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2007.10.31(水)更新
【動画・独占インタビュー】
三木聡監督がオダギリジョーと組んだ新作「転々」は
これまでとひと味違う“胸キュン”お散歩コメディ
【動画・独占インタビュー】
三木聡監督がオダギリジョーと組んだ新作「転々」は
これまでとひと味違う“胸キュン”お散歩コメディ
三木聡監督の新作「転々」は男2人が東京を西から東へと歩き続ける“お散歩”ムービー。東京っぽい人気スポットが出てこないところが、三木監督らしい。「お台場とかは、『ロスト・イン・トランスレーション』など他の映画で描かれていますから。上野や浅草は子供の頃に、父親に連れていかれた場所でもあるんです」。ロケ地にまつわるエピソードは、特設「転々」開運MAPを参照あれ
【動画・独占インタビュー】
三木聡監督がオダギリジョーと組んだ新作「転々」は
これまでとひと味違う“胸キュン”お散歩コメディ
三木監督はリハーサルを繰り返すことで有名だが、新宿での群集シーンは一発撮りに挑むなど、これまでとはひと味違う趣きの作品に。「新宿のシーンは長玉(望遠レンズ)、長回しを使い、ドキュメントっぽい不確実要素を取り入れました。そういう状況でのオダギリジョーさんの集中力は頼もしかった。『図鑑に載ってない虫』が計1300カットだったのに対して、『転々』は800カットなんです」
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三木聡監督がオダギリジョーと組んだ新作「転々」は
これまでとひと味違う“胸キュン”お散歩コメディ
大学8年生の文哉(オダギリジョー)は借金取りの福原(三浦友和)に誘われて、吉祥寺から霞ヶ関まで歩いていくことに。世代も違い、お互いのことを詳しく知らない2人だが、一緒に歩いていくうちに友情とも同情とも言えない、ビミョーな感情が芽生えていく。同じものを見て、笑ったりドキドキできる関係って大事かも
【動画・独占インタビュー】
三木聡監督がオダギリジョーと組んだ新作「転々」は
これまでとひと味違う“胸キュン”お散歩コメディ
“幸運を呼ぶ”と噂の岸部一徳。文哉と福原、スーパー3人組(岩松了、ふせえり、松重豊)を結ぶ“やじろべえ”的存在として度々現れる。「ドラマに直接関係ない第3者が、主人公たちの幸・不幸の鍵を握るという構造です。『マルコヴィッチの穴』(’99)がジョン・マルコヴィッチでしか成立しなかったように、この役も岸部さんでなくてはならなかった」
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三木聡監督がオダギリジョーと組んだ新作「転々」は
これまでとひと味違う“胸キュン”お散歩コメディ
一見、平凡な一家の夕食シーンに見えるが、家族の温かさを知らない文哉にとってはレア体験。“家族”で食べるカレーライスがこんなにも美味しく、こんなにも切ないとは。「磯見俊裕さんは、映画美術の第一人者。どうせつくるならと磯見さんら美術チームがとても美味しい手づくりカレーをつくってくれたんです」と三木監督、絶賛!
【動画・独占インタビュー】
三木聡監督がオダギリジョーと組んだ新作「転々」は
これまでとひと味違う“胸キュン”お散歩コメディ
アメリカン・ニューシネマの傑作「スケアクロウ」(’73)を彷佛させる男2人旅だが、三木監督の手にかかると文哉と福原が道中で遭遇するのは、どこか妙チクリンなものばかり。のんびり歩けば、東京はおかしなものに満ちた笑える街だったのだ。エンディングもニューシネマっぽい「えっ?」というフィニッシュ
■「転々」は、11月10日(土)より、アミューズCQN、テアトル新宿他にて公開
©2007「転々」フィルムパートナーズ
【三木聡監督プロフィール】
1961年神奈川県生まれ。バラエティー番組の構成作家としての活動と平行して、舞台「さまよえるオランダ人」(89年)などシティボーイズ・ライブの作・演出を長年手掛けていたが、「ウルトラシオシオハイミナール」(2000年)を最後に映画・TVドラマの分野にシフトチェンジ。2002年「優香座シネマ お湯は意外とすぐに沸く」(テレビ朝日系)、2003年「演技者。 いい感じに電気が消える家」(フジテレビ系)、2003年「東京少女 臭いものに蓋の日」(BS-i、BSフジ)などのドラマを脚本・演出。2006年「時効警察」、2007年「帰ってきた時効警察」(ともにテレビ朝日系)シリーズでもメーンの脚本・演出を務め、「時効警察」では12.1%(第2話)、「帰ってきた時効警察」では13.5%(最終話)と深夜11時台の枠ながら好視聴率を記録した。映画監督として、2002年に撮影した「ダメジン」(2006)、「イン・ザ・プール」「亀は意外と速く泳ぐ」(ともに2005)、「図鑑に載ってない虫」(2007)と意欲作を立て続けに発表。三木監督の少年時代の記憶が色濃く投影された「図鑑に載ってない虫」のDVDは11月23日(金)よりリリースされる。

【STAFF&CAST】
原作:藤田宣永 脚本・監督:三木聡 出演:オダギリジョー 三浦友和 小泉今日子 吉高由里子 岩松了 ふせえり 松重豊 岸部一徳 笹野高史 石原良純 鷲尾真知子 広田レオナ 津村鷹志 宮田早苗 石井苗子 横山あきお 平岩紙(2007/スタイルジャム)101分
>> 公式サイト
予告編[転々]
三木聡監督インタビュー(6分13秒) [転々]
吉高由里子インタビュー(5分14秒) [転々]
完成披露舞台挨拶(5分42秒) [転々]
>> 「転々」開運ロケ地MAP
>> 「転々」吉高由里子インタビュー
>> 三木聡監督「図鑑に載ってない虫」インタビュー
>> 三木聡監督「ダメジン」ロング・インタビュー
>> 三木聡監督「亀は意外と速く泳ぐ」インタビュー
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「ベストなキャスティング。監督が
どーこー言う作品じゃないんですよ」


 豪快なチャンコ鍋を堪能した後に、つるんとした喉ごしの絶品手打ちソバが出てきたようなものか。三木聡監督が過剰なまでにギャグを詰め込んだ爆走ロードムービー「図鑑に載ってない虫」がこの夏に公開されたばかりだというのに、お次は秋らしく、しっとりとしたお笑いお散歩ムービー「転々」の封切りなのだ。
 DVD「帰ってきた時効警察」もただいま絶賛レンタル中、とテレビ&映画界に“ゆるゆる”ブームを巻き起こした三木監督のファン(ミッキーマニア)にとって、2007年は何とも幸福な1年である。

 「時効警察」シリーズでお馴染みオダギリジョーを主演に迎えた映画「転々」は、直木賞作家・藤田宣永氏の同名小説がベース。借金を抱える天涯孤独な大学生・文哉(オダギリ)が、借金取りの福原(三浦友和)から「100万円やる」と言われ、男2人で東京中をてくてく歩き回るという設定こそ同じだが、行く先々で出会う人物や事件は、三木監督ならではの脱力系のものばかり。見慣れていたはずの何でもない日常の光景が、よく見てみるとヘンテコだったり、実は味わい深いものだったり、市井に埋もれた愛しきものたちが全編に散りばめてある。

 深まりゆく秋の夕暮れ、表参道にて三木監督へのゆるゆるインタビューを敢行。三木監督、よくもまぁここまで原作小説とは違う作品にしちゃいましたね。小説と同じなのは、スタートとゴールぐらいじゃないですか。
「またぁ、MovieWalkerさんは、そういう誤解を招くような発言を(笑)。奥田英郎さんの『イン・ザ・プール』(2005)もそうでしたけど、ボクが監督した映画を観て『原作と違う!』なんて言う人がいるんですよね。映画と小説は別の表現媒体ですから。それに、どうやってもゼロから1を生み出した原作にはかなわないわけです。それなら映像化する際に原作とは別の方向に持っていかなくちゃと、ボクなんかは本能的に考えてしまうわけですよ」

 原作では旅の後半にはクライマックスに相応しい“大事件”が控えているが、映画版ではこの部分は消え、代わりに三木監督らしい“とても小さな事件”でも“生涯忘れられない出来事”が盛り込まれている。脚本の第1稿を書き始めたのは2005年だそうですが、最初からこのような大胆な構成を?
「そうです。原作を読んだのが2004年ごろで、『時効警察』(2006年1〜3月)が始まる前に第1稿は書いてました。ここだけの話、最初に脚本を持ち込んだ会社には『何だ? 原作のいいところが1つも入ってないじゃないか』と言われNGになったんです(苦笑)」

 そうだよなぁ。常識ある大人のプロデューサーなら、そう反応するよなぁ。と内心うなずくインタビュアーだが、ここは話を進めよう。
「2005年の暮れに『時効警察』の撮影が始まって、オダギリさんに『こんな脚本があるんだけど』って話ましたね。オダギリさん、『ビッグ・リバー』(2005)でベルリン映画祭に行く機中で『転々』の台本を読んでくれたんです。最初はボクも大学生の役なんでオダギリさんはどうかなと思ったりもしたんですが、結果として今回のキャスティングはベストなものになりましたね。小泉今日子さんとオダギリさんが動物園でコビトカバを眺めているシーンを間近で見てて『何で、この2人が一緒にいるんだろう』と幸せな気分になりました。
 三浦友和さんも『台風クラブ』(’84)を観て以来、ダメ男ぶりがいいなぁとずっと思ってたんです。ダメさを演じるには、センスが必要なんです。新人の吉高由里子くんを含めて、キャストがみんなすっごくハマった。撮影の谷川創平さんとも初めて組んだんです。ふだんのボクの作品とは違う、新鮮な映画になりました。もう、監督がどーのこーの言う作品じゃないんですよ(微笑)」

 「イン・ザ・プール」(2005)、「時効警察」と三木作品のツボを心得たオダギリジョーに加え、三浦友和、小泉今日子といった実力派が大人のドラマを構築。「紀子の食卓」(2006)で注目された吉高由里子がフレッシュな風を吹き込むという理想的な配役。本作は三木監督が役者の素材の良さを充分に引き出した、オーソドックスな演出ぶりが評価される作品と言えそうだ。
「幸福って偶然が積み重なったもの。
実は、とても不安定なものなんです」


 三木作品の常連である岩松了&ふせえりコンビ、今回もしっかり出演。「亀は意外と速く泳ぐ」(2005)の“そこそこラーメン”の店長役が印象深い松重豊と共に、おバカな“スーパー3人組”を演じている。スーパーマーケットに勤めている福原の妻が無断欠勤していることから、スーパー3人組は福原のマンションを訪ねるが、“街で会うといいことがある”と噂の岸部一徳(岸部一徳本人)に遭遇して訪問を延期してしまう。岸部一徳、単なるカメオ出演かと思えば、実は本作の重大なキーパーソンだったのだ。
「福原はある秘密を持って旅に出るんですが、スーパー3人組がマンションに着いてしまうと、福原の秘密はバレ、文哉との奇妙な旅もそこで終わってしまうわけです。岸部さんはある意味、“幸運の神様”。岸部さんのお陰で文哉は福原と旅が続けられ、小泉今日子さん演じる麻起子の家で家族の団欒を味わうことができるんです。岸部さんは自分が“福の神”であることは自覚してないんですけどね。
 でも、幸福って、そんなものだと思うんです。いくつもの偶然が積み重なって、つくられているものだと思うんです。幸せって、ずっとあるかのように思いがちだけど、実はすごく不安定なもの。だからこそ、この重要な役は、名優である岸部さんに演じてもらう必要があったんです」

 お〜、いつもながら三木監督の企みはディープだ。笑いの中に、そんなメッセージが込められていたとは。幸せとは不確かなもの。だからこそ、愛しい。外見上は「なるほどねぇ」など軽く相づちを打っているインタビュアーだが、心の中では号泣する一歩手前なのだった。

 さて、ドラマの後半、隅田川を越えると街の雰囲気が変わるとともに、物語のテイストもがらりと変わる。ささいな嘘から、文哉と福原は麻起子と“疑似家族”を演じることに。麻起子の姪・ふふみ(吉高由里子)も加わり、何とも温かく平凡な幸せに満ちた“フェイク家族”が誕生する。
「最初はぎくしゃくした関係だった文哉と福原が、ずっと歩いているうちに『しょうがないなぁ、このオッサンは』と文哉は思うようになるんですね。新宿までは文哉が先を歩いていたのに、新宿を出た後では文哉が後ろを追っていくようになる。そして男2人の関係がマックスの状態のときに、大人の女性である麻起子が加わり、新しい関係が生まれる。さらに、ふふみが加わり、また違う関係へ変わっていく。映画『転々』にドラマらしいものがあるとすれば、この人間関係の変化の部分でしょうね」

 家族との温かい記憶のない文哉は、“フェイク家族”によって夢のような時間を過ごす。しかし、フェイクゆえに、数日後にはバラバラの日常にまた戻っていくという切ない運命(さだめ)。この“疑似家族”は三木監督が深夜ドラマ「いい感じで電気が消える家」(2003)や「帰ってきた時効警察」最終話でも扱っているモチーフだ。前作「図鑑に載ってない虫」も、個性溢れるキャラクターたちに奇妙な仲間意識が生まれ、疑似家族化していくドラマでもあった。
 企業への終身雇用という経済基盤が揺らぎ、家族制度も地域社会も壊れつつある現代社会において、三木監督は新しい人間関係の在り方をコメディを通して提唱しているのではないだろうか。例えば、米国の作家カート・ボネガットが小説「スラップスティック」の中で“拡大家族”を提唱したように。
「いやいや、そんな大それたことは提唱してませんよ(笑)。でも、確かにボネガットなど米国のカウンターカルチャーの作家は好きですね。ボネガットの小説はよくストーリーは分からないけど、なぜか面白い。ニューシネマも、カウンターカルチャーの流れにあるものですよね。列車に乗って旅を続けるホーボーとか、ヒッピー文化への憧れが強いんです。監督デビュー作である『ダメジン』(2002年撮影)から『転々』まで変わらずあるものって、きっとその部分ですね。束縛されずに、自由に生きてみたい。食い扶持を稼ぐためにしばらく働くけど、また次の土地へと旅立っていく。ず〜と、同じ所にいると飽きちゃうんですよ」
 映画「転々」さながら、いつか三木監督もまた新しいジャンルへ旅立つんでしょうか?
「それはどうでしょうね。プロデューサーは、『転々』はボクのターニングポイントになる作品だろうと言ってましたけどね。でも、ボクが急に文芸大作を撮ることはないと思いますよ(笑)。誰もそんな依頼をボクにはしないでしょうし。でも、1人ぐらい間違ってそんな依頼をする人がいれば、それはそれで面白いですよね〜」

 三木監督にとって映画「転々」は、新しい出発点となるのか。また、どこに向かって旅立っていくのか。三木作品を愛する全国のミッキーマニアはぜひとも劇場で確かめて欲しい。

(取材・文/ライター長野辰次)



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