静止画に、音声だけがリアルタイムで乗っかる。そんな“中継”が一般的だった国会の証人喚問は、テレビ業界では「紙芝居」とも言われてきました。
防衛省の守屋武昌・前事務次官の場合は、静止画を、との希望がかなわず、正真正銘の生中継に。表情はどうか。顔色は。テレビにかじりついた視聴者も多かったでしょう。
その姿に、フラッシュの放列。活字メディアのカメラマンも懸命で、「ベストショット」を外すまいという気迫が感じられました。
もともと、新聞は視覚に訴える情報の量では映像にはかないません。それでも、通常のニュースでは多くて三枚程度しか掲載できない写真のよしあしで、記事そのものの迫力は違ってきます。
新聞のビジュアル化をどうするか。経済部が担当する地方経済面でも、これまでは一枚だった写真を二枚にしたり、極力地図を付けるなど、試行錯誤の繰り返しです。
ただ、経済の分野では、工場の外観や生産ラインといった地味な写真がどうしても主体になりがち。新製品でも、部品などの場合は、ぱっと見の分かりにくさは否めません。
「映像は、ズドンと来るぞ」。数年前、テレビせとうち(TSC)への出向時に前任者から言われ、実際に二年半体験しました。
新聞社に復帰後は、記者にどんなカットを指示し、出てきた複数の写真からどれを選ぶか悩ましい限り。とはいえ、土俵は違っても、求められるものは同じではないかと考えています。
(経済部・大森知彦)