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2007年11月3日

◎党首会談 局面打開へ話し合いは必要

 福田康夫首相が小沢一郎民主党代表との会談で、連立政権の協議を打診した。民主党は 拒否したが、停滞する局面を打開するために、党首同士が話し合うことは今後も必要である。

 衆参ねじれ国会で、自民、民主両党が数の力で押しまくれば、法案の国会審議はにっち もさっちもいかなくなる。是非はともかく、こうした状況を打ち破るために新しい体制を作りたいという福田首相の思いが党首会談と連立打診に示されていた。与野党の溝が簡単に埋まるわけではないが、一回目の党首会談のあと、政治資金規正法改正案などに関する与野党協議が動き出すという効果も出ている。党首会談の意味はあったと考えてよいのではないか。

 国会での党首討論をさしおいての党首会談に対し、密室談合との批判が聞こえてくる。 しかし、そうした批判が当を得ているとは必ずしも言えない。政治の透明性確保や情報開示に努め、主権者である国民に「開かれた政治」をまず目指さなければならないが、政治には、公開の場で手の内をすべて見せられない場合もあることを認めなければなるまい。

 与党は、参院で福田首相の問責決議案が可決され、衆院解散の引き金をひくことになり かねないとして、新テロ対策特別措置法案の衆院再議決をちゅうちょしているようにみえるが、参院の問責決議に法的拘束力はない。拘束力のない決議を恐れて、憲法が認める再議決の国会ルールがないがしろにされるとすれば、それもおかしな話である。再議決は現に憲法にその規定があるのであり、普通に使われてよいと考えておきたい。

 また、小沢代表が、自衛隊の海外派遣を随時可能にする「恒久法」を民主党の考えに沿 って作るのなら、新テロ特措法案の成立に協力する意向を示したことを、自民党も積極的に受けとめてはどうか。政府はこれまで、PKO協力法では対応できない自衛隊の海外活動について、その都度、時限立法の特別措置法で対応してきたが、こうした泥縄的な対応では機動的な国際貢献活動は難しく、恒久法の制定には自民党も異論はないはずだ。自衛隊の海外での武力行使などで、自民党と小沢代表の間には開きがあるが、真剣に与野党協議を進めてもらいたい。

◎隣県との経済交流 本気なら歓迎するが…

 富山商工会議所の新会頭に就任した犬島伸一郎氏が一日の会見で、石川県などとの経済 交流の必要性を強調した。金沢、高岡の会議所会頭も同日、犬島氏と同じような趣旨の発言をしたが、「隣県交流」や「広域連携」は、これまでもお題目のように唱えられながら、実のある交流や連携は実現しなかった。

 隣県同士の連携強化は、北陸の地位向上に不可欠な視点である半面、なかなか言うはや すし、行うは難しのテーマでもある。北陸新幹線の開業に向けて、石川、富山両県の会議所が本気で取り組むのであれば、歓迎したい。

 犬島新会頭は会見で、「隣県同士で今後さまざまな連携策を行いたい」と述べ、石川県 との交流、連携強化に意欲を示した。これまで、東京との結びつきにばかり目が向けられてきたことへの反省に立ち、隣県との広域連携について「弱い面があった」とも指摘した。

 金沢商工会議所の深山彬会頭も総会後の会見で、北陸新幹線の金沢開業を見据え、長野 商工会議所との意見交換、富山、高岡など沿線商工会議所と広域で連携していく方針を示した。特に「競争と共生」の必要性を強調したのは、お互いをライバル視しがちな隣県同士の微妙な関係を意識したからだろう。

 高岡商工会議所の南義弘会頭も北陸や中部圏域の連携促進を課題に上げたが、北陸およ び上越、長野あたりまでを一つの経済圏と見なし、連携を探る動きが顕在化してきたのは心強い。広域連携というと、とかく観光面での取り組みばかりがクローズアップされがちだが、流通や住宅建設などの分野では、かなり前から県境を越えた事業展開が当たり前になってきている。

 日本経済団体連合会の系列にある北陸経済連合会と違って、それぞれの地域に根差した 活動を行っている経済同友会や商工会議所が連携に動くことは大きな意味がある。北陸新幹線が開通すれば、活動範囲はいや応なしに広がっていく。一県だけではなく、グランドデザインを大きく描く発想の転換がぜひとも必要だ。広域連携、広域交流を掛け声倒れに終わらせず、中身のあるものにしていく努力が求められる。


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