◇安保協議は検討
民主党は5日午後1時過ぎから党本部で緊急役員会を開き、小沢一郎代表の辞意表明を受けた対応の協議を始めた。役員会では小沢氏慰留を確認するとみられるが、翻意は困難との見方が強まっている。鳩山由紀夫幹事長は同日午前、東京都内で記者団に対し、小沢氏の辞意は固いとの見方を示したうえで自民党との大連立構想を否定、自衛隊派遣に限定した協議は検討対象との認識を示した。後継代表選びは両院議員総会での選出を念頭に進める考えを表明した。
小沢氏は4日、代表を辞める考えを示したが、鳩山氏らが慰留したため執行部に進退を委ねた形になっている。小沢氏は連立を前提とした政策協議を主張しており、党内では連立を容認しなければ小沢氏は留任しないとの見方が強い。小沢氏が欠席して開く役員会は同氏慰留を確認するものの、連立協議入りは困難との認識を再確認するとみられる。
鳩山氏は「大連立を前提としたらすべてが狂う。党内でまとめていくことは不可能だ」と述べ、小沢氏の主張する「大連立」構想を否定。そのうえで「(小沢氏の)翻意は容易ではない」と指摘した。小沢氏が党の政権担当能力不足を連立の理由に挙げたことには「一党の党首が自分の党を未熟だ、選挙に勝てないと言われると、今まで努力した方々には大変つらい話になる」と不快感を示した。
新テロ対策特別措置法案について党は5日の国対幹部の会合で反対する方針を再確認した。ただ、鳩山氏は「自衛隊の海外派遣問題に関しての(政府・与党との)協議は必要なので、これに限った形の政策協議について議員の皆さんがどう考えるかだ」と述べ、連立を前提としない自衛隊派遣問題に限定した協議は検討対象と認めた。小沢氏に近い議員にはこれを翻意の説得材料と期待する見方もある。
党内には次期代表を巡る動きも出ている。5日午前、旧社会党系グループによる会合では菅直人代表代行が暫定的に職務を代行すべきだとの意見が大勢を占めた。鳩山氏は「暫定的というよりも、代表選挙になると思う。新しい代表ができるだけ速やかに選出されるような手段をとるべきだ」と述べ、小沢氏辞任が確定した場合、時間を置かず新代表を選出すべきだ、との考えを示した。党員投票によらない両院議員総会を念頭に置いた発言とみられる。後任には岡田克也副代表らの名が挙がっている。【大貫智子】
毎日新聞 2007年11月5日 東京夕刊