県警説明に合理性なし 捜査費調査結果で橋本知事
地方自治法の調査権に基づき県警の県費捜査費執行実態を調査していた橋本大二郎知事は十八日、「県警の調査に合理性があるとは言い難い」とする調査結果を公表、同日開会した県議会六月定例会に報告した。橋本知事は捜査員が協力者と接触したとされる店舗への聞き取り調査で、捜査費支出金額に見合う(飲食)メニューがなかった点などを挙げ、「県警の調査は本当に十分なものだったのか。かえって疑念が増してきた」と総括した。
県警は内部調査終了後に適正と判断したケースの関係書類を処分していたことなどから、橋本知事は「県民への説明責任の観点から、その姿勢に大きな疑問を感じる」とも指摘。会計書類の開示を拒否した県警の姿勢も「誠意あるものとは受け止められなかった」と批判した。
県警側の非協力な姿勢による制約から、調査は対象を十二年度の本部捜査一課、交通指導課、高知署の三部署の執行の三割弱に当たる六百十三件(計九百四十三万円)に絞り、「県警の内部調査が適切で合理性があるのか」を主眼に調べた。
報告書によると、聞き取りができた十九店舗のうち六店で、執行金額に見合うメニューがない▽逆に県警が問題執行とした支出金額に見合うメニューがあった▽県警が調査したとする店舗で調査事実がない▽県警が適正支出とした捜査費の執行日が定休日だった可能性が高い―など、県警の調査内容が合理性を欠く結果となった。
また、県警が「適正」と判断した捜査協力者への謝礼を、「問題」と判断した少額の接触費(喫茶代)と同じ会計書類で処理したという理由で国・県に返還していたことも「納得できない」と指摘。こうした経緯を内部調査報告書で触れていない点にも疑問を呈した。
これらの調査結果を受けて、鈴木基久県警本部長は記者団に「捜査のプロの調査と県職員の調査とどちらを信用するのか。(今定例会中に)必要な反論をさせてもらう」などと述べた。
捜査費問題では、県監査委員が昨年の特別監査結果で県警の組織的裏金を認定したが、県警は内部調査で「捜査員の単純ミス」と組織的不正を否定。橋本知事は今年の県議会二月定例会で自ら調査に乗り出す意向を表明し、知事以下計八人で四月上旬から実施した。
(2007年6月18日・夕刊)
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