県が療養病床削減で転換目標 慎重意見多数(2007/11/02)
 国の医療費抑制に伴う療養病床削減で青森県は一日、県内にある約三千七百床のうち六割強を削減し、二〇一一年度末までに約一千四百床とする目標を明らかにした。削減した分の病床は介護保険施設などへの転換を目指す。だが、青森県は全国平均より高齢化の進行が早く、高齢者の長期入院が多い療養病床の削減に慎重な意見もある。県は、今回示した目標値をたたき台に、福祉施設関係者らの意見も踏まえ、年内に正式な削減数を決めるとしている。
 
 療養病床は慢性疾患の高齢者らが入院するベッド。削減は国の医療費適正化計画の一環で、重病ではない患者をコストの安い介護施設や在宅に移し、医療費を抑制するのが目的。
 全国にある療養病床三十八万床のうち、介護保険が適用される介護療養病床(十三万床)をすべて廃止し、医療保険が適用される医療療養病床(二十五万床)を十五万床に削減する。
 県の目標では、千二百四十五床ある介護療養病床を老人性認知症疾患療養病棟を除き全廃、二千四百十床ある医療療養病床を千三百八十四床に減らす。目標値は重度患者の数や高齢化率を基に、国の計算式に当てはめ試算した。
 県が今年八月に県内の九十二医療機関を対象に行った意向調査によると、計千五百九十五床の医療療養病床を維持すると回答。目標値との間に約二百床の差がある。
 目標値は一日、県が青森市で開いた県高齢者サービス総合調整推進会議老人保健福祉計画・介護保険事業支援計画専門部会で報告した。
 委員からは「老健施設に転換した場合、国からどのような支援措置が受けられるのか分からない部分がある」「国の計算通りにやるのは分かるが地域の特性に合わせた数値の決め方があってもよい」など削減に対する慎重な意見が相次いだ。
 県は、国の基準通りの数値目標が適正かどうか部会で委員の意見を聞くほか、厚生労働省とも相談し県独自の病床数設定が可能かを検討する。

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