世界の信頼を得てきた日本製品。国内でも「国産でなければ」の声は強いようです。「食」においても国産に対する信頼度は高く、特に基準を超える農薬、使用禁止の危険物質が輸入野菜やウナギなどから検出されたここ数年、国産にこだわる国民が増えたようです。
しかし、国民の信頼を裏切るような国内の食品関連業者による不正が次々と明るみになっています。豚、鶏肉を混ぜたミンチ肉を「牛100%」と表示▽中国産そうめんを奈良名産の「三輪そうめん」として出荷▽菓子の製造日、消費期限偽装▽別の鶏を有名地鶏として販売▽ブロイラーの地鶏表示▽牛肉産地偽装―などです。
日本の食料自給率は40%。フランス130%、米国119%、ドイツ91%、イギリス74%ですから先進国中、最低水準です。低い食料自給率のデメリットを日常生活で実感することはほとんどありません。しかし、干ばつやエネルギー価格の高騰などが原因で、穀物価格が急騰しており、世界の食料事情は厳しくなっています。輸入食品の確保は従来以上に難しくなり、この影響が食品価格の高騰だけにとどまることなく、輸入量自体が激減する可能性も否定できません。食料自給率の大幅アップは急務です。
自給率アップには、国産に対する信頼が大前提ですが、頻発する不正によって信頼は大きく揺らぎました。「国産表示があっても信用していいのか分からない」といった声も耳にします。食品業界は早急にうみを出しきり、国産への信頼を回復するよう努めてほしいものです。
(整理部・黒瀬一成)