松本市の信州大付属病院(勝山努病院長)で02年、眼科を受診した同市内の男性(当時52歳)が脳梗塞(こうそく)で死亡したのは、担当医が適切な処置を怠ったためとして、遺族が大学と担当医を相手に慰謝料など約8400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が31日、地裁松本支部(峯俊之裁判長)であった。峯裁判長は「脳梗塞の予見性は極めて低い」などと原告の主張を退け、請求を棄却した。
判決によると、男性は02年4月23日、左眼の視野障害を訴えて眼科を受診。眼底などの診察を受け、次回の検査などを予約して帰宅した。その後、同月28日に自宅で倒れて別の病院に搬送されたが、02年5月1日に脳梗塞で死亡した。
裁判では、男性の脳梗塞の予見性や、担当医の処置が適切であったかなどが争点となった。判決は「症状は緑内障によるものだった可能性が高い。担当医の判断や処置に過失があったとは認められない」などとし、「脳梗塞の予兆である疑いがあり、処置を怠った」などとする原告の主張を退けた。
勝山病院長は「亡くなられた患者様には大変お気の毒ですが、本院の主張が裁判を通して認められたと思っている」とコメントした。
原告側は判決を不服として控訴する方針。【光田宗義】
毎日新聞 2007年11月1日