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社説

授業時間増 「詰め込み」は避けたい(11月5日)

 中央教育審議会の教育課程部会が、学習指導要領を改定して小中学校の授業時間数を一割程度増やす方針をまとめた。

 授業時間が増えるのは約三十年ぶりだ。文部科学省が進めてきた「ゆとり教育」の転換となる。

 数学(算数)や理科、英語などの主要教科の時間が増える。中教審は、基礎知識を踏まえ、活用する力を身につけるのが目的だと説明している。

 この「脱ゆとり」教育が、かつての「詰め込み教育」に戻ってしまってはこれまで積み重ねた教育の経験や意義が見失われてしまうだろう。

 暗記中心に偏らず、子どもに「考える力」を身につけさせるためには、教員側にも「教える力」を鍛えることが求められる。

 教員増や優秀な人材確保など、現場の創意工夫を保証する文科省の政策も欠かせない。

 中教審が「脱ゆとり」を急ぐのは、政府の教育再生会議などから強い学力低下批判が持ち上がったからだ。

 授業増は学力向上の手だての一つだが、問題は単純ではない。

 経済協力開発機構(OECD)の国際学力調査では、授業時間が日本より少ないフィンランドが好成績をあげている。授業増が学力向上につながると考えるのは早計だろう。

 授業時間を増やしても、知識を暗記するだけの詰め込みに終始するならば肝心の「考える力」も育つまい。

 OECDは、日本の子どもの問題点は学ぶ意欲そのものが低いことだと指摘している。その結果、「できる子」と「そうでない子」の格差が広がっていると分析している。

 授業増の結果、学ぶ意欲の乏しい子どもがさらに勉強嫌いになったのでは意味がない。それではますます学力格差が広がるだけだろう。

 子どもの興味や関心をかきたてる授業の工夫や、暗記に頼らない指導など教える技術の向上が欠かせない。

 主要教科に代わって、大幅に削減されるのが「総合的な学習の時間」(総合学習)だ。

 子どもが自ら課題を見つけ解決する「生きる力」を身につけるため、五年前から小中学校に導入された。

 中教審は「生きる力」をめぐって文科省と社会の認識にずれがあったことを認め、異例の反省文をまとめた。

 総合学習がうまくいかなかったとすれば、その原因は何だろう。

 文科省は、総合学習のやり方や内容を、すべて学校に「丸投げ」した。

 現場では教科書もなく、子どもの自主性を尊重するあまり、指導に尻込みしたという教員も多い。

 文科省と学校は、総合学習の成否を検証し教訓を引き出す必要がある。総合学習の導入を朝令暮改の政策に終わらせてはならない。

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