「晴れの国 キラリ☆輝く まなびの輪」をキャッチフレーズに第十九回全国生涯学習フェスティバル「まなびピア岡山2007」が、二日から五日間の日程で開幕する。
計画されているイベントは四百以上に上り、主会場の岡山市いずみ町の岡山県総合グラウンドのほか、大会史上初めて県内二十七全市町村が会場になる。多くの県民が参加して生涯学習への意欲を高める機会としたい。
生涯学習とは、自己啓発や職業上の能力向上のため自分の意思に基づいて生涯にわたって行う学習活動だ。いつでも、どこでも、だれでも自由に学べることが基本である。
まなびピア岡山2007では、古里に愛着と誇りを持ち、県民と地域社会が輝く「生涯学習社会☆おかやま」の実現を基本理念に掲げた。
岡山市で開く総合開会式などの模様は岡山情報ハイウェイを活用しインターネットで動画配信される。
フェスティバル実行委は、文化や食をテーマに八つの記念事業を行う。「吉備の国 歴史と文化の散歩道」は岡山市内の文化施設を巡って歴史、文化、芸術を再発見する。食欲の秋を楽しむには、地元食材の桃太郎鍋がお勧めだ。まちづくりフォーラムでは、県内のNPO法人の実践発表と高石ともや氏のトークとライブもある。
総合グラウンド内の桃太郎アリーナでは「生涯学習見本市」があり、自治体や企業、大学など百三十六団体がブースを設ける。ロボット実演や宇宙実験の模擬体験、懐かしの給食メニュー再現など、多彩なテーマが楽しみながら学べる。
県内の市町村では、地域住民が主体となって日ごろの生涯学習の成果を披露する作品展やステージ発表など四百七の催しがある。岡山市のイベント「生涯学習おもちゃ箱」では、文化・芸術、子育てなどさまざまなテーマで展示や体験コーナーがある。倉敷市では生涯学習施設のミニツアーを予定する。地元のイベントを満喫した後は、隣町の活動にも触れ、ふれあいを広げることもできる。
催しは、どれも参加して楽しいものばかりだ。まずは家族連れで、足を運んでみてはどうだろう。生涯学習を知らなかった人には絶好の体験の機会であり、生涯学習に参画している人には、さらなる向上への刺激となろう。
週休二日制となり余暇は増えた。定年後も元気な団塊世代は自分を高めるチャンスである。人生八十年時代に生涯学習の期待は高い。知的な出合いを求め、積極的に学びの輪を広げよう。
中教審の教育課程部会が、学習指導要領改定に向けた事実上の答申案である「審議のまとめ」を大筋で了承した。批判の強かった「ゆとり教育」を部分修正し、中学理科、外国語(英語)を三割増にするなど小中学校で主要教科の授業時数を増やし、一方で現行の指導要領の目玉として導入された「総合的な学習の時間」を大幅に削減した。
「ゆとり教育」がゆるみにつながり、学力低下を招いたと経済界などから非難されていた。審議まとめは、全国学力テストの結果でも課題とされた知識を活用する力を身に付けさせるには、現在の授業時数は十分ではないとして、増加を打ち出した。
答申は、年明けごろまでに行う予定で、文部科学省は来年三月、約十年ぶりとなる改定学習指導要領の告示を目指している。早ければ二〇一一年度にも実施される。
授業時数増以外にも、審議まとめは小学校の英語活動の必修化や中学校の武道必修化のほか、伝統文化に関する教育や道徳教育の充実などを盛り込んだ。教育基本法改正を受けての取り組みが目立つ。
問題は、盛りだくさんな教育内容に、教育現場が対応できるかどうかだ。審議まとめは、教員を増やす必要があると強調した。条件整備に言及したのは異例だが、教育環境が整わなければ現場は混乱しかねない。
総合学習の大幅削減は納得できない。自ら学び自ら考える「生きる力」をはぐくむという導入の狙いは、軽視してはなるまい。審議まとめは「各教科との適切な役割分担と連携が図れていない」と反省点を記したが、改善策がはっきりしない。中教審は答申に向け、教育現場に根差したさらなる議論が必要だ。
(2007年11月1日掲載)