見失ってしまったことが最大の要因ではないか」と指摘する。
河上教授によれば、今の親たちが中学生だった1980年代、学校を取り巻く環境が大きく変わった。個人主義が声高に叫ばれ、制服や校則に反対する“学校たたき”が盛んになった。規律や権威といった公教育には欠かせない要素が次々に失われていった。
90年代以降になると、親が学校に対して「消費者」意識を持つようになり、逆風は一層強くなった。教育サービスという言葉が浸透し、高い税金を払っているのだから、教員は親のいうことを聞いて当然とする意識もみられるようになった。代わりに、学校や教師に対する感謝が忘れ去られていった。
こうした時代を過ごした今の親が、「消費者」意識を暴走させたのがモンスターペアレントだと、河上教授はみる。
さらに問題は、理不尽な親の行動に周囲が引っ張られてしまうことだ。
数年前、都内の小学校教員が新聞を使った授業をしようとしたところ、ある児童がスポーツ紙を持ってきた。その中に成人向けのページが含まれていたため、教員は使用を控えた。
そのことを曲解した親の一人が、日ごろの不満もあって「あの教師は変態だ」などのメールを複数の親に流した。
このことが児童にも伝わった。悪乗りした児童が授業中に「変態先生」と大声を上げたため、教員は児童の頭を軽くたたき、静かにするよう注意した。すると今度は「暴力教師」とのメールが一斉に流された。