プロ野球日本シリーズは中日が日本一を決め、野球シーズンも大詰めを迎えた。高校野球では今週末、来春のセンバツ出場をかけた中国大会の準決勝、決勝戦が広島市である。
中国大会には各県の代表十六校が出場し、岡山一、山口二、鳥取一の四校が勝ち進んできた。最終的に上位三校が甲子園への切符を手にする有力候補となる。
春のセンバツは「夏の甲子園」とは一味違う趣がある。夏の甲子園の予選はすべて勝ち抜き戦で行われ、一度負けると終わりだ。これに対しセンバツの予選は敗者復活戦のような仕組みがあり、少々負けても晴れの舞台に上がれる。
岡山県でも最近、地区大会、県大会とも二位だったチームがセンバツに出場したことがある。再挑戦が可能なセンバツは「敗戦にくじけず頑張れば、道は開ける」という教育的な効果を評価する人は少なくない。
若者は多様な可能性を秘めているが、先ごろ本紙に掲載された調査結果を見て驚いた。高校生新聞社(東京)が全国の高校生約六千二百人に生き方を尋ねたところ、「人生で失敗しても、やり直しがきく」と答えたのは11%しかなかった。
「勝ち組か、負け組か」というゆがんだ価値観がまん延する社会風潮を背景に、学校や家庭で「失敗は許されない」と子どもたちを追い込んでいないだろうか。敗者復活戦の精神を植え付けてもらいたい。