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若者が減り続ける……。

ますます広がる都市と地方の格差

小喜多 雅明(2007-11-01 20:00)
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 鳥取県の人口がついに60万人を割った。そして徳島県が先日、80万人を割った。地方は年々、人口が減り続けている。東京都大田区の人口が67万人である。面積は鳥取県の実に52分の1しかない。どう考えても異常な事態ではないだろうか?

 なぜ、地方の人口が減り続けるのか? まずは、若者にとって魅力的な働き口が少ないからだろう……。あえて魅力的と書いたのは、探そうと思えば仕事は無いわけではないからだ。ただそれはいわゆる3Kに属する仕事かもしれないし、賃金があまりにも安い。

 地方で比較的恵まれた職業は公務員で、就職先は、県庁や市役所、町役場だ。だがこれも行政の歳出削減の中、採用人数も減少傾向にある。教職員もしかり。少子化の影響で学校の統廃合も進み、またこちらも歳出削減など、採用枠は減少する一方だ。

 その他、地元の銀行、新聞社、放送局などもそうだが、こちらも長い不況から脱出できないでいる地方経済を反映してか、採用枠は増えない。

 名古屋などのように、地元に大きな優良企業があれば別だが、これといってない場合や、元々発祥の地であっても、本社機能を東京などに移している会社が多く、地元に残っているのは形程度の場合もある。

 だが、それ以外の中小企業では、若い人が不足している。景気の回復した都市部に優秀な人材をとられ、それらの企業にまで人材がまわってこないと言う。農村や漁村で後継者不足に悩むのと同じ構図かもしれない。

 若い人の仕事に対する意識の変化もあるのかもしれないが、そうやって人口が地方から都市に流れ続けている。山村部に行くと、もう誰も住まなくなった廃屋が点在する地域もある。そして急速に進むのは住民の高齢化である。

 若い人の人口が少ない分、購買力も低下し、経済は一向に上向きにならない。これに急速に進んだインターネット社会が、地方の小売業に大きな打撃を与え、また、大資本のチェーン店の進出で、地元の小売業は、ますます窮地に立たされている。

 大企業の工場は、日本の産業構造の変化で、特に紡績や製紙関係の工場が次々と閉鎖に追いやられ、ますます働く場所がなくなっていく。また工場の閉鎖は、それに関連する企業や、周辺の商店、不動産などにも深刻な影響を与え、ますます町が寂れていくのだ。

 人口の減り続ける町が、元気なわけは無い。

 鳥取県の平井伸治知事は、旧自治省(現総務省)出身の東京生まれで46歳、徳島県飯泉嘉門知事は、同じく旧自治省出身の大阪生まれで47歳。大都市で生まれ育ち、共に地方自治に携わる自治省出身の若い知事たち。彼らは果たして地方の抱える現実を理解し、有効な対策を打ち出していく事が可能なのか?

 とりわけ徳島県の飯泉知事は、テレビにも頻繁に顔を出し、あらゆる行事にも参加し、県民の人気は高い。だが、もうすでに二期目に入っているにも関わらず、徳島県の経済は一向に上向かず、人口は減り続ける一方なのだ……。

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