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福田首相:就任1カ月 「背水の陣」内閣の前途多難

自民党全国幹事長・政調会長合同会議であいさつする福田康夫首相=東京都内のホテルで2007年10月25日午前9時39分、竹内幹撮影
自民党全国幹事長・政調会長合同会議であいさつする福田康夫首相=東京都内のホテルで2007年10月25日午前9時39分、竹内幹撮影

 福田康夫首相が26日、就任1カ月を迎えた。参院で与野党勢力が逆転した中、ひたすら低姿勢に努めるが、防衛省、厚生労働省の不祥事が続き、防戦を強いられる場面も目立つ。霞が関や与党との調整は、安倍晋三前首相の時代よりも好転した一方、「福田カラー」を打ち出す状況には至っていない。「背水の陣」内閣の前途は多難だ。【中田卓二、古本陽荘、近藤大介】

 ◇霞が関との調整腐心…内政

 「本当に大変な状況になった。参院選で負けてしまったからだ。もう少し(地方の)皆様方の立場に立って考えていたら、このような惨敗は喫しなかったのではないかと反省している」

 首相は25日、自民党全国幹事長・政調会長会議でこうあいさつした。新テロ対策特別措置法案の国会審議の見通しが立たないばかりか、野党の協力がなければ、どんな政策も実現できない状況へのいら立ちがにじんだ。

 元々短気な性格の首相だが、1カ月間、低姿勢を強く課してきた。19日に首相公邸で開いた与党幹部との夕食会では、ワインを飲みつつ「大きな志を持つ者はささいな恥辱を意に介さない」という意味の中国の故事「韓信のまたくぐり」を披露。民主党などと粘り強く話し合う考えを示した。

 官僚機構との関係修復が進みつつあるのは、事務の官房副長官に二橋正弘氏を再登板させたことも奏功した形。小泉、安倍内閣の「官邸主導」は時に官僚とのあつれきを生んだが、官僚をうまく操縦しようとしている。1カ月間の面会者を見ると、官僚トップが21回で突出。首相が霞が関との調整に意を砕いていることがうかがえる。

 象徴的なのが公務員制度改革。首相は国会で「公務員が将来に不安を覚え、最近はいい人が来ないという各省庁の状況も踏まえて判断すべきだ」と答弁、従来の政府方針を見直す考えを示唆した。

 安倍晋三前首相の肝いりで設置された政府の教育再生会議は23日の会合で、首相の掲げる「自立と共生」の理念に沿って最終報告をまとめることを決定。保守色の強い提言を打ち出してきた会議の性格は様変わりする見通しだ。

 「何も目新しいことを追う必要はない。今ある問題を着実に解決していくというのが私の政治信条です」。首相は25日夜、就任1カ月を振り返って記者団に語った。

 ◇独自色発揮これから…外交

 「集団的自衛権の行使は憲法上許されないと解釈しており、今現在もその通りだ」

 首相は9日の衆院予算委員会で、安倍氏が設置した憲法9条解釈の見直しのための「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二前駐米大使)をどうするか問われて断言。「議論は十分に慎重でなければ」とも答弁した。

 実は参院選の後、就任前の首相と柳井氏との間で次のようなやりとりがあった。

 首相「あれ(安保法制懇)はもうだめになったよ」

 柳井氏「分かっています。あとは政治のご判断に任せます」

 もともと首相は「憲法解釈の変更を安易にやれば、憲法改正は遠のく」との立場。安保法制懇の報告書が提出されても事実上の棚上げとなりそうだ。報告書自体も「書きぶりで内容を薄める」(政府筋)ことが検討されており、次回会合の日程をセットするメドさえ立っていない。

 ただ、もともと得意といわれる外交分野では低調さを余儀なくされている。来月中旬予定の訪米が本格的な外交日程のスタートとなるが、給油活動中断や対北朝鮮問題も絡み、波乱含みの外交デビューとなる。

毎日新聞 2007年10月26日 0時09分 (最終更新時間 10月26日 2時45分)

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