与野党六党の国対委員長は、政治資金の透明化促進を目的とした政治資金規正法改正案について協議する「国対委員長会議」の初会合を開き、今国会中に同法改正案の成立を期すことで一致した。

　「政治とカネ」をめぐる問題にどう決着つけるかは、今国会の焦点の一つだ。五日の次回会合で、各党が改正案に対する考え方や、自民、民主、公明各党案への意見を述べ、具体的調整に入る。それぞれの主張にはなお隔たりはあるが、協議機関の設置で与野党が話し合いのテーブルについたことは大きな前進と評価したい。

　「ザル法」と批判される現行法は、資金管理団体に限り一件五万円以上の経常経費に領収書添付を義務付けている。支出を五万円未満に分けて記載すれば領収書は不要となり、裏金が作られる可能性がある。資金管理団体だけに限定されているため、別の政治団体に「寄付」して資金を付け替えれば領収書添付も不要となるなど抜け道が指摘されていた。政治資金への不信感を払しょくするには法改正が不可欠だろう。

　改正案では、与党と民主党は政治資金の全支出に領収書の添付を義務付けることでは一致している。しかし、対象とする政治団体や領収書の一般公開の基準などでは主張が大きく異なる。

　民主案はすべての政治団体を対象にしている。自民と公明両党間でも対象をめぐって意見に一部隔たりがあり、公明案は政党支部すべてを、自民案は政党の選挙区支部を対象にするとしている。領収書の公開にあたっても、公明案は与党基本合意にあった「行政コストの肥大化防止などに配慮」を盛り込まず、全支出の領収書コピーを情報公開制度に基づいて公開することとしている。全体的に公明案は民主案に近い。

　また、虚偽記載などへの対応については、民主案が総務相に刑事告発を義務付けているのに対し、自民・公明案は総務省に第三者機関である政治資金適正化委員会の設置を求めている。

　独自案の提出を予定していた民主党も、法案一本化に向け柔軟に対応する考えを表明している。今後、実効性を勘案しながら早期に合意点を見いだすべきだろう。

　与野党を問わず相次ぐ「政治とカネ」をめぐる不祥事に国民はうんざりしている。政治家、政党への不信を真摯（しんし）に受け止め、国民が納得できる制度改正を実現することが求められよう。透明性を高め、抜け道を許さない成案で国民の政治への信頼を取り戻さなくてはなるまい。

　福田康夫首相（自民党総裁）と民主党の小沢一郎代表の党首会談が二日、国会内で行われた。十月三十日に続いて二回目である。前回同様、会談の大半は非公開だった。

　再会談で首相は小沢氏に「今の国会の状況を打開するため新体制をつくることもいいのではないか」と連立政権協議を打診した。一方、小沢氏は国際的な平和活動のために自衛隊海外派遣を随時可能にする「恒久法」の制定を政府が検討するなら、インド洋での海上自衛隊による給油活動を再開するための新テロ対策特別措置法案に協力する意向を示したとされる。

　首相は、前回の会談で「状況を打開したいとの思いが互いに分かってよかった。何回かお会いしていいんじゃないか」と語っていた。会談後、与野党の全面対決から話し合いムードが生まれてきた。衆参で与野党の勢力が逆転した「ねじれ国会」が動きだしたことは前向きにとらえるべきであろう。

　だが、再会談を含めて長時間にわたる二人だけの話し合いが、さまざまな憶測を呼ぶのは当然だ。小沢氏は会談後、首相に電話し連立政権協議の提案を拒否すると伝えたが、連立構想は政界再編につながる大問題だ。与野党に疑心暗鬼が広がろう。

　「恒久法」問題は、再会談の前日に首相と小沢氏がともに制定が必要との認識を表明していた。しかし、恒久法制定は、専守防衛を基本にした日本の抑制的な従来の防衛政策から大きく踏み出し、憲法に抵触する恐れがある。慎重な議論が欠かせない。

　連立構想も恒久法も日本の将来に深くかかわる重大なテーマだ。密室会談では、政界に混乱をもたらし、国民の反発を呼ぼう。