日本の医療現場が抱える問題を提起し、解決策を探る公開シンポジウム「医の公共的威信と社会的信頼を取り戻す」(同志社大社会的共通資本研究センターなど主催)が10月27日、東京都新宿区で開かれた。
講演した杉岡洋一・前九州大学長は「国が医療費抑制策を強引に進めたため、医師の裁量権が失われ、入院期間の短縮圧力がかかって理想の医療ができなくなった」と批判した。
また、出月康夫・日本臨床外科学会長は、日本の医療費の対GDP比は先進国中最低で、医師、看護師の数も米国の5分の1だと指摘し「診療報酬を改善しなければ、医療は崩壊する」と述べた。
宇沢弘文・同研究センター長は「国民が望む医療を維持するには、これ以上、財政を抑制してはいけない」と訴えた。
毎日新聞 2007年11月3日 東京朝刊