山陰沖の日韓暫定水域のズワイガニ漁場を両国漁船が交代利用する二〇〇一年以来の民間合意に反し、日本の漁期が始まる十一月に入っても韓国漁船が漁具を放置し続けてきた問題で、韓国側が今年初めて合意を順守し、漁具を完全撤去したことが二日分かった。水産庁は引き続き同水域を監視する。
民間合意は、隠岐北方の東西六十四キロ、南北七キロのズワイガニ漁場を日本側は十一、十二月の二カ月間、韓国側は一月から三月二十日まで利用する取り決めで、毎年更新。韓国側は約束を一度も守らず、山陰の漁船は事実上締め出されてきた。
水産庁資源管理部管理課によると、同庁の取締船が先月三十一日朝、同漁場に韓国漁船の刺し網の浮きが残っているのを確認。同日都内で開かれた両政府による取締実務者協議の席上、持ち主による速やかな撤去を要請したところ、夜までに撤去された。
韓国漁船が繰り返してきた約束違反をめぐっては、両国の民間漁業者団体が九月中旬、解決に向けた今年六回目の協議を政府担当者を交えて開催。韓国政府による取締強化などで合意し、今回一定の効果が表れた。
水産庁資源管理部管理課は「暫定水域の資源管理の第一歩」と評価する一方、「(日本の漁期に)韓国漁船が再び漁具を入れてくるようなことがないよう、引き続き申し入れた」とし、監視を継続する。
両政府の取締実務者協議では、日本の排他的経済水域(EEZ)での韓国漁船の無許可操業についても意見交換。韓国政府は▽無許可操業漁船を処罰するための法改正(来年一月施行)と取締船の増船▽無許可操業が多いあなご筒漁船の減船(六隻)−などの対応策を示した。