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大連立協議:福田首相、小沢氏に打診 民主は応じず

会談を終え、会場をあとにする福田康夫首相=国会内で2007年11月2日午後7時50分、平田明浩撮影
会談を終え、会場をあとにする福田康夫首相=国会内で2007年11月2日午後7時50分、平田明浩撮影
会談を終え、口を真一文字に結び会場をあとにする小沢一郎民主党代表=国会内で2007年11月2日午後7時26分、平田明浩撮影
会談を終え、口を真一文字に結び会場をあとにする小沢一郎民主党代表=国会内で2007年11月2日午後7時26分、平田明浩撮影

 福田康夫首相(自民党総裁)と民主党の小沢一郎代表は2日午後3時から休憩をはさみ、国会内で約2時間10分、党首会談を行った。首相は参院で野党が多数を占める「ねじれ国会」の打開が必要として、小沢氏に連立政権樹立のための協議を打診した。小沢氏は即答を避け党役員会に持ち帰ったが慎重論が噴き出し、同党は協議に応じない方針を決めた。これを受け、小沢氏は首相に「連立はのめない、受諾できない」と伝えた。自民、民主両党の「大連立」による混迷政局の打開案は失敗に終わった。

 首相は会談後、記者団に対し、「今の国会情勢、政治の情勢、全体的にみて打開しないといけない。国民生活のこともあるし、日本の政治が止まってはいけない。そのような観点から、状況を打開するために話し合いをした」と説明。政権協議の打診について「政策を実現するための体制を作る必要がある。そういう新体制をつくることを話した」と語った。

 首相は会談で、1日に期限切れとなった海上自衛隊の給油活動を早期に再開するため、新テロ対策特措法の今国会成立に民主党の協力を求めた。小沢氏が「自衛隊の海外派遣は国連安保理決議に基づく平和活動に限る」と従来の主張を展開したことから、首相は連立政権の協議を通じた事態の打開を提案したとみられる。

 会談は前回と同様、冒頭に自民党から伊吹文明幹事長と大島理森国対委員長、民主党から鳩山由紀夫幹事長と山岡賢次国対委員長が冒頭で同席したが、その後は2人だけで行われた。午後4時過ぎに首相の要請でいったん休憩に入り、6時半に再開。1時間後に同日の協議を終えた。

 会談後、自民、民主両党はそれぞれ役員会を開いたほか、自民党は連立相手の公明党と幹事長、国対委員長、政調会長による会合で党首会談の内容を報告、対応を協議した。自民、民主両党の連立については両党内のほか、公明党に慎重論があり、政権協議でクリアしなければならない政策課題も山積している。【尾中香尚里】

 ▽政治評論家、浅川博忠さんの話 2大政党のトップ同士が密室で大連立を話し合うこと自体、本来あってはならないこと。福田康夫首相は今月予定されるブッシュ米大統領との会談前に、ここまでやったとアリバイを作りたかったのだろう。小沢一郎代表は福田首相のメンツを考え打診を持ち帰ったのでは。連立をけったことで国民の理解を得られるし、福田首相と長時間話し合ったことで首相がどこまで困っているのか、腹の内も探れたはず。解散に向けて今後の政治スケジュールも読みやすくなる。小沢代表の優勢勝ちだろう。

 ▽岩井奉信・日大法学部教授(政治学)の話 今の自民党では解散しても勝ち目がない。相手が小沢さんではだましもごまかしもきかず、政権運営に行き詰まった福田首相は「いっそのみ込んでしまえ」と一か八かの賭けに出たのだろう。夏の参院選に勝ち、次の総選挙で政権奪取を狙う小沢さんが福田首相の提案をけったのは当然であり、国民の選択肢を確保する上でも大連立は取るべき道ではない。ただ、自民党が解散を先延ばしすれば民主党も失速しかねない。福田、小沢両氏の我慢比べはしばらく続くのではないか。

 ▽漫画家、やくみつるさんの話 民主党が持ち帰ったこと自体が驚きで、一瞬ヒヤッとした。昔の社会党と違って、政権交代の可能性が出てきたところなので、言下に拒否すると思っていた。受け入れるメリットはないので断ったのは当然のこと。福田首相は「政策実現のため」と言っているが、民主党内を混乱させようとしたのか。自民党の懸命さを訴えようとしたのか。ひとこま漫画にするとすれば、密室で福田さんが小沢さんに土下座している構図。真摯(しんし)さよりも、そこまで追いつめられているのかという自民党の弱体化を印象づけた。

毎日新聞 2007年11月2日 20時55分 (最終更新時間 11月2日 23時34分)

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