二年前の台風14号被害を教訓に地域防災を学んでいる岩国市の美川中生徒が、地域の避難所の在り方について改善点をまとめた。避難した体験を基に、お年寄りらに使いやすい洋式トイレの増設などを提言している。
台風14号の襲来時には美川小・中共用体育館が床上浸水し、隣接する美川小二、三階に緊急避難した。この経験を踏まえ、避難所はお年寄りや体の不自由な人らの立場から考えた。美川小と近くの美川基幹集落センターを調査。設備や備品など四十五項目を点検した。
二階以上に収容する空間が広い半面、段差が多く、車いす用のエレベーターや点字ブロックもなかった。洋式トイレや簡易ベッドもないことが分かった。
この成果を二十七日、文化祭で住民らに発表。三年の庄司裕太君(15)は「町には、お年寄りが多い。災害弱者に配慮が大事だ」と報告した。
山口大農学部の山本晴彦教授(環境情報学)も「ペットも飼えない状況もある。居住空間が悪いと住民が敬遠し、長期になると改善が一層求められる」と主張する。
今後、防災学習の報告書をまとめ、市美川総合支所に提出する。同町で二〇〇五年秋、台風14号に伴う豪雨で住民の四分の一が浸水被害に遭った。防災学習プログラムを開発する山口大の支援で、全校二十五人が七月から共同学習を続けている。(円山文雄)
【写真説明】避難所の調査結果を発表する美川中の生徒
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