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【静岡】

安心の医療へ再出発 藤枝市立総合病院 保険医に再指定

2007年11月2日

 歯科口腔(こうくう)外科で実施したインプラント(人工歯根)治療などで診療報酬の不正請求が発覚し、保険医療機関の指定を取り消されて健康保険が使えなくなっていた藤枝市立総合病院が1日、静岡社会保険事務局から再指定された。指定取り消しは、診察を拒否されたり転院を余儀なくされるなど患者に大きく影響。約67億7000万円の累積赤字を抱える病院にとっても大打撃で、信頼回復と経営改善が急務となっている。 

 取り消し期間は5年間が原則だが、同事務局は「地域医療に大きな影響を与える」などの理由から1カ月での再指定を決めた。

 指定を取り消された10月1日から病院は基本的に一般患者は受け入れず、救急や計画的な治療を受けている患者に限って、健康保険と同じ3割の自己負担で受診できる「療養費払い」制度を適用し、診察してきた。病院によると、処分期間中の外来患者は7698人、入院患者は8740人で、従来の4割程度となった。「救急に当たらない」との理由から、診察を断った一般患者も1日数人いたという。

 同病院の医業収益は2006年度に約114億3000万円で、1月あたり約9億5000万円。処分期間中は患者が減った上、今後、療養費払いに応じない健康保険組合もあるとみられ、数億円の減収は免れない見通しだ。経営改善策として、安価なジェネリック(後発)医薬品の導入など10余りのプロジェクトチームを立ち上げたほか、5年間の中期経営計画の策定を進めている。

 再指定にあたり再発防止策として、保険診療マニュアルの整備と全職員への配布▽医事業務に携わる専門職員2人の採用▽職員を対象にした講習会の開催−などを実施。信頼回復を図るため、医師による公開講座や看護師らによる無料健康相談も続けている。

 

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