秋田県大館市の食品加工会社「比内鶏」(藤原誠一社長)が鶏の肉や卵のくん製製品を比内地鶏と偽装していた問題で、同社が22日記者会見し、偽装は全商品23種中12種で行われていたことを明らかにした。偽装は約30年前から行われ、一部製品の製造期日も1週間遅く偽装していた。
藤原社長は連絡がつかない状態で、会見に出席しなかったが、県の聞き取り調査に対し、「廃鶏(はいけい)」と呼ばれる加齢で卵を産む効率が下がった雌の鶏を使用し、比内地鶏と偽装していたと回答していた。会見で、石川徹総務課長は、藤原社長が社長を務める親会社「大館養鶏」が同市内の4養鶏場から1羽20~30円で廃鶏を仕入れ、「比内鶏」社に無償で流していたことを明らかにした。石川課長は「コストを下げるため偽装を続けてしまった」と説明した。
偽装を開始したのは約30年前で、前身である有限会社の創業のころからだったが、石川課長らは「藤原社長の指示はなかった」と強調した。「偽装が長年続いていたため会社上層部と営業の間に、あうんの呼吸があった」と認め、「消費者に申し訳ない」と陳謝した。
偽装した12品目には、県が20日に発表したくん製製品のほか、生肉やみそ漬け、うどん、ラーメンセットなどが含まれる。製造期日の偽装は、くん製の肉2種について昨年7月と12月の2回、約1週間遅く表示していた。
新たな偽装判明を受け、秋田県は23日、景品表示法などに基づき同社事務所で3回目の立ち入り調査を実施する。
あきた北農協によると比内地鶏を扱う大手の卸会社は約10社あるが同社は売り上げランクでは上位の部類に入るという。【村川幸夫】
毎日新聞 2007年10月23日 東京朝刊