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少年審判:法改正作業には紆余曲折も

 非公開となっている少年審判について、自民党法務部会「少年法に関する小委員会」は2日、被害者・遺族の傍聴を認める素案を了承した。近く部会で正式決定される。被害者の権利保護か、少年のプライバシーか。少年法の見直し議論は「真実を知りたい」という被害者の意向を尊重する流れになった。だが「和やかに行い、内省を促す」ことが求められる審判が変容することへの懸念もあり、実際の改正作業には紆余(うよ)曲折も予想される。

 00年の法改正前後から、家裁による被害者の意見聴取や審判結果の通知など、被害者への配慮は少しずつ前進してきた。だが、被害者側からは「(少年が)そこで何を言っているのか知りたい。勝手なことを言っていたら正したい」(「少年犯罪被害当事者の会」の武るり子代表)と、更なる改善を求める声が圧倒的だ。「全国犯罪被害者の会」(岡村勲代表幹事)も「プライバシー保護ばかりを重視し、被害者は情報提供もほとんど受けられないのが実情」と現制度を批判し、傍聴や少年への質問権を認めるよう訴えている。

 これに対し、日本弁護士連合会は「自らの非行について少年が心を開いて供述しにくくなる」と公開に反対の立場だ。

 元家裁調査官の浅川道雄さん(76)も長年、少年非行にかかわった経験から「大事件を起こした子ほど人間性が損なわれており、矯正に長い時間がかかる。被害者のかかわりは、事件直後の審判の場ではなく、その長い過程の中で考えていくほうがいい」と言い、「傍聴はビデオリンクなど影響の少ない方法で実施すべきだ」と指摘する。【川名壮志、坂本高志】

毎日新聞 2007年11月2日 19時47分 (最終更新時間 11月3日 0時44分)

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