小沢一郎代表の辞意表明を受け、民主党執行部が慰留することを決めたのは、現段階で代表交代の事態になると党内の混乱に拍車がかかるとの判断がある。しかし、そうした思惑を尻目に党内の関心はすでに「ポスト小沢」に向かっており、4日夜には具体的な名前も飛び交い始めた。
中堅・若手を中心にささやかれているのが、岡田克也副代表の再登板。岡田氏は05年9月の衆院選で大敗して代表を辞任したが、落選議員を中心に地方行脚するなどの行動が党内で評価されている。前原誠司前代表、野田佳彦元国対委員長らの中堅・若手グループ(約40人)、旧民社党グループ(約25人)、どのグループにも属さない議員に支持が広がる見通しだ。
岡田氏は4日夜、再登板などについて尋ねる毎日新聞の取材に「仮定の質問には答えられない」と語った。
枝野幸男元政調会長を推す意見も根強い。枝野氏は2日夜のテレビ出演で、小沢氏について「ぶれたとしたら党首の資格がない」と痛烈に批判。次期代表への意欲を周囲にほのめかしている。ただ、反小沢色の強さが党内の支持取り付けにどう働くかは微妙だ。枝野氏も毎日新聞に「あらゆる問題についてノーコメント」と述べた。
一方、国会会期中で本格的な代表選ができないとの理由から、菅直人代表代行が暫定的に代表に就任し、国会閉会後に正式に代表選を実施する構想も浮上している。しかし、菅氏は代表代行として小沢氏を支えてきたことから「今回の事態への結果責任は免れない」との声もある。幹部の一人は「暫定という形ならあり得るが、あくまで代表選日程が確定することが条件だ」と語った。
このほか、鳩山由紀夫幹事長、野田氏、仙谷由人元政調会長らの名前も挙がっている。党執行部は小沢氏の辞表の扱いの確定を先行させる考えだが、調整を本格化させるタイミングが遅れると、党内の混迷が深まる可能性がある。【須藤孝】
毎日新聞 2007年11月4日 20時22分 (最終更新時間 11月4日 21時07分)