ニックネーム:イダヒロユキ 伊田広行
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2006年05月28日(日)
バックラッシュ批判本が出揃う!
日本女性学会・ジェンダー研究会編『Q&A 男女共同参画/ジェンダーフリー・バッシング―――バックラッシュへの徹底反論』(明石書店)

が6月初頭に出版される。なかなかいい本ができたと思う。表紙もいいし。ジェンダーフリーとかをよく知りもしないで批判的に理解している方々にはぜひ読んでもらいたいものだ。「専門家」という方々にも。


同じく6月に、双風舎から『バックラッシュ!〜なぜジェンダーフリーは叩かれたのか〜』もでる。8月ごろには、ジェンダーをめぐる議論に関する本も出る予定だ。

これで、すでに刊行されている木村涼子編『ジェンダーフリー・トラブル』(現代書館、2005年)、浅井春夫・他『ジェンダー/セクシュアリティの教育を創る』(明石書店、2006年)とあわせて、かなりバックラッシュ状況への批判が並ぶことになる。

バックラッシュ賛成派の皆さん、ネット右翼の皆さん、これらを読んで、考えてみてください。


私は『Q&A 男女共同参画/ジェンダーフリー・バッシング』にも書いたように、ジェンダーフリー概念を擁護するスタンスで書いている。ジェンダーフリー概念を擁護しないのは、まったく政治的感覚として信じられない、と思っている。

それに対し、双風舎の『バックラッシュ!』は、その前書きを読む限り、少し私とはスタンスの違う人もいるようだ。読んでみないとわからないし、私が尊敬する人も何人も執筆者に名を連ねているし、意見の一致する部分も多いと思うが、多分、執筆者の顔ぶれを見ても、部分的に意見は対立するであろう。

そのひとつは、「第3の道」というような概念をどう使うかだ。私も、拙著『シングル化する日本』などで書いたように、旧来型福祉国家路線や新自由主義路線ではない、第3の新しい社民主義のスタンス(それを私はシングル単位社会とも呼ぶ)をとるものだが、双風舎の本では、それをジェンダーフリー(フェミニズム)賛成、反対ではない「第3の道」のようなスタンスと重ねている執筆者もおられるようで、それには、適切に批判をしていきたいとおもう。宮台さんの主張は大丈夫と思うけど。

また私の「ジェンダーフリー」概念へのスタンスは、『Q&A 男女共同参画/ジェンダーフリー・バッシング』に簡単に書いたが、双風舎の本では「ジェンダーフリーに対して批判的かつ傍観してきた論者」を集めたと前書きにあるように、何人かの人は、私とは意見が異なるだろう。
執筆者のひとり、山口智美さんなどは、かなりフェミニズムを誤解しておられるようだし。「ジェンダーフリー自体は推進しないが、デマと不安ばかり拡大再生産するバックラッシュは、それ以上にアホらしい。そろそろネクスト・ステージ(次なる局面)へ」というスタンスの人がどのようにジェンダーフリーをとらえているのか。上野千鶴子さんは、どう書いているのか注目したい。

いずれにせよ、多様な観点が出揃いつつ、あまりにバカらしいバックラッシュを適切に批判していく人が増えるのはいいことだ。
政府関係者もこうした本を読んで、ジェンダーフリーを使うななどといった「事務連絡」(指導?)を出した誤りを認め、修正し、堂々と自分の信じる男女共同参画の道を進んでもらいたい。

2006-05-28 14:54 | 記事へ |
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