◇診療報酬下げや常勤医減少原因
県内に13ある市町村立・組合立病院の赤字が拡大している。06年度の経常損益は44億1100万円の赤字で、前年度(赤字31億5200万円)に比べ12億5900万円、39・9%の増加。前年度は黒字だった5病院も含め13病院すべてが赤字となった。橋本市民病院や紀南病院(田辺市)の新改築のほか、診療報酬の切り下げ、常勤医の減少による収益悪化などが原因とみられ、累積欠損金や不良債務も増大している。
06年度の決算規模は501億6000万円で前年度比5億3300万円減。一方、一般会計など他会計からの繰入金は64億4500万円と10億7400万円増加した。
累積欠損金は11病院が抱えており、計247億2300万円と前年度比41億8600万円、20・4%の増加。当面の支払い能力を超える債務(不良債務)は3病院で計15億7600万円と、同6億7800万円、75・6%の増加。増加分はほとんど橋本市民病院で、新築移転後に収益回復が遅れている影響が大きい。
常勤医師数は計312人で前年度比7人減。橋本市民病院は5人増え37人だが、有田市立病院は4人減り18人、那智勝浦温泉病院は2人減り8人。医師が1人減ると収益は1億円減ると言われる。県市町村課は「財政の健全化は求めるが、地域に必要な医療はきちんと確保するよう、関係機関と連携していきたい」としている。【辻加奈子】
毎日新聞 2007年11月3日