F15構造的欠陥か/米軍、飛行停止措置
空自200機 嘉手納53機も/米国墜落事故受け
【嘉手納】米ミズーリ州空軍所属のF15戦闘機が今月二日、同州で墜落する事故があり、米軍嘉手納基地報道部は五日、「事故原因が特定されるまで嘉手納基地所属のF15戦闘機の飛行を停止する措置を取った」と発表した。事故原因について米空軍は「航空機に構造上の欠陥が起きた可能性」を指摘している。嘉手納基地周辺自治体の首長らは「F15は欠陥機であり、即時撤去するべきだ」と反発しており、六日にも米側への申し入れなど対応を検討する。この事故を受け、航空自衛隊のF15約二百機も飛行を見合わせていることが五日分かった。
飛行停止措置は米本土だけでなく、米国外の基地でも取られている。F15は嘉手納基地には五十三機が配備されている。
米空軍公式ホームページ(HP)は、事故原因について「初期段階の調査は、航空機に構造上の欠陥が起きた可能性を示している」と指摘したが、具体的な言及はない。
嘉手納基地報道部は「事故原因のさらなる検査、分析を終えるまで」停止措置は続くと説明。期間は明らかにしていない。
同基地での停止措置は四日に始まり、仮に戦闘任務が発生した場合は、飛行するという。
航空自衛隊航空幕僚監部によると、在日米軍から四日午前、F15の飛行停止措置の連絡があった。この後、小松(石川県)、新田原基地(宮崎県)などで飛行を見合わせている。
防衛省は二〇〇八年度予算概算要求で航空自衛隊那覇基地の旧型主力戦闘機F4部隊(約二十機)と百里基地(茨城県)のF15部隊(約二十機)の入れ替えに約一億九千万円を盛り込み、同年度中の入れ替えを目指している。
AP通信などによると、墜落したF15は一対一の戦闘訓練を行っていたが、米ミズーリ州ボス近くの森林地帯に墜落した。操縦士一人が緊急脱出したが、腕の骨を折るなどの大けが。近隣の建物や人身への被害はなく、同行した三機は無事に帰還したという。
嘉手納基地を抱える嘉手納、北谷、沖縄の三自治体には五日、同基地や沖縄防衛局から連絡があった。同飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)会長の野国昌春北谷町長は「三連協でF15は欠陥機と指摘してきたことが証明された。F15は即時撤去するべきで、六日にも何らかの措置を講じるよう事務局に指示したい」と話した。
嘉手納基地のF15の飛行停止措置に伴い、航空自衛隊小松基地(石川県)で五日から始まる予定だった訓練移転は実施されなかった。小松基地によると訓練移転の日程は「未定」という。
米空軍は一九七五年にF15を採用し、四百機以上を保有。現在は米本土やアラスカ、ハワイ、英国、中東などにも配備されている。
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「欠陥機」一斉に反発/住民、即撤去求める
【中部】「飛行停止でなく、撤去すべきだ」。F15戦闘機が米本国で墜落事故を起こし、嘉手納基地での運用を停止していることが明らかになった五日、周辺の首長や住民らは一斉に反発し、同機の早急撤去を求めた。同基地に配備されているF15戦闘機は過去にも墜落事故などを繰り返し、そのたびに飛行を再開。住宅地上空を飛行している。「いつ事故が起きるか分からない欠陥機が、嘉手納基地に配備されているとは恐ろしい」。住民の不安と不信感は高まっている。
F15戦闘機の撤去を求めてきた嘉手納町の宮城篤実町長は「事故の頻発具合から、F15には重大な欠陥があるのではと懸念していた。今回の事故で地域住民の不安や不信感は一層高まった。あらためて三連協としてF15の撤去を求めていきたい」と述べた。
嘉手納町議会基地対策特別委員会の田仲康榮委員長は、墜落した機体がかつて嘉手納基地に所属していた可能性もあると指摘した上で「米軍が国内外に向けて停止措置を講じざるを得ない大きな欠陥が見つかったのではないか」と懸念した。
滑走路に隣接する同町屋良地区に住む伊波勝雄さん(68)は「住民は以前から欠陥機と指摘していた。F15は普段から未明離陸などで騒音をまき散らしている」と批判。
北谷町砂辺区の松田正二区長は「運用停止ということは、墜落の恐れがあるということだ。そんな飛行機が嘉手納基地に配備されているのなら恐ろしいことだ」、沖縄市知花の田島清信自治会長も「F15は騒音もひどいが、過去にエンジンの一部が落ちた事故もあった。いつ飛行再開されるか心配だ」と不安を語った。
飛行停止は重大 根本的に問題か
航空評論家青木謙知さんの話 米本土の事故で嘉手納基地のF15にも飛行停止を命じるとは重大だ。通常発生するようなトラブルと異なり、F15の根本にかかわる問題があったのではないか。戦闘訓練中の墜落であれば目撃した操縦士が証言でき、どのような問題が発生したか米軍は分かるはずだ。航空機の安全確保は重要で、飛行停止は必要な措置だろう。
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