民主党の小沢一郎代表は6日夜、鳩山由紀夫幹事長らに対し、辞意を撤回する意向を伝えた。鳩山氏らが続投を求める意見が党内の大勢を占めていることを伝え、翻意を改めて促したところ、小沢氏は「恥をさらすようだが、皆さんの意向を受けて、ぜひもう一度頑張りたい」と慰留を受け入れる考えを表明した。4日から続いた小沢氏の辞意をめぐる混乱はひとまず決着がついた。ただ、党内には小沢氏への批判も強まっており求心力低下は必至。民主党が受けた痛手は大きく、当面の政局は与党主導が強まるとみられる。
民主党は常任幹事会で慰留方針を決めたのに続き、6日午後には当選回数別会合で意見聴取し、党執行部の慰留方針は大筋で容認された。
これを受け、鳩山氏と菅直人代表代行、輿石東参院議員会長が同日夜、国会近くの小沢氏の個人事務所を訪問。当選回数別会合の発言をまとめた文書を手渡して「党内の多くは『ぜひ続投していただきたい』という声だ」と伝えた。小沢氏がこれを受け入れたことから、鳩山氏は預かっていた辞表を小沢氏に返した。
鳩山氏は会談後、記者団に「今回のことを雨降って地固まるという状況に何としても変えていかなければならない」と強調。また、小沢氏が7日午後の両院議員懇談会で続投を正式に表明し、その後の記者会見で続投の経緯などを説明する予定だと説明した。
ただ、当選回数別会合では「小沢代表は言葉が過ぎたかもしれないが、もう一度、小沢代表のもとで頑張ろう」などの意見が多く出される一方で、「小沢代表に『政権担当能力がない』とまで言われて一緒にやっていくことは難しい」といった不満も続出。「慰留の必要はない」との強い反発も上がっており、代表職にとどまる小沢氏の党運営が厳しいものになることをうかがわせた。
当選回数別会合に先立ち、羽田孜元首相、渡部恒三前最高顧問、石井一副代表がJR東京駅近くのホテルに小沢氏を訪ね、辞意撤回を要請。小沢氏は当選回数別会合の結果を踏まえて判断する考えを示していた。
小沢氏は5日、鳩山氏らの慰留に対して「4日に辞表を出したばかりだ。心の整理の時間が要るので待ってほしい」と述べ、回答を保留していた。【川上克己】
毎日新聞 2007年11月6日 21時10分 (最終更新時間 11月6日 23時07分)