朝堂院大覚こと、松浦良右は「大物」か?


日本テレビなどが、緒方公安調査庁元長官の朝鮮総連本部不動産の架空売買事件について、不動産会社社長(「三正」の満井)が売却を持ちかけた人物として、「朝堂院大覚」のインタビューを報道した。朝堂院こと松浦良右を、多くのメディアが「フィクサー」と取り上げている。事件記者の間では「ナミレイ事件の松浦」と言えば知らぬものがいないほどの有名人で、一部の事件記事の「ネタ元」的な存在でもある。私は二回しか会ったことが無く、また彼の情報で記事を書いたことは一度も無い。最近は、六本木交差点近くの「TSK.CCCビル」を舞台に所有権を争っていた。

神田錦町の法曹政治連盟(三正のビルにある)には、鎧兜や日本刀、書画骨董がズラリと並び、和服姿で「大物フィクサー」を演じていたが、贔屓目にも「滑稽な道化」にしか見えなかった。この時の様子は、98年8月に『週刊朝日』に以下の記事を執筆している。
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「私のことを『黒幕』『フィクサー』『大物右翼』などと呼ぶ人間が多いのは、政治家でもヤクザでも右翼でも来る者は拒まずという姿勢だからでしょう。しかし、私は若い時から現在まで、一貫して運動家なんです」
和服に身を包み、鋭い視線でこう語るのは、世界空手道団体連合の朝堂院大覚総裁こと、松浦良右法曹政治連盟名誉会長である。
この人物こそ、ポップス界のスーパースター、マイケル・ジャクソン(三九)を来日させて「名誉五段」を授与、テーマパークやおもちゃ屋を全国展開する「マイケル・ジャクソン・ジャパン」(MJJ、資本金五億円)設立の「仕掛け人」なのだ。
松浦氏は、八二年に企業恐喝容疑で逮捕された後(執行猶予判決)、安全保障問題やパチンコ利権の撲滅などに取り組んできた。その一方、佐川急便事件や証券会社の利益供与事件などでも関与が噂された「大物」である。
どう考えても、マイケル・ジャクソンとはミスマッチな組み合わせだが・・。
「マイケルとは、渡辺美智雄の黒人差別発言をキッカケに作った『世界黒人会議』に、スティーピー・ワンダーなどに連なる人物がいたことから関係ができたのです。空手を世界的なスポーツに育てたいという我々の意志と、マイケルの子供の夢をかなえたいという気持ちが一致して、今回の企画が実現したわけです」(松浦氏)
MJJや出資企業には、松浦氏の息子や三塚博元大蔵大臣の長男、警視庁OBなどが役員となり、法曹政治連盟会員のヤメ検を含む大物弁護士が顧問に就任するなど、「松浦人脈」が名を連ねる。
しかし松浦氏は、
「私自身は事業には一切関与しない」
と、強調。さらに、なぜマイケルの会見に同席した男の子が、松浦氏の事務所で遊んでいるのかと聞くと、
「あれは謎の少年じゃ」
と言うだけ。
ベールに包まれた日米の「大物」同士の共同事業は、はたして成功するのか。
(初出:『週刊朝日』1998年8月某日号)
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松浦の登場により、重大な疑惑追及が「探偵ごっこ」にならないかと危惧する。私の感覚では、テレビカメラの前で日本刀を振り回し「外資を叩き切る!」などと大見得を切っている人間が、大物フィクサーであるわけがない。