県医療局が数少ない産科医を拠点病院に集めた結果、産科が今夏事実上廃止された県立胆沢病院(奥州市)で、31日、病院の今後の運営などについて地域代表者らが意見を述べる「胆江地域県立病院運営協議会」があった。席上、小見克夫・水沢医師会長が「本当に県民の医療を考えているのか。10年先、20年先にはうまくいくと言うが、その時はあなたは退職している」と法貴敬・県医療局長の対応を激しく批判した。
産科開業医の小見会長は「28日は3人、29日は1人、30日は3人を取り上げた。疲労困憊(こんぱい)しており助産師はよくもっていると思う」と産科廃止後の現状を説明。「産科医退職の情報はあったはずなのに昨年の協議会で全く話が出なかった。(産科廃止を)法貴局長は当医師会と十分話したと言うが、私はきょうまで1回も会っていない」と指弾した。
さらに「正常分娩(ぶんべん)を担う開業医が助産師不足にあえいでいるのに、県立病院には助産師があふれかえっている。そのうえ助産師を新たに募集している」と指摘。産科医不足で助産師の活用が求められる中で、民間から助産師を引き抜いたうえ才能を眠らせている県の方法を批判した。
これに対し法貴局長は「情報は3月になってから。また『県産婦人科医師会と話した』と説明したのが誤解して報道された」と釈明。一方、助産師については「助産師は県立病院全体で200人もいるが看護師として働いている人が多く、元に戻れるか(助産師として働けるか)というと実働部隊は少なかった」と活用が不十分だったことは認めた。
このほか協議会では、医師確保が困難な中、地域の医療機関同士の連携がより求められるという意見が相次いだ。【石川宏】
毎日新聞 2007年11月1日