子育て

　◇Ｑ・１歳半の男児、父親の遊び方が乱暴で心配

　１歳半の男児。父親が１歳ごろから天井ぎりぎりまで放り投げたり、両足を持ち頭を下にして、すごいスピードで振り回して遊んでいるのが心配です。子どもは喜ぶのですが、見るたびハラハラします。（京都府、祖母７５歳）

　◇Ａ・頭部揺さぶるのは危険、子どもが喜んでも慎重に

　遊ぶ中で、乳幼児を高く放り投げたり、振り回すことは親子の触れ合いとして悪いことではありません。しかし、乳幼児、中でも２歳未満の子どもたちの体は未完成です。強い力が加わらなくても思わぬ障害が生じることがあり、慎重に考える必要があります。

　乳幼児が振り回されたりしたために、脳を包む硬膜の下や網膜に出血を起こすことがあり、このような状態を「揺さぶられっ子症候群」といいます。乳幼児は、頭が大きい割に支える頸部（けいぶ）が細いため、頭部を激しく揺するような動きに長く耐えられません。加えて、頭蓋骨（ずがいこつ）と脳のすき間が広く、脳の周辺の血管を支える組織も弱いことなどが、出血が生じやすい原因だと考えられています。

　揺さぶられた直後から意識障害やけいれんなどの症状がみられる場合があり、時に死亡に至ります。しかし嘔吐（おうと）や哺乳（ほにゅう）力低下など軽微な症状のみで、当初は影響に気付かないことも少なくありません。

　本来、揺さぶられっ子症候群は児童虐待の一つと考えられており、「父親が泣きやまない乳幼児の両脇を抱えて激しく（例えば、赤ちゃんが死んでしまうのではないかと思えるほど）揺さぶる」などの状況で発生します。生活の中で過度に意識しなくても良いですが、子どもに慣れていない大人が無防備に手荒く扱うと、時に危険を招きます。

　ご質問のお子さんも、年齢的にはまだ注意が必要です。愛情を込めて放り投げたり振り回したりしている様子はほほ笑ましくもありますが、少し激し過ぎるようですね。

＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

　子どもの健康、子育ての悩みなど質問をお寄せください。対象は乳幼児から中高生。〒１００－８０５１（住所不要）毎日新聞くらしナビ「子ども相談室」係。メールは表題を「子ども相談室」としてページ上段のアドレスへ。