諸般の事情にて当ブログの更新が一時的に中断されていた事により,今回ご支
援賜った多くの皆様に大変ご心配をおかけ致しました事を,まずは深くお詫び申し
上げます。誠に申し訳ございませんでした。
さて早速ですが,表記の通り,皆様方に米国へと送り出して頂いたけいた君が,
渡米以来約半年という予想以上に早い段階で,この度再びこの日本へと,しかも
元気な姿で戻って来れる運びとなりました事をここに謹んでご報告申し上げます
と共に,直接メ-ルやお電話にてお問い合わせ下さった方々を始めとして,今日
に至るまで,舞台裏での諸事情をお汲み取り下さり,じっと経緯を見守り続けてい
て下さった数多くの方々のお心遣いに,私共一同心より厚く御礼申し上げる次第
です。
大人にとっても極めて大掛かりな治療ですから,ましてやそれがわずか2歳の
幼児の事と思えば,順調に推移しているとのお医者様のご説明があくまでも大枠
での話である事は,落ち着いて考えてみれば当然といえば当然の事だったのです
が,それが単純に全快を意味するものとしか理解出来ていなかった私共にとって
は,この間はまさに文字通り予想外の出来事の連続でした。
そしてそれが,結果的にはブログの更新を停止させるまでに至る様々な要因へ
と繋がって行く事になるわけですが,しかし皆様方に多大なるご心配をおかけした
代償として,今回お世話になった米国並びに,日本からの患者の受け入れは今回
が初めてだそうですが,オハイオ州コロンバス小児病院の方々とも極めて良好な
関係を築く事が出来た旨伺っております。思いがけず,わずか半年余りの予後期
間での帰国が実現出来た背景には,そういった米国の先生方は無論の事,日本に
いながらにして,帰国後も滞りなく治療を引き継げるようにと,母親麗子から毎日の
ように送られて来る米国での詳細な日々の様子を,多忙を極める合間を縫いなが
ら細部に渡るまで把握し,要領の悪い私共にまで的確な指示を出し続けて下さって
いた主治医の布田伸一先生他,関係各位の言葉には出来ないほどの多大なるご
尽力がありました。
当会にとって,その最大の目標であったけいた君本人はもちろんですが,これか
ら後も続いて行くであろう同様の子供たちの現状では唯一の希望ともいえる道が,
直接であれ,あるいは間接的にであれ,私共が原因となって閉ざされてしまうよう
な事だけは何としても避けたいと,私共は切実にそう思っていましたし,また同時に
それを何より恐れてもいました。しかし最終的には,このような非常にありがたい形
で日本へと送り出して頂ける事が出来るという意味も含め,ここ日本から米国にま
で至る道を作って下さった全ての皆様に,改めまして一同心より感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
けいた君は,本月30日夕刻の便で戻って参りますが,今回に限り,他のお客様の
ご迷惑にならないよう空港内にて別途場所を用意し,当会発足以来初めての事に
なりますが,親子三人を揃って同席させての帰国会見を行う予定でおります。
またその模様は,画像と共に後日当ブログ上にてもご紹介させて頂くつもりでおりま
すので,重ね々恐縮ですがそれまで今しばらくお待ち下さい。周辺への配慮から,
空港へのご来場もお控え下さいますようお願いしておりますが,その点につきまし
ても合わせてご理解のほどお願い申し上げます。
また,松田麗子より,皆様へのメッセ-ジをとの申し出がありましたが,それは私
の判断にて取り止めさせて頂きました。今回の会見へのけいた君本人の出席は,
もちろん予めドクタ-の許可を頂いての事ですが,ただしそれには当日まで何も問
題が起きず,現状のまま推移してくれた場合には,という条件が付いていたからで
す。無事に成田空港へ降り立つまでは完結ではないとの趣旨から,勝手ながら母
親のメッセ-ジは帰国後,けいた君の状態が落ち着いた段階でご紹介申し上げる
事とさせて頂きたく思っております。
ちなみに,今回お世話になった米国オハイオ州コロンバスでは,毎年一回,ドナ
-となって新たな命を授けて下さった方々を悼むための慰霊祭があり,本年は去
る4月18日に行われたそうなのですが,帰国前にけいた君を連れて参加させて頂
く事が出来ただけでなく,周囲の方々からも暖かく迎えて頂いたと聞いております。
しかしそこへと至る事が出来ましたのも,影となって現地での生活を支え続けて下
さった,コロンバスに在住,ないしは駐留されておられる多くの邦人ボランティアの
方々の存在があったればこそです。
この募金活動を通じ,私共はこれまで考えた事もなかった様々な事を学びまし
た。特に,表の顔とも言うべき,一人の子供の命が救い上げられるという単にそ
の事だけでは到底済ませられないほどに,余りにも多くの問題もが同時にそこに
は存在しているのだという事を知るに至った,という点がその最たるものと言える
でしょう。
今回この慰霊祭に自ら参加出来た事は,彼女にとっても,自分たちに手を差し
伸べて下さった多くの方々,あるいはドナ-となってわが子の命を繋いでくれた
名も知らぬお子さんやそのご家族への感謝というだけに止まらず,移植医療が,
救われる側よりもむしろ遥かに辛い選択を迫られるであろう提供する側に於いて
も広く理解され,けいた君のような外国人にさえもその機会を分け与えるばかり
か,その結果救われた子供をも暖かく受け入れてくれる世界に暮らす人々と触
れ合う中で,母親として,人として,上っ面だけではない,より深い部分で得たも
の,感じるものも多かったはずです。それを,これほども多くのご支援を頂いた
者としてこれからの生活の中にどう生かして行くのか,いずれにしても父親であ
る松田祐樹ともども,本当にその真価を問われるのはまさにこれからなのだと
思います。
けいた君が戻って来ても,当たり前ですがまだまだ当会には大きな責任が残さ
れていますし,会の活動がここで終わるわけでもありません。最終的にお預かり
した巨額の募金が完全に当会の手元を離れるまで,あまり体裁は良くありません
が引き続きこのブログも続けて行きますので,どうか最後までよろしくお願い申し
上げます。
けいた君を救う会 水澤 滋