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【放送芸能】民放連大会でシンポ テレビ番組の在り方問う2007年11月1日 朝刊 日本民間放送連盟(会長=広瀬道貞・テレビ朝日会長)の全国大会が三十一日、東京都内で開かれ、「テレビ。誰が何を見たいのか?〜最強のコンテンツとは〜」と題しシンポジウムが行われた。過去のシンポは「放送と通信の融合」などをテーマとしてきたが、今年は番組の在り方という根本的な問題を取り上げた。TBSがボクシングの亀田大毅選手らを大きく取り上げた問題などをめぐり、意見が相次いだ=パネリストは別表。 (小田克也) 「亀田問題」でTBS批判が強まる中、見城氏は、「TBSは亀田スタイルをきちんと見せた」と述べ、パフォーマンスに走る亀田兄弟など現代の一面をリアルに伝えた点を、あえて評価した。 これに対して福田氏は「スポーツでは勝者が敗者をいたわる。敗者が勝者をたたえる。そうした品位を踏みにじり、これにテレビが加担した。フェアであって初めてスポーツだ」と述べ、テレビがインターネットなどよりも優位であるためには、基本原理を踏まえることが大切だと指摘した。 一方、重延氏は、「スポーツ(番組)の強みは、生放送で一緒に感じることができること。(サッカーなどの日本代表の試合は)あっという間に数十%取ってしまう」と述べ、高視聴率につながるキーワードとして「生放送」と「共感」を挙げた。 ◇ 番組を見ていて気付くこととして、福田氏は「分かりやすさを追求し過ぎだ。例えばテロップ。画面に見入って、音声を聞いていた視聴者のリテラシー(分析能力)が落ちるのではないか。活字の世界も分かりやすくするほど、読者のリテラシーが下がる」と発言。 デーブ氏も「視聴者を幼稚に扱っている。大人がテレビを見ないのも、幼稚園児じゃあるまいし、というばかにされた気分があるのでは。その点、NHKは余計なものを出していない」と同調した。 これに対して鈴木氏は「言った言葉をテロップにするのは、だれでもできる。そうではない出し方があるはずだ。そこに努力の仕方がある」と述べ、小杉氏も「番組の特性に応じてやるべきだ」と答えた。 ◇ ドラマについて、デーブ氏は、「一番、不毛なのはドラマ。演技力がなく、昨日までモデルだった人を平気で使っている。今はCS放送やテレビ東京で海外の優れたドラマをやっている。比べれば分かる」と批判。小杉氏は、「本当に悪かったら使わない」などと反論した。 デーブ氏は、「タレントも楽屋でするのはCS放送の話ばっかり。自分の番組も見ていないのでは。視聴者も大人向けの番組を求めている。若い人にこだわりすぎではないか」と指摘。 さらに「米国では、地上波を見ている人が半分くらい。質の高いケーブル放送が客を取ってしまった。今年はリベンジの年。四大ネットが、ゴールデンタイムのドラマを放送直後からネットで見せている。ネットを敵と思わず、うまくやっている」と述べ、ネットを「敵視」する日本のテレビ界との違いに触れた。 ◇ テレビ業界の現状を振り返って、鈴木氏は、「『おれがつくった番組が一番おもしろい。だから見てもらいたい』という意地やプライドが足りない」と述べ、「テレビにあこがれる人材が少なくなっている。ここで働いたらおもしろいと思わせる番組にしなければ」と語った。 小杉氏も「ショービジネスの敵は、視聴者などが『まあ、いいや。後で見よう』と思ってしまうこと。(本当に)見たいものは今見るはずだ。ビデオ・オン・デマンドは結局、ライブラリーになってしまう」と述べた。 見城氏は、司会の安藤優子・フジテレビニュースキャスターから売れるコンテンツの条件を尋ねられ、出版社の立場から「明快さとオリジナリティーと、極端さと癒着」の四点を挙げ、会場の笑いを誘っていた。 毎日放送とFM東京が最優秀賞 日本放送文化大賞民放連は三十一日、第三回日本放送文化大賞を発表した。 テレビ番組のグランプリ(報奨金1000万円)は、尼崎JR脱線事故の被害者が回復する姿を追った毎日放送(大阪市)の「映像07年『私は生きる』」。準グランプリ(同500万円)は、中国放送(広島市)の「子どもと 島と おとなたち」。 ラジオ番組のグランプリ(同300万円)は、番組を学校に見立てた生ワイド番組、エフエム東京の「SCHOOL OF LOCK!」。準グランプリ(同150万円)はエフエム福岡の「ラジオドラマ『月のしらべと陽のひびき』」。 受賞番組は、原則として三カ月以内に全国放送。
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