「国の建て直しに着手するが、方法は武力に依存してきた過去とは大きく違う」。核問題をめぐる6カ国協議や南北首脳会談で柔軟姿勢を見せている北朝鮮が経済を中心に開放政策を進めると国民にアピールした。
朝鮮労働党の機関紙・労働新聞は30日の社説で「わが国の経済再建は国際経済のシステムを無視したままでは成し遂げられない」と強調。同紙は「以前は時代遅れの方法や技術だと分かっていても自前のものを動員してきたが、最新の科学技術と実益が大切」と述べた。
さらには「科学技術を重用しないことは革命を放棄することも同然」と先端技術の積極活用を主張。「武力で経済再建や社会建設を実現しようとする時代は終わった」と談じた。
ただ、開放を手放しに推奨しているわけではない。社説は「個別単位の利益でなく、国民全体のことを考えなければならない」とくぎを刺した。市場経済システムを一部導入した後に格差が生じていることを憂慮したものとみられる。また「経済管理分野で社会主義的なものと関係ないものは排除していく」とも主張。市場経済主義の導入は、あくまでも体制維持に脅威にならない範囲に限定されることを示唆した。
■ベトナム式開放も?
金正日総書記はこのほど、訪朝したベトナムのノン・ドク・マイン共産党書記長と会談。同国が20年前に導入し、経済面で大きな成果挙げているドイモイ(開放)政策を高く評価した。
会談後の26日から30日まで、金英逸首相らが視察のためにベトナムを訪れたこともあり、一部では「ベトナム式の開放政策を採るのでは」との憶測も飛んだが、同国と具体的な経済協力合意が行われることはなかった。
今回の社説の論調も考慮すると、国際社会が望むような開放へと一気に進むことはないとの見方が支配的だ。
金剛百景
統一にかかる費用 韓国GDPの6%台
韓国と北朝鮮の統一にかかる費用は、現在の韓国の年間国内総生産(GDP)の6.6〜6.9%で、韓国の経済力で負担できる水準であることが分かった。国会の予算決算特別委員会が研究院に依頼して試算した。
2015〜30年に統一されると仮定し、北朝鮮の1人当たりの所得が韓国の半分になるまでに必要な調整期間を10年として算定した。15年に統一した場合、16〜25年の費用は8,577億米ドルで現在の韓国の年間GDPの6.63%だった。20年統一時には9,912億米ドル(GDPの6.66%、21〜30年)、25年の場合は1兆1,589億米ドル(同6.85%、26〜35年)。統一時期が早いほど負担が少なかった。
統一費用の調達方法は、◇軍費縮小による充当分◇税金や国債など韓国の国民負担◇国際金融機関からの長期低利融資の誘致――を挙げている。
短信
北の上空通過料、908万ドル
大韓航空(KAL)とアシアナ航空が2002年から昨年までに北朝鮮に支払った上空通過料は計907万9,724米ドルだったことが分かった。
建設交通部によると、KALは720万8,542米ドル、アシアナは187万1,182米ドル。上空通過料は国際航空運送協会(IATA)傘下機関を通じて支払われる。1回の飛行における北朝鮮上空の通過料は平均80万ウォンで、韓国(15万ウォン)の5倍以上。
「アリラン」参加者にカラーTV
北朝鮮当局が、マスゲーム公演「アリラン」に参加した子どもたち全員にカラーテレビを1台ずつ贈ったことが分かった。
韓国の対北人権団体によると、贈られたのは北朝鮮製の「アリラン」ブランドの21インチカラーテレビ。厳しい練習を耐え抜いた子どもたちや見守ってきた両親は喜びを隠せない様子だったという。
平壌アヒル専門店が人気
平壌の統一通り近くにある「平壌アヒル肉専門食堂」が人気を集めている。在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の機関紙「朝鮮新報」が伝えた。
同店は故金日成主席が「平壌に人民のためのアヒル専門店を開け」と指示したのを受け、1968年に開店した。丸焼きや薫製、雑炊、ギョーザなど100種類のメニューをそろえ、客の注文に応じた特別料理もある。海外からの観光客にも定評があり、特にアヒルのプルコギが人気という。