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ワールドシリーズ特集2007

松井稼の執念も及ばず 窮地に立たされたロッキーズ

(2007/10/28 丹羽政善)

厳しい表情で試合を見つめる松井稼。(写真提供:AP Images)

厳しい表情で試合を見つめる松井稼。(写真提供:AP Images)

【デンバー27日=丹羽政善】6−0の一方的な試合が、7回には1点差まで縮まった。

 足掛かりは、松井稼頭央の執念。7回裏、先頭で打席に立つと、三塁前にセーフティーバントを決める。すかさず二盗も決めると、次打者のセンター前ヒットで一、三塁となった後、マット・ホリデーが代わったばかりの岡島秀樹から3ランを放ち、ロッキーズがレッドソックスを追い上げた。

 その直前の7回表、この回からマウンドに上がったマット・ハージェスが、レッドソックスの4〜6番を3者三振に打ち取る。ここで松井は流れを意識し、「セーフティー(バント)も面白いんじゃないか」と、感じたそう。それにまんまと成功した松井は、二盗に関して「モーションを見て、行けると思った。それぐらいの自信があった」と話している。

 再び4点差とされた8回も、2死から松井がセンター前ヒットを放つと、2番トロイ・トゥロウィッキーの四球で一、二塁となって、”あわや”という期待を抱かせたが、ここでマウンドに上がったジョナサン・パベルボンにホリデーが抑えられると、万事休した。

 8回の3点も痛かったが、3回に奪われた6点が、最後まで重くのしかかった。

 そのダメージは、皮肉にも松坂大輔に与えられたものだった。

 その場面は、まだ3点差だった。3回、2死一、三塁の場面でロッキーズは8番のフリオ・ルーゴとの勝負を避けて松坂との勝負を選ぶも、その松坂にメジャー初安打となる2点タイムリーを許して0−5に。この2点が与えてはいけないものだった。

 それでも、ロッキーズとしては、優位に立つチャンスがなかったわけではない。

 初回、レッドソックスは無死一、二塁のチャンスを逃す。その裏、松井が松坂の投じた初球、92マイル(約148キロ)のストレートをライト前にはじき返すと、J.D.ドルーがもたつく間に二塁を陥れて、無死二塁とした。

 仮にここでロッキーズに先制点が入っていたら――というケースだが、結果的にはピンチをしのいだ後の好機をものにできず、それが後々まで響いた。

 これで、対戦成績は0勝3敗。これまでのワールドシリーズ史上、0勝3敗となったケースは22回あるが、そこから4連勝したチームはない。逆に、22回のうち19回がスイープという、ロッキーズにとっては不利な数字が残る。近いところでは、2004年にレッドソックスがカージナルスに4連勝。翌年もホワイトソックスが、アストロズをスイープして、ワールドチャンピオンになっている。

「とにかく勝つしかない」という松井は、静かな声で、こう言葉を足した。

「試合に勝つためには何をしていかなければいけないか。その準備をして、しっかりやらなければいけない。その後は、結果ですから」

 ロッカーには、千羽鶴が飾られていた。

 託された夢が、そこにある。

 この日からリードオフマンに抜擢された松井は、明日の試合でそれにどう応えるのか…。


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