◇全日空と合わせ年間座席60万席
日本航空は31日、静岡空港に09年3月の開港時から新千歳(北海道)に1日1往復、福岡に同3往復就航すると発表した。同社執行役員の平田邦夫・経営企画室副室長らが同日、県庁を訪れ石川嘉延知事に伝えた。これで全日本空輸と日航の国内線就航計画が出そろったが、年間の計画座席数は60万席程度しかなく、県の開港時の需要予測(利用客数)106万人に及ばない公算が大きくなった。
平田副室長は会見し、「(県が希望している)鹿児島便は、新千歳や福岡の需要動向をみて見極めたい」と述べ、開港時までにこれ以上路線や便数を拡大するのは難しいとの認識を示した。新千歳便を1往復にしたことについては、「競争環境も大きな要素」と述べ、全日空が先に1日1往復の就航を表明した影響があったことを認めた。一方で福岡便を3往復にしたことは、「ビジネス客が多く、利便性を確保しないと使ってもらえない」と説明した。
使用予定の航空機は新千歳便が150席、福岡便は2往復が150席で1往復は100席以下。7月に新千歳、那覇便の就航を表明した全日空は130席または160席の航空機を使用予定で、両社の年間総座席数は約60万席になる見通し。仮に搭乗率が100%でも、県が利用客として見込んでいる106万人の6割程度にしかならない計算だ。
県側は「引き続き、就航路線の拡大を各社に働きかけていく」(利用推進室)と話す。だが、静岡空港開港の翌年には羽田空港の再拡張が予定され、航空各社は赤字の地方路線を廃止して採算のいい羽田に資源を集中させる動きを見せている。大幅な便数増は当面、難しい状況だ。
石川知事は記者団に「需要予測の実現だけでなく、開港後の状況で評価が定まる」と述べ、無理に便数を積み上げるより、着実に需要を掘り起こす方が重要だとの考えを示した。
静岡空港には、鈴与(静岡市清水区)が開港半年後をめどに、70人乗りの小型機で新千歳、福岡便を各1日3往復就航させる方針。国際線では韓国のアシアナ航空が開港時からソウル便1日1往復を決めている。【鈴木直】
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◇国内線の需要予測と座席数見込み◇
空港 需要 座席数
新千歳 50万 23万
福岡 24万 27万
鹿児島 17万 0
那覇 15万 12万
国内計 106万 62万
※需要は単位・人。座席数は単位・席
毎日新聞 2007年11月1日