犯行状況を再現しながら刑事裁判の評議を行う裁判官や裁判員たち

犯行状況を再現しながら刑事裁判の評議を行う裁判官や裁判員たち

 志学館大や鹿児島地裁などは4日、2009年に始まる裁判員制度を体験する「模擬裁判」を霧島市の同大で開いた。

 同地裁の裁判官が裁判長を務め、公募などで選ばれた市民6人が裁判員となり、架空の殺人未遂事件の裁判が行われた。学生らが検察官や弁護士、被告人役などを務めた。

 事件は、飲食店で酔った男性2人がトラブルになり、1人が一方の男性を暴行。暴行を受けた男性は包丁を持って再び同店を訪れ、相手の男性の腹を刺したという想定。検察側は殺人未遂罪を主張、弁護側は「殺意はなかった」として傷害罪の適用を訴えた。

 裁判員らは、被害者と被告人の食い違う証言の真偽や、被告人の殺意の有無などを論議。裁判員が証言を元に犯行を再現する場面もあった。執行猶予を主張する裁判員もいたが、求刑懲役6年に対し、裁判官と裁判員は懲役4年を決めた。

 裁判員を体験した国分高教諭の福留和宏さん(44)は「量刑を決めるのが難しかった。裁判員の責任は重く、公判中に質問する機会を多くしてほしい」と話していた。

=2007/11/05付 西日本新聞朝刊=