医師の相互派遣で負担軽減/三戸、田子(2007/11/05)
田子診療所の受付窓口。医療連携は順調だが、経営改善が課題だ
 青森県三戸町の三戸中央病院と、病院から機能転換した田子町の田子診療所の医療連携が四月にスタートして半年余が経過した。病院は入院患者が増加し、診療所は二十四時間相談窓口などの業務が町民に受け入れられている。医師の相互派遣も機能し「地域医療の質」は確保されているようだ。一方、病院、診療所の経営改善に向けた取り組みは道半ばで、下半期の経営に課題も浮かび上がる。
 田子診療所では、開設と同時に設置した看護師対応の二十四時間相談窓口に、九月までに月平均約四十件の相談が寄せられており、町民の認知度は高い。外来患者からも「今まで通り診てもらえるし、診療所になってからも不安はない」(町内の七十代女性)という声が聞かれる。
 相互の医師派遣により現在は病院医師が週に二度、診療所の午後の診療を担い、診療所医師が月に四度、病院の日当直を担当している。
 三戸中央病院の高杉滝夫院長は「医師一人が受け持つ患者数が分散し、病院、診療所医師の負担は軽くなった」と医師派遣の効果を挙げ、医療連携の順調な滑り出しを強調した。
 ■連携室効果に期待
 三戸中央病院は上半期(四―九月)の入院患者数が前年同期比で延べ五百九十二人増加した。田子側からの患者受け入れが大きな要因だ。
 七月から導入した薬の院外処方が経費削減につながるなど、本年度から着手した経営改善の効果も表れ、上半期の収支は前年同期と比べ、約九千四百万円改善した。
 十月上旬には、三八地域の個人病院や福祉施設と入退院患者の情報を共有するための「医療連携室」を新たに設置。入退院に関する病院側の窓口を一本化し、医療サービス向上に努めている。
 連携室設置には入院患者増の狙いもある。入院患者は増加しているものの、目標値に届いていないからだ。田中照深事務長は「下半期(十月―来年三月)でさらに入院患者が増えなければ単年度黒字は厳しい」と課題を上げ、連携室効果に期待を寄せる。
 ■経営改善が急務
 田子診療所と老健、訪問看護事業を合わせた上半期の収支は病院時の外来診療報酬二カ月分を加算するため、名目上は黒字だが、実質的には約四千万円の赤字だ。
 主要因は人件費。看護師数(二十二人)が診療所、老健施設規模に見合わない多さだからだ。下半期は一層厳しい状況となる見通しで、簗田重身事務長は「一般会計からの繰り入れを含めなければ年間で一億五、六千万円の赤字が出る」と苦しい台所事情を明かす。
 人件費抑制を含めた経営改善が急務となる中、町議会が九月定例会で「田子診療所・介護老人保健施設運営に関する対策特別委員会」を設置した。行政とともに、今後の診療所の在り方を議論していく方針だ。
【写真説明】
田子診療所の受付窓口。医療連携は順調だが、経営改善が課題だ

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