2007年9月26日(水) 東奥日報 社説



■ 政治不信を解消できるか/福田内閣発足

 福田康夫首相が二十五日夜、新内閣を発足させた。

 国会が開会中である。新たな入閣が二人だけで、十三閣僚を再任する緊急避難的組閣としたのはやむを得ないだろう。

 派閥会長の町村信孝氏と高村正彦氏をそれぞれ官房長官と外相に横滑りさせた。党四役にも全員派閥の領袖をそろえた。

 安倍晋三前首相の突然の辞任という緊急事態に対応する挙党内閣という見方もある。しかし、福田首相は総裁選で八派閥から支持を受けた。派閥重視の論功行賞内閣と見ることもできる。

 総裁選を争った麻生太郎前幹事長から入閣を断られたのは挙党態勢確立に影を落とした。

 福田首相誕生にいち早く動いた古賀誠元幹事長が当初提示された総務会長のポストをけり、自ら要求して選対委員長に就いたという。

 人事当日にポストの入れ替えを行わざるを得ない異例の展開となったのを福田首相は容認したようだ。総裁選で支持を受けたことに対する引け目からだとすれば、今後リーダーシップに不安材料を残したと言える。

 自民党は参院選で惨敗し、危機的状況にある。国民の信頼を回復できるかどうかは、政策を確実にこなしていこうとする福田首相のリーダーシップにかかっている。緊急課題も山積しており、足並みを乱している余裕はない。

 まず、インド洋での給油問題だ。テロ特措法は十一月一日に期限切れとなるが、民主党は同法の延長に反対の姿勢を示している。参院は民主党など野党が優勢なねじれ国会なので、強行採決の手法は通用しない。どう決着をつけるのか、福田内閣の力量を占う試金石となる。

 これまで自衛隊が給油した燃料がイラク戦争に流用されていた疑いも出ている。福田首相は給油を続けるために、新法の提出も辞さない構えだが、民主党にだけでなく、国民にもていねいに説明し納得を得るべきだ。

 年金問題も待ったなしだ。安倍前政権は「来年三月までに未統合の五千万件の記録を照合する」と公約した。党の約束でもある。守らなければならない。

 福田首相は「希望と安心のくにづくり」を打ち出している。国家が果たすべき当たり前のことをあえて掲げざるを得ないところに、これまでの自民党政治の責任の重大さがある。

 福田首相は構造改革路線を継承するとしながらも、弱者や地方に配慮する政策公約を明らかにしている。歳出を抑え、これまでの小泉・安倍路線の改革の「陰」になった部分に光を当てていくという。相反するテーマをどう両立させるのか。

 高齢者の医療費負担増の凍結を検討する意向も示した。千五百億円前後必要とされる予算をどこから捻出(ねんしゅつ)するかが課題だ。都市と地方との格差是正のために予算措置するとも述べた。二〇〇八年度予算編成で具体的に示す必要がある。

 「政治不信の解消に全力を挙げる」。福田首相は組閣後の記者会見でそう強調した。急がなければならない。

 安倍前政権も福田政権も民意の洗礼を受けていない。できるだけ早く解散し、総選挙で国民の審判を受けるべきである。


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