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2007年11月2日

 富山で開かれた小社の政経懇話会で、政治評論家の森田実さんが、二世、三世議員は地方の窮状を知らない、と批判した

親や祖父の地盤を受け継いだ東京育ちのボンボンのことである。あの人がそう、この人も、と何人もの名が浮かぶ。地方のことに限らず、国際事情に疎い人もいる。外国特派員を前に「友人の友人はアルカイダ」と仰天発言をしたのは四世議員である

そんな世情に疎い政治家と付き合うためには、常識外の感覚が必要らしい。疑惑の防衛商社から二人の政治家周辺に「お車代」二百万円が支出された、と報じられた。お車代は交通費を指すはずだが、これなら車が買える

法外な車代の通用する世界ならガソリンの高騰は痛くもかゆくもあるまいが、私たちにはそうはいかぬ。値上げの連鎖は懐を直撃する。以前なら買い占めの大騒ぎが起きただろうし、よその国なら暴動になるかもしれぬ

かつて政治は三流、官僚一流と言われた。いま、政・官が三流に映っても、節度を踏み外さぬ私たちは一流の国民に違いない。そう胸を張りたいが、値上げ必至のパンやビールを口にすれば、苦い味がこみ上げてくる。


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