君は、君の利益のためにわたしを捨てた。
それでも、かわらず尽くしてくれと君は言うけれど、
わたしもわたしの利益のために君から離れよう。
苦い、あまりにも苦すぎる恋の顛末が教えてくれた。
自分をたいせつにするとは、どういうことなのかを。
君に溺れて、君に尽くし、君に貢いで、
わたしは陸に上がった人魚姫のように苦しかった。
君が他の女性を助手席に乗せ、ふたりで親密さを楽しみ、後部座席にわたしは取り残され、耐えることにも限界があると知った。
彼女からの勝者のおごりのような嫌がらせにも、それを当然の権利と豪語する態度にも、黙って耐え続けた。何年も何年もの間、耐え続けた。
一目君に逢いたい、顔を見たい、一言声を聞きたい、ことばを交わしたい。それだけだった。
本当にバカだ。恋に落ちると、人はここまで愚かになってしまう。
その挙句の君の裏切り。凄惨な制裁.....
これまで生きてきた人生の中で、最悪の出来事。
もう一生涯、誰かを恋することなど無いだろう。恋に落ちるほど、価値のある人など、どこにもいない。
たとえ、世界から孤立することになっても、わたしは私でいたい。
わたしは私でいよう。