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【ドラニュース】

落合監督激白「完全試合オレだって見たかった」

2007年11月3日 紙面から

8回表を終え、ベンチで森コーチ(左)、谷繁(右)と話し合う山井=1日、ナゴヤドームで

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 中日の53年ぶりの日本一達成から一夜明けた2日、落合博満監督(53)はナゴヤドームで本紙のインタビューに応じた。日本シリーズ史上初の完全試合まであと3人だった山井大介投手(29)を交代させたことに賛否があることについては「オレだって(完全試合を)見たい。でも、われわれには勝たないといけない使命がある」と“説明”。山井の右手にマメができたことを交代の理由に挙げ、故障につながりかねない続投を回避したチーム事情を語った。 (聞き手・渋谷真)

 野球ファンも、そうでない人までも。名古屋からも札幌からも。日本中、あらゆる人が抱えた「疑問」と「サプライズ」に、当事者である「竜将」があらためて答えた。山井交代。それは日本シリーズ史上初の完全試合という金字塔への挑戦権をも“放棄”する決断だった。

 「みんなが(完全試合を)見たいのは分かる。オレだって見たい。でも山井のここ(ユニホームの右太もも部分)の血を見たら…。本人が『ダメです』と言ったらしょうがない」

 見たい。させたい。その思いに批判する側、される側の差はない。だが、責任の有無に違いがある。現場を預かるのは落合監督。大舞台。もちろん勝敗が最重要だ。だが、あれほどまでの快投ならば「勝負」と「勝敗」を両立させることはできるはず−。その見方に落合監督も理解はしているが、山井の血染めのユニホームがそうさせなかった。非情? いや、それが落合流の情だった。

 「山井には来年、再来年がある。それでなくても右肩を悪くしてこの2年放れていないんだ。あれで『行け』といって肩をぶっ壊したらアイツの野球人生は終わり」

 右手中指のマメが裂けていた。4回から耐えていたが、ついにはユニホームに血のラインがついた。それでも続投し、挑戦する選択肢もあるだろう。だが、山井自身も岩瀬への継投を望んだ。少なくとも首脳陣が強制した事実はない。痛みをこらえ、古傷の右肩に響くことを最も恐れた落合監督。渦巻いた批判に少し戸惑ったようだが、そこはオレ流を貫いてきた男の“経験”が生きている。

 「ベンチの中のことを知らないんだから、それはそれで仕方ないよ。書かれるのは慣れている」

 たたかれ、踏まれてきた野球人。だが、天才打者と呼ばれた昔と違い、今は選手を守ったという自負がある。だから、柳に風と受け流す。想定外の波紋を広げた日本一から一夜明け「ゆっくり眠れた」と穏やかな表情に戻っていた。 

 (渋谷真)

 

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