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商業施設新聞
[2007.10.30]
商業記者の独り言
No.173
あの球場の跡地は今…
大西 譲治
 商業施設の立地には、時代時代によって流行りや廃りがある。少し前なら大規模農地の転用や旧国鉄の貨物ヤード跡地、都心部では学校の跡地などが旬であったように思う。現在では減ってきたが、数年前には会計基準の変更などから、大型工場の跡地がものすごい勢いで大型商業施設としてリニューアルされていき、生産の海外シフトを側面から見ることができた。また、都心部では銀行の統廃合によるその跡地への店舗のリニューアルも多く見られ、金融ビッグバンならびにその統廃合の凄さも間接的に感じられた。

 そして、近年目立ってきたのが野球場跡地である。ここ十数年で目まぐるしくオーナーが変わり、また首都圏中心から地元密着の姿勢を球団が強めて本拠地を移転したりなどして、現在ではプロ野球の球場として使用されなくなった球場も多数出てきた。特に、阪急、近鉄、南海が存在した関西地区では、すでに球団を手放したところが多く、具体的な跡地利用が見られる。

 南海ホークスの本拠地であった大阪球場は、「なんばパークス」としてすでにオープンしている。施設の中に屋上公園を配置して、都心の中に緑溢れる空間を創出するなど、大阪の新スポットとして親しまれている。2007年4月には、第2期分も開業してシネコンや高島屋グループの開発した専門店街もオープンするなど、さらに魅力を増しつつある。

 また、阪急ブレーブスの本拠地であった西ノ宮球場は、阪急百貨店を核とする大規模SC「阪急西宮ガーデンズ」として新たに生まれ変わる予定だ。阪急百貨店を核店舗に、イズミヤ、ユニクロなど6つの大型専門店のほか、シネマコンプレックスなども導入する予定だ。オープンは08年秋を予定している。

 さらに近鉄バファローズの本拠地であった「藤井寺球場」には、学校法人の四天王寺学園が小学校を整備しようとしている。

 なお、関西地区ではないが、広島カープのフランチャイズである広島市民球場も広島駅近くに移転が決定している。その広島市民球場の跡地には、大規模集客施設を誘致しようとして事業者の選定を進めているところである。また、新球場の隣接地にも集客施設の整備が予定されている。

 プロ野球の球場として人を魅了し、人気を集めた地も、時代の流れとともに新しい機能が与えられているのだ。その動きを今後も見ていきたい。
大阪球場跡地を開発した「なんばパークス」
大阪球場跡地を開発した「なんばパークス」
移転が決定している「広島市民球場」
移転が決定している「広島市民球場」