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“日本一”を報じる本紙などを前に、一夜明けた心境を語る落合監督
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中日53年ぶりの日本一から一夜明けた2日、落合博満監督(53)はナゴヤドームで本紙の取材に答え、第5戦の山井大介投手(29)の交代劇の真相を明かした。日本シリーズ史上初の完全試合まであと打者3人だった9回、右手中指のマメをつぶしたことが最大の要因だったとし、血染めのボールで快投した山井の交代は苦渋の決断だったと説明。周囲の批判もある中、チーム内の不協和音はきっぱり否定した。
穏やかな表情の中に充実感が漂う。歓喜の日本一達成から一夜。「実感は何もわいてこない」という落合監督だが、澄んだ目には「後悔」の二文字はなかった。
日本中が驚いた山井の交代劇。完全試合目前で岩瀬に代えた舞台裏を明かした。「今だから言えるけど、4回ぐらいからマメがつぶれた。ユニホームは血だらけだったんだ。実戦登板から離れていたのも原因だったのかもしれない」。クライマックスシリーズから通じて初登板。それが日本一を決めるゲームに先発だから、重圧も負担も想像を超えていた。
右手中指から血を流しながらの快投。血染めのボールが決断の最大の理由だった。「もし無理して続投させてフォームを崩したり、肩痛が再発したら野球人生を狂わすことだってある。マメがつぶれてなかったら続投はあったかもしれない。ただ、それ以上に無理はさせられない」。非情にも映ったオレ流采配は実は山井の将来を思えばこそでもあった。
加えて過去2回の日本シリーズは継投失敗で日本一を逃している。04年の第3戦の岡本と昨年の第2戦の山本昌。いずれも温情の続投が裏目で逆転された。「3回も同じことをしたらバカと言われる。1人の野球選手としてなら、続投でいい。ただ監督としての立場がある」。そして批判の声には「山井も納得してるから不協和音はない。選手は全員、最後は岩瀬と思っているんだから」。周囲の雑音は意に介さず、8日からのアジアシリーズへ目を向けた。
【日本一記念パネル】
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