ムシャラフ大統領が治安の悪化などを理由に非常事態を宣言してから一夜明けたパキスタンでは、首都イスラマバード中心部の大統領府や議会など政府関連の施設に通じる大通りが封鎖され、治安部隊が警戒に当たっています。その一方で、市場や商店が立ち並ぶ地域では大勢の市民がふだんどおり買い物に訪れるなど、市民生活にはこれまでのところ大きな混乱は起きていません。ただ、憲法が停止されたことで令状なしでの逮捕や拘束が可能になっており、野党関係者によりますと、これまでに、大統領に反発する野党の幹部や弁護士など７０人以上が治安当局に拘束されたということです。また報道への規制も行われ、ケーブルテレビではニュース専門のテレビ局の番組が見られなくなっているほか、外国の報道機関が取材したニュース映像を国外に送ることも難しくなっています。ムシャラフ大統領と政治的な連携を模索するため先月、８年ぶりに帰国したブット元首相は「これは事実上の戒厳令だ」と大統領を批判しているほか、対決姿勢を強める野党など反ムシャラフ勢力は今後、全土での抗議デモを予定しており、現地では緊迫した状態が続いています。