現在非公開となっている家庭裁判所による「少年審判」について、自民党は、殺人など重大事件に限り、被害者や遺族の傍聴を認める素案をまとめた。2日昼の法務部会で、少年法見直しの方針を諮る。同党の方針決定を踏まえ、法務省は法改正作業に入る。
20歳未満の犯罪容疑者は、捜査機関から家裁に送致されると、成人の刑事裁判にあたる「審判」を受ける。審判で少年院送致などの保護処分にするか、成人と同じ刑事裁判を受ける検察官送致(逆送)にするかを決める。重大事件で検察官が同席する場合を除き、審判は裁判官、少年と付添人らで進められる。審判は原則非公開で、01年以降、被害者らが心情を述べられるようになったが、裁判官の許可が必要となる。
被害者らの傍聴の可否は、刑事罰に問われる年齢を16歳から14歳に引き下げた00年の少年法改正の際も議論された。だが、「少年や保護者が萎縮(いしゅく)して発言をためらい、真実が明らかにならなくなる」との懸念があがり、導入を見送っていた。
しかし、被害者側から公開を求める声は強く、今年6月には被害者らが刑事裁判に出席して被告に直接質問できる「被害者参加制度」を柱とする改正刑事訴訟法が成立。こうした流れから、00年改正の見直しの是非を議論してきた自民党内でも「一律に非公開とすべきではない」との意見が大勢を占めた。
同党の素案はその上で▽重大事件に限る▽裁判官が個別のケースに応じて公開範囲を決めるなどのハードルを設け、傍聴を認めることを提言。一方、被害者団体から要望があった「少年や保護者に対する質問権」は「感情的な対立が起きかねない」などの慎重論に配慮し、盛り込んでいない。【坂本高志】
毎日新聞 2007年11月2日 15時00分