MLリソース:喘息薬






CDC-MMWR:Morbidity and Mortality Weekly Report

--- http://www.cdc.gov/mmwr/ ●MMWR Surveillance Summaries - Surveillance for Asthma --- United States, 1980--1999[MMWR Surveillance Mar.29,2002/Vol.51/No.SS--1] - Chronic Obstructive Pulmonary Disease Surveillance - United States, 1971--2000[Aug.2,2002/Vol.51/No.SS--6]

関連●ステロイド点鼻スプレー[1046_ad2]
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関連●リソース:喘息治療薬[個別薬剤][mp_asthma2]
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【日本語版コメント1265】
 中等症から重症の喘息薬オマリズマブomalizumab(商品名:ゾレア皮下注用 Xolair)が日本でノバルティス社により申請(2006.6.26)されている。 本剤は、喘息の病態の根底にあるアレルギー・炎症反応を抑制する世界初の抗IgE抗体で、米国で2003.7発売、欧州では2005.10承認され、世界46ヶ国で承認。 2006年度世界売上$527 million(前年比+62%)と急速に普及しており、プロックバスターは確実。
 最近市販後調査からアナフィラキシー報告が問題となり米FDAからトクターレターが発行(2007.2)、添付文書に黒枠警告が表示(2007.7)されることとなった。 発生率は2%程度。

【日本語版コメント1230】
米国では喘息・COPDの標準療法である短時間作用型beta-agonist吸入剤の96%はCFC使用(2004年度、IMS)。 FDAは2005年3月にサルブタモールのCFC使用の最終ルールを通知、2008年末をもってサルブタモールCFC MDIsは製造中止となる。 日本ではサルブタモールに関しては切替済み。
 今回採りあげたXopenex HFAはドライバウダーMDIで、在来型Xopenexの年間売上高(2005)が$429 million(約500億円)と、かなり使用されている。

【日本語版コメント1102】
2000年度喘息薬市場は100億ドル(+12%)。 内訳はβ2刺激剤29%(+9%)、ステロイド33%(+16%)、ロイコトリエン拮抗剤11%(+57%)、その他27%(+0)[IMS Health]。
 β2刺激剤とステロイド配合の吸入喘息薬が米国で市販された。
 このアドベアー[Advair Diskus]は"喘息の内在する2構成要素である炎症と気管支収縮を同時に治療する最初で唯一の薬剤"として発表された。
 更に、ステロイドの用量は従来の半分に減量にできるメリットもあるという。
 本剤は世界では既に販売されており2000年度売上208百万GBP(約351億円)、因みにGSKにより単剤として販売されるfluticasone製剤1485億、salmeterol製剤1050億円。

 最近ステロイド剤は、MDIから粉末吸入剤Dry powder inhaler(DPI)に移行しつつあるが、DPIはMulti-dose reservoir =Turbuhaler (AstraZeneca) , Multi-unit dose =Accuhaler/Diskus(GSK), Unit dose(多数)の3種に分類。(前2者は日本では未販)
Diskusは二重フォイルブリスター中に60回分含有。
参考:Developments in inhalation technology[PA Consulting Magazine]-最近のDPI技術動向
DPIの実際の使用法と解説はMedication Delivery Devices[Asthma Society of Canada]- Aerolizer/- Diskhaler/- Diskus/- Rotahaler/- Spinhaler/- Turbuhaler が図解入り。


【日本語版コメント1044】
 ▼世界で喘息患者は1億5千万人、喘息死は年間10万人に上る。 日本でも1996年「患者調査」では喘息患者115万人。喘息死は年6000 - 7000人(厚生省)。 増加傾向にある。 医薬品市場としても呼吸器疾患治療薬は5番目に位置し、新薬開発はLT拮抗薬と製剤改良(ノンフロン・dry powder吸入剤)が盛ん。
 ▼"喘息は慢性炎症性疾患"との認識は近年定着した。 日本でも漸く1998年「喘息予防・管理ガイドライン1998」が改訂された。 世界では数多くの喘息ガイドラインがあり、ガイドラインの普及に伴い、薬物療法も長期管理薬(コントローラー Controller)と発作治療薬(レリーバー Reliever)、その他と3分類し、長期管理についてはステップ1〜4に分けての管理が定着しつつある。 喘息薬は長期に使用されるため各国とも新薬承認には慎重だが、それにしても日本と欧米との差は大きい。 日本には外国未承認の抗アレルギー剤が数多く繁用され、一方最近外国で承認されている喘息薬の多くが日本では未承認である。
 ▼「喘息」を適応とする医療用医薬品を検索すると124成分がリストされた。 喘息・アレルギー性疾患治療剤、副ホ剤等の他に強心利尿剤、強心配糖体、去痰剤、抗生物質、消炎酵素、血液成分、ヨウ素剤、漢方製剤等多様。 それだけ薬物療法も複雑ということ。 喘息・喘息薬の分類はAsthma Management Model
 ▼喘息治療に関する考えは日本と欧米では明確に異なる。 欧米で安全性の確立されている第一選択剤吸入ステロイドが日本では開業医で5%程度、一般病院でも15%と少ない普及率。 また有効性の確立されていない抗アレルギー剤が日本では繁用されている。
 ▼米国アレルギー喘息免疫学会1997総会発表における喘息薬の進歩:1)salmeterol(不整脈の副作用が低減)、2)フルチカゾン(新剤形Diskhaler/Diskusによる有用性増加)、3)トリアムシノロン(非特定フロン使用による吸入剤で小児喘息患者での耐容性と有用性増加)、4)プランルカスト(経口LT剤;肺機能と喘息症状を1週間で改善、12週間効果継続。)[Advances in the Pharmacotherapy of Allergies and Asthma]

【市場】
 ▼世界の喘息薬市場は1999年度約90億ドル(前年比+10%)、内訳は副腎ステロイド34%(前年比+12%)、持続性β刺激剤13%(+20%)、ロイコトリエン拮抗薬7%(+91%)、その他46%(+4%)だった。 出典:IMS Health

 世界の喘息薬市場は、吸入ステロイドを中心として、β2作動剤とLT拮抗剤とで占められている。 その内訳は変化し、吸入ステロイドではベクロメサゾンの使用は激減し、現在はフルチカゾン[GSK]とブデソニド[AstraZeneca]に2分された。 2002年度売上Flixotide/Flovent(fluticasone)[GSK] 1503億円、第2位Plumicort(budesonide)[AstraZeneca] 978億円。 吸入ステロイド・β2 作動剤配合剤ではSeretide/Advair(fluticasone/salmeterol) [GSK] 3131億円、次いでSymbicort(budesonide/formoterol)[AstraZeneca] 360億円。 β2作動剤では、salmeterol製剤(Serevent[GSK] 1004億円)が半分程度と中心だが、残りを旧いサルブタモール(Ventolin[GSK]他)、ホルモテロール(Foradil[Novartis]他)が2分。 ロイコトリエン(LT)拮抗薬は、後続新薬が出現せず、montelukast(シングレア[Merck] 1813億円)が独占状態だがかなり使われている。



製品億円単位200620052004200320022001200019991998備考
●吸入ステロイド
Flixotide/Flovent[GSK]£ m659(+3)638(+2)618(-7)705(-8)783(-12)915(+2)880(+29)--fluticasone propionate吸入剤
       米[GSK]£ m298(+14)262(+4)
       欧[GSK]£ m173(-8)188(-3)
       他[GSK]£ m188(-)188(+3)
Plumicort[AstraZenaca]$ m1,292(+11)1,162(+9)1,050(+4)968(+12)812(+5)766(+14)705(+5)730(+9)691[budesonide]喘息
Becotide[GSK]£ m--111(-16)130(-18)161(-22)205(-25)--beclomethasone dipropionate
Vanceril[Schering-Plough]$ m---82[-35]127[-29]179-beclomethasone dipropionate吸入用<喘息>
●吸入ステロイド+β2 作動剤
Seretide/Advair[GSK]£ m3,313(+10)3,003(+22)2,441(+19)2,214(+39)1,631(+96)850(>100)208(+>100)--fluticasone/salmeterol
       米[GSK]£ m1,870(+11)1,687(+26)
       欧[GSK]£ m1,133(+10)1,033(+16)
       他[GSK]£ m310(+10)283(+3)
Symbicort[AstraZenaca]$ m1,184(+18)1,006(+22)797(+32)549(+61)299(+)83(-)-----[budesonide/formoterol]喘息・COPD
●β2 作動剤
Atmadisc[Schwarz Pharma AG]Eur m47.144.436.329.627.7----Salmeterol Xinafoate /喘息
Serevent[GSK]£ m291(-12)330(-7)349(-15)433(-15)523(-17)645(+1)622(+8)--salmeterol xinafoate
       米[GSK]£ m86(-17)104(-20)
       欧[GSK]£ m140(-13)160(-3)
       他[GSK]£ m65(-2)66(+12)
Ventolin[GSK]£ m--265(-1)265(-10)306(-9)343(-7)--albuterol
Oxis[AstraZenaca]$ m88(-3)91(-14)101(-24)120(-12)120(-9)127(+15)116(+48)87(+107)44[formoterol]喘息・COPD;β作動薬
Foradil[Novartis AG]$ m331(-)332(+3)321(+11)289(+10)262(+4)232(+18)221(+25)170(+21)[formoterol]Respiratory
 米国内$ m14(+0)14(+8)13(+44)9(-41)
 米国外$ m317(-1)318(+2)308(+1)280(+2)
Proventil[Schering-Plough]$ m-125(-2)128(-44)230[+17]197[-21]251-albuterol 吸入用
Xopenex Inhalation[Sepracor Inc.]$000554,999(+30)428,506(+34)319,781(+11.5)286,819190,227122,20055,10014,100(発売1999.5)levalbuterol HCl
Xopenex HFA[Sepracor Inc.]$00040,968(+243)11,958(-)0------(発売2005.12)levalbuterol HCl;MDI剤型
●β2 作動剤+抗コリン剤
Combivent[Boehringer Ing]Eur m671(+19.6)561(+9.8)511(+17)471606650590456--ipratropium bromide/salbutamol
DuoNeb[Merck KGaA]Eur m269.1(+7)-129(+96)--[ipratropium+albuterol]/発売2001.6
●抗コリン剤
Spiriva[Boehringer Ing]Eur m1,381(+45.2)951(+81.2)525(>100)23223939----tiotropium bromide [COPD]/Pfizerと併販
Atrovent[Boehringer Ing]Eur m263(+5.4)247(+0.7)246(-22)328434509602653--ipratropium bromide
●キサンチン系
●鎮咳剤
Tussionex[UCB]Eur m105(-3)108(+32)63(-)
*82
------[hydrocodone]鎮咳剤。米国のみで販売
●LT拮抗剤
Singular[Merck & Co.]$ m3,579.0(+20)2,975.6(+13)2,622.0(+30)2,009.4(+35)1,505(+19)1,375(+60)-montelukastアレルギー
  米国$ m2,578(+26)2,044(+10)1,854(+32)
  国外$ m1,001(+7)932(+21)768(+26)
Accolate[AstraZenaca]$ m81(+13)72(-39)116(+6)107(-28)144(+2)143(-2)152(-2)156(+4)152[zafirlukast]喘息;ロイコトリエン受容体拮抗
●抗アレルギー剤
Zaditen[Novartis AG]$ m---????158(-12)?185(-7) [ketotifene fumarate]Asthmaアレルギー
Zyrtec[Pfizer]$ m1,569(+15)1,362(+6)1,287(-4)1,338(+20)1,115(+13)990(+42)699[+29]541407cetrizine
Zyrtec世界[UCB]Eur m1551(-6)1652(-3)169811491330[cetirizine]Allergy
  米Eur m1035(-12)11831184(+13)1101706
  欧Eur m313(+17)268(-11)315(-11)354(+11)318
  日Eur m115(-15)136141(-6)163205(03)シェア15.5%
  他Eur m898758(+12)51101
Zyrtec自社[UCB]Eur m**561(+0)**562649(-3)670724756641(+18)[cetirizine]Allergy
  米Eur m273(+12)244(+4)236(-10)262
  欧Eur m100(-9)110(-23)142
旧238(+5)
227
  日Eur m138(-17)166(+39)119(-6)127---国内シェア15.5%(2003)
  他Eur m50(+20)42(-10)47
旧56
54
Xyzal[UCB]Eur m143(+13)126(+21)104(+157)------[levocetirizine]アレルギー、持続性製剤;EU発売2001
Zyrtec[UCB]Eur m**561(+0)**562494(-15)581(-3)670724756641(+18)-[cetirizine]Allergy
うち日本Eur m138(-17)166(+39)119-
Zyrtec-D/Cirrus[UCB]Eur m-50(+8)46-----[cetirizine+pseudoephedrine]鼻閉薬
[A]Allegra /Telfast[Sanofi-Aventis]Eur m688(-48.8)1,345(-10.5)1,503(-13.5)1736(+1.1)2030(+22.1)1762[48.9]1,166729[59.8]436[+67%]fexofenadine
 欧Eur m51(-1.9)52(-10.3)
 米Eur m384(-62.7)1,001(-15.0)
 他Eur m253(-11.2)292(+19.7)
Clarinex/Aerius[Schering-Plough]$ m722(+12)646(-7)692(0)694(+16)598(-)----desloratadine
Claritin Rx[Schering-Plough]$ m356(-4)371(+16)321(-2)328(-79)1,802(-43)3,159[+5]3,011[+13]2,673-loratadine
Alesion[Boehringer Ing]Eur m--?281317344--epinastine HCl[アレルギー]
●その他喘息薬
Alvesco[Altana AG]Eur m18.28.1(-)------[cicletanide]喘息;発売2005.1
Xolair[Novartis AG]$ m102(-)5[omalizumab]喘息;抗IgE抗体
Xolair[Genentech, Inc]$ m429327.6188.5(+645)25.3(-)-----(Omalizumab)喘息;抗IgE抗体
 米国内$ m425(+33)320.6(+70)187.625.1-----
 提携先向$ m47.01.00.2-----
Bricanyl[AstraZenaca]$ m--??????107(-7)125(-6)142(-5)154[terbutaline]
[04.01.18]$[USD]=\106.57, Euro[EUR]=\131.83, £[GBP]=\191.56, SFr[CHF]=\84.12 , DKK=\17.79 ■日本(1) ------------------------------------------------------------
(億円)(薬価ベース)20062005200420032002200120001999備考
★吸入ステロイド
フルタイド・ロタディスク[GSK]180(+10)160(+26)130--[fluticasone]喘息 *シェア(2003&2002)70%
★β2 作動剤
セレベント[GSK]5013---[salmeterol xinafoate]喘息;発売2002.6
★抗コリン剤
スピリーバ[日本BI]92(+118)42[tiotropium bromide ]長時間作動型吸入気管支拡張剤
テルシガン[日本BI]?1917(5.3%)--[オキシトロピウム]抗コリン性気管支収縮抑制剤
★鎮咳剤
ビソルボン[日本BI]42?5156(-5.0)59.02(-7.9%)64.10[bromhexine]気道粘液溶解剤
ムコサール[日本BI]41?4341(3.4%)--[ambroxol]気道潤滑去痰剤
★抗アレルギー剤
アレジオン[日本BI]280(+15)244203231244(-4.2%)254.68(+19.9)212.47[塩酸エピナスチン]抗アレルギー剤
(抗ヒスタミン剤領域トップ市場シェア[01]18%[00]18%)(並行販売先の三共(株)ルートを含めると約30%のシェア)
アレグラ[アベンティス]--164--10.2%(抗ア+抗ヒ、トップ)/発売00.11
ザジテン[ノバルティス]-190190(-5.0)200-[]抗アレルギー
(億円)08/3予2007/32006/32005/32004/32003/32002/32001/32000/399/3備考
★吸入ステロイド
★吸入ステロイド+β2 作動剤
★β2 作動剤
メプチン[大塚]68.83(-1.1)69.61(-4.8)73.1472.97(-7.9)79.27(-19.2)98.22(-5.0)103.3692.60(-5.1)97.54[塩酸プロカテロール]気管支拡張剤
スピロペント[帝人]1314-1618192021-[塩酸クレンブテロール] 気管支拡張剤
★β2 作動剤+抗コリン剤
★抗コリン剤
★キサンチン系
テオドール[興和創薬(旧日研化学)]108.61131.02139.03(-14.8)163.25(-15.3)192.65---[theophylline]喘息薬
うちドライシロップ53.0770.6378.66(-11.4)88.76(-15.4)104.88---
テオドール[三菱]6777127153181200117
*114
*223--[theophylline]気管支拡張剤
★鎮咳剤
ムコソルバン[帝人]115117117117124138136135-[ambroxol HCl] 去痰剤
ムコダイン[杏林]210204(+2.5)199(+4.7)190(+5.6)180(+5.4)171(-2.2%)175161155143(カルボシステイン) 気道粘液調整・粘膜正常化剤 1981年1月 ジュリエ
クリアナール[三菱]---16?14102---[fudostein]気道分泌細胞正常化剤 w/エスエス
スペリア[エスエス]5.003.672.339.0---[フドステイン]気道分泌細胞正常化剤
- エスエスの医療用医薬品事業を2005年4月1日付けで久光製薬に譲渡。
★LT拮抗剤
シングレア[万有]--77(+142.2)31(-)-(-)--発売01.8[montelukast]喘息治療薬
キプレス[杏林]163150(+12.1)134(+13.6)118(+20.4)98(+52.1)64(+105.4)6431--(モンテルカスト) ロイコトリエン受容体拮抗・気管支喘息治療剤/2001年8月 メルク
★抗アレルギー剤
アゼプチン[エーザイ]2026(-11.1)29(-23.3)38(+8.7)35(-27.7)48(-21.9)62(-14.6)717482[塩酸アゼラスチン]アレルギー性疾患治療剤
セルテクト[協和]424854697089118155169172[オキサトミド]アレルギー性疾患治療剤
アレロック[協和]2212101991881331188712--[塩酸オロパタジン]抗アレルギー剤: 発売01.3;
アレジオン[第一三共]--22.7477.92689711811698-[epinastine HCl]アレルギー薬/日本ベーリンガー
クラリチン[塩野義]8872808955530---[ロラタジン]
ジルテック[第一三共]95(-20.6)120(-4.8)126(+10.5)1149810911610987-[cetirizine]98/9
ジルテック[大日本住友]---114.00(+31.0)86.56(-13.4)99.95(-0.3)100.23(+2.3)97.9880.75-[cetirizine]アレルギー性疾患治療剤;UCB製品;販売元:住友→GSK 2005.7-
エバステル[大日本住友]110114113103102111134135120-[96.6][エバスチン]抗アレルギー
タリオン[田辺]8470(+8.8)64(+1.8)62(+54.4)40(+6.2)38(+78.0)21(+62.6)13--[ベポタスチン]アレルギー性鼻炎治療剤,発売00.10
インタール[アステラス]---11992129141160157-[cromoglycate];「インタール」のビジネス再編2000.12
アレギサール[三菱]---??????18*39--[ペミロラストカリウム]アレルギー性疾患治療剤
オノン[小野]268(+3)265(+13)252(+21)231(-3)234235218181-[プランルカスト]喘息、アレルギー鼻炎
オノンドライシロップ114(+20)94(+11)83(+17)66(+18)4731141
リザベン[キッセイ]20.00(-10.3)22.29(-9.2)24.55(-14.0)28.5628.12(-12.6)32.1836.2540.3742.49-[tranilast] アレルギー性疾患治療剤
ドメナン[キッセイ]4.70(-15.3)5.55(-18.7)6.82(-12.5)7.809.2(-16.2)10.9713.55????-[塩酸オザグレル]気管支喘息治療剤
ケタス[杏林]5858(-8.3)63(-4.9)66(-5.7%)70(+0.1%)70(-6.7%)75757165(イブジラスト) 気管支喘息・脳血管障害改善剤/1989年5月 自社
★その他
エラスポール[小野]*53(-1)55(+7)48(+13)35(+11)23----(発売2002.6.17)[sivelestat]急性肺障害の改善
★抗アレルギー剤(点鼻・点眼)
リボスチン点眼液[日本新薬]12.0013.71(+10.9)12.36(-28.8)17.367.19(-40.5)12.09(-) 合16(+2.7)----[levocabastine]抗アレルギー剤/発売=2001.1
リボスチン点鼻液[日本新薬]6.006.97(+23.4)5.65(-42.5)9.833.41(-61.8)8.93(-) 合16(+2.7)----[levocabastine]抗アレルギー剤/発売=1999.11
リザベン点眼液[キッセイ]34.20(+1.1)33.83(+0.7)33.61(-26.7)45.8531.84(-20.7)40.1341.0142.0836.72-[tranilast] アレルギー性結膜炎治療剤

 [市場]の以降は1044未update

 ▼日本の1997年度喘息・アレルギー疾患治療剤市場は2812億円(抗アレルギー剤1750億円で62%、新規喘息薬350億円12%、テオフィリン系255億円、抗コリン系25億円、β2作動剤300億円、吸入ステロイド132億円)
[新規喘息・抗アレルギー薬350億円]TXA2合成酵素阻害剤129億円(オザグレル64億、セラトロダスト65億)、LT拮抗剤(プランルカスト)131億円、IgE抗体産生抑制剤スプラタスト(アイピーディー:大鵬)70億円
 ▼「連載<新薬開発展望>呼吸器疾患治療剤その1-5:喘息・アレルギー疾患治療剤等」月刊ミクス1998年10月号〜1999年2月号は疫学、ガイドライン、市場、薬物療法、新薬開発動向などについてよく調査された優れたレポートで、国内外の現況を把握するに最適。

▼β2 作動剤: 1997年度売上は約300億円(吸入100, 経口200)。 メプチンが140億円(47%)、次いでサルブタモール製剤(3社計)34億円等。 ★1998年度売上:メプチン133億円。
▼吸入副腎皮質ステロイド: 1997年売上約132億円。:アルデシン鼻腔・口腔用エアゾール(シェリング・プラウ)65億円、ベコタイドインヘラー(グラクソ・ウエルカム)64億円
▼テオフィリン製剤:1997年売上は約240億円。テオドール(三菱−日研化学)が177億円(74%)。 ドライシロップ剤が半分を占める。 ★1998年売上:テオドール(三菱−日研化学)200億円。
▼ 副交感神経遮断剤(抗コリン剤):1997年売上は約25億円。 オキシトロピウム(テルシガン[日本BI])15億円、イプラトロピウム(アトロベント[大日本])5億円、等。
▼ ロイコトリエン受容体拮抗剤:1997年販売額は約131億円。 うちプランルカスト製剤(オノン[小野])131 ★1998年販売額約156億円。 うちプランルカスト製剤(オノン[小野])156
▼トロンボキサン合成酵素阻害剤:1997年販売額は約93億円。 うちオザグレル製剤(ドメナン[キッセイ]19、ベガ[小野]9)、セラトロダスト製剤ブロニカ[武田]65 ★1998年販売額: うちオザグレル製剤(ドメナン[キッセイ]?、ベガ[小野]7)、セラトロダスト製剤ブロニカ[武田]60
 ▼鎮咳剤:1997年販売額は約120億円。 うちアスベリン[田辺]20、メジコン[塩野義]15、アストミン[山之内]15、リン酸コデイン[5社]15など
 ▼去痰剤:1997年販売額は約450億円。 うちambroxol製剤(ムコソルバン[帝人]180、ムコサール[日本BI]15)、カルボシステイン製剤(ムコダイン[杏林]160)、ブロムヘキシン製剤(ビソルボン[日本BI]70) ★1998年販売額は約420億円。 うちambroxol製剤(ムコソルバン[帝人]168、ムコサール[日本BI]19)、カルボシステイン製剤(ムコダイン[杏林]143)、ブロムヘキシン製剤(ビソルボン[日本BI]63)
 ▼抗アレルギー剤[抗ヒスタミン剤]:1997年販売額は約1350億円。 うちketotifen(ザジテン[ノバルティス])240、mequitazine(ゼスラン[旭化成]20、ニポラジン[アズウエル]15)、azelastine(アゼプチン[エーザイ])106、oxatomide(セルテクト[協和])190、terfenadine(トリルダン[アベンティス])50、emedastine(ダレン[オルガノン]40、レミカット[興和]30)、epinastine(アレジオン[日本BI]194、アレジオン[三共]89)、astemizole(ヒスマナール[持田])28、ebastine(エバステル[大日本]93、エバステル[明治]44) ★1998年販売額: うちketotifen(ザジテン[ノバルティス])?、mequitazine(ゼスラン[旭化成]?、ニポラジン[アズウエル]?)、azelastine(アゼプチン[エーザイ])82、oxatomide(セルテクト[協和])175、terfenadine(トリルダン[アベンティス])60、emedastine(ダレン[オルガノン]32,レミカット[興和]28)、epinastine(アレジオン[日本BI]188、アレジオン[三共]85)、astemizole(ヒスマナール[持田])14、ebastine(エバステル[大日本]98、エバステル[明治]44)、セチリジン(ジルテック[第一]39、ジルテック[住友]39)
 ▼抗アレルギー剤[非抗ヒスタミン]:1997年販売額は約400億円。 うちcromoglicate(インタール[藤沢]146)、tranilast(リザベン[キッセイ])70、amlexanox(ソルファ[武田]5)、repirinast(ロメット[三菱])5、ロメット[日研]5)、ibudilast(ケタス[杏林]90)、tazanolast(タザノール[鳥居]1、タザレスト[わかもと]2)、pemilolast(アレギサール[三菱]46、ペミラストン([BMS]30) ★1998年販売額: うちcromoglicate(インタール[藤沢]148)、tranilast(リザベン[キッセイ])74、amlexanox(ソルファ[武田]?)、repirinast(ロメット[三菱])?、ロメット[日研]?)、ibudilast(ケタス[杏林]65)、tazanolast(タザノール[鳥居]?、タザレスト[わかもと]?)、pemilolast(アレギサール[三菱]42、ペミラストン([BMS]35)

Altana AG
(Euro million) 2003  2002 2001
Theophylline      -   25   26 Euphyllin/Euphylong
★開発品(年報2003)
※ciclesonide (Alvesco) - 革新的な吸入ステロイド:喘息 (Eur1 Billion予想)
  申請済み(2002) --- 英、オーストラリア、カナダ他
          (2003)  --- アベンティスが2003.末に米国申請。
          (2004)  --- 帝人が日本で2004.1申請。
  承認            --- Australian Health Agencyが2004.2 世界初承認。

※roflumilast (Daxas) - COPD治療薬 (Eur1 Billion予想)
・COPDは"Smoker's lung"として知られ、世界4位の死因。
・特異的PDE阻害剤で抗炎症作用がある。
 COPDと喘息の療法に有効であることを実証した最初の特異的PDE4阻害剤
・2002年以来Pfizerと共同開発。日本は田辺製薬と共同開発・共同販売
・RECORD studyを2003.9開始。 有効性・安全性のため。
・EU申請2004.2


●北陸製薬 →現アボットジャパン
 (億円)  2002予 2001  2000/12
ホクナリン  116.0  100.5  71.5


【開発中の新薬】
 いま、COPD対応が新薬開発の焦点になっている。2010年の市場規模90億ドルが見込まれる(IMS推定)ということで既存の喘息薬は競ってCOPDの追加適応取得に走り、Symbicortは2003.2 EU承認、Advair/Seretideは申請済み、Oxisは2003.1 EU相互承認完了。
 新薬で最も注目されているのは、抗コリン剤tiotropium bromide(Spiriva[Boehringer Ing]; 日本ではBa-679として審議中)。1日1回投与の吸入用気管支拡張剤で初のCOPD治療薬として発売(2002.6)。B-I社と共販のPfizer社でピーク時年商10億ドルを計画。 系統的にはPDE-IV阻害剤でcilomilast(Ariflo[GSK];ピーク時7億ドル)P3、roflumilast([Altana社、Pfizerと共同]、日本は田辺製薬;ピーク時10-13億ドル)P3、Ono-6126[小野]P2、842470/AWD 12281[Elbion、GSK共同] P1、CP671305[Pfizer]P1等。

「治験」ホームページ[厚生労働省]
  - 開発中の新薬[<情報提供:日本製薬工業協会>]	/2007.9.10
  会社別開発中新薬一覧。 検索機能なし。68社から情報提供
治験薬記号(一般名)
および剤型
予定される効能又は効果、
対象疾患名および症状名
開発段階その他
国内海外 (地域)
GPD−1116経口剤[あすか製薬]気管支喘息(COPD)及び慢性閉塞性肺疾患
(PDE4阻害剤)
 第T相(ヨーロッパ)創製品
ST;Budesonide/formoterol(Symbicort)[アストラゼネカ]喘息(吸入ステロイド/即効性・長時間作用性ベータ2刺激剤)申請中発売(欧)
申請中(米)
自社開発
ブデソニド吸入懸濁液[アストラゼネカ]小児喘息 (吸入ステロイド)(効能・剤型追加)申請中発売(欧米)自社開発
ST;Budesonide/formoterol(Symbicort)[アストラゼネカ]COPD(慢性閉塞性肺疾患)(吸入ステロイド/即効性・長時間作用性ベータ2刺激剤)第U相発売(欧)自社開発
ONO-1078DS ドライシロップ[小野薬品]【効能追加】小児アレルギー鼻炎第U/V相
自社 既承認=小児気管支喘息
ONO-1078 カプセル剤[小野薬品]【効能追加】慢性副鼻腔炎第U相
自社 既承認=気管支喘息、アレルギー性鼻炎
KP-496[科研製薬]気管支喘息第U相 自社
モンテルカスト 細粒[杏林製薬]気管支喘息治療剤。小児(1歳〜5歳)用の新規製剤。申請
@万有製薬と共同開発A導入品
モンテルカスト 錠剤[杏林製薬]気管支喘息治療剤。成人 アレルギー性鼻炎。申請
@万有製薬と共同開発A導入品
モンテルカスト 注射剤[杏林製薬]気管支喘息治療剤。成人 注射剤の新規製剤第U/V相
@万有製薬と共同開発A導入品
アドエア GW815SF(サルメテロール/フルチカゾン配合剤)ドライパウダー[GSK]持続性β2受容体作動薬(気管支拡張薬)/合成副腎皮質ホルモン剤。気管支喘息発売2007.6.8発売中自社品
フランカルボン酸モメタゾン
DPI 吸入[シェリング・プラウ]
ステロイド系喘息治療薬、剤型追加第V相発売(米・欧)自社
S-5751 経口[塩野義製薬]気管支喘息.プロスタグランジンD2受容体拮抗薬第T相第U相自社
NT702 経口[大正製薬]気管支喘息第U相
共同(日産化学)
SMP-028(未定) 経口剤[大日本住友製薬]気管支喘息 第T相(米国)自社開発品
APTA-2217(ロフルミラスト)[田辺製薬]PDEW阻害剤(喘息)第U/V相
オリジン:独 アルタナファーマ社
開発:独 アルタナファーマ社との共同
APTA-2217(ロフルミラスト)[田辺製薬]PDEW阻害剤(COPD)第U/V相
オリジン:独 アルタナファーマ社
開発:独 アルタナファーマ社との共同
TA-2005(カルモテロール)[田辺製薬]長時間作用性β2刺激薬(喘息、COPD)
第U相/欧オリジン:自社
開発:伊 キエージー社
「オルベスコ(R)」(BTR-15(シクレソニド)、MDI[帝人ファーマ]気管支喘息
(1日1回投与)
発売2007.6.8
申請04.1.26

導入(Altana)(中型)
TBN-15(シクレソニド)、点鼻液[帝人ファーマ]アレルギー性鼻炎第U相
導入(Altana)
NS-126[日本新薬]炎症・アレルギー系/気管支喘息第U相
導入(久光製薬<エスエス製薬>)、自社開発←共同開発(久光製薬);提携解消2006.11.24
NS-126[日本新薬]炎症・アレルギー系/アレルギー性鼻炎
(1日1回投与の吸入ステロイド剤)
申請2006.12
導入(久光製薬<エスエス製薬>)、自社開発←共同開発(久光製薬)
ゾレア Xolair/IGE025/オマリズマブomalizumab注射剤[ノバルティス]気管支喘息、アレルギー性鼻炎
(抗IgE抗体)
申請2006.6.26
三共と共同開発→2006.3期除外(製品ポートフォリオ戦略の観点から第一三共は撤退。今後ノバルティス社は単独で開発・申請を行う。)
QAB149(indacaterol)[ノバルティス]気管支喘息
(初の1日1回投与の長時間作用型ベータ作動薬を目指しているQAB149は、24時間の気管支拡張作用を持ち、かつ効果発現時間が早く、単剤もしくは他剤と併用する呼吸器疾患治療薬として開発されています。2006年第4四半期に、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者さんを対象とした52週間にわたる単剤でのフェーズIII試験が開始されました。QAB149 と1日1回型の吸入用コルチコステロイドmometasone (AsmanexR) との配合剤であるQMF149の試験が2007年に開始される予定で、最初の承認申請は2010年を目指しています。)
第U相

QAB149(indacaterol)[ノバルティス]慢性閉塞性肺疾患
第U相

「シングレア(R)細粒4mg」MK −476 (モンテルカスト)[万有製薬]気管支喘息治療剤 1--5 才児用(ロイコトリエンD4 受容体拮抗剤) 承認2007.7.31
申請済('04.7 )

共同開発:杏林製薬
MK −476 (モンテルカスト)[万有製薬]アレルギー性鼻炎治療剤(ロイコトリエンD4 受容体拮抗剤) 申請済(05.08)
共同開発:杏林製薬
MK −476 (モンテルカスト)[万有製薬]アレルギー性鼻炎治療剤静注用(ロイコトリエンD4 受容体拮抗剤)(剤型追加)第V相
共同開発:杏林製薬
MCC-847 経口剤[三菱ウェルファーマ]気管支喘息。ロイコトリエンD4受容体に拮抗し、気道収縮抑制作用や抗アレルギー作用を発揮する。第V相
自社 

アレルギー性鼻炎。第U相
自社 
ME3301 経口[明治製菓]抗アレルギー薬、抗喘息薬 第U相 第U相(欧州)自社
●表削除
FK506(タクロリムス) 吸入[アステラス製薬]【適応拡大】【剤型追加】喘息
第U相(欧米)自社
「メプチンクリックヘラー10μg」塩酸プロカテロール粉末吸入剤[大塚製薬]【剤型追加】粉末吸入剤発売2005.9.2
国内:自社開発 気管支喘息;2006前期除外
ONO-1078 カプセル剤[小野薬品]【効能追加】慢性閉塞性肺疾患第U相
自社 既承認=気管支喘息、アレルギー性鼻炎;2006年前期削除
ONO-6126 錠剤[小野薬品]慢性閉塞性肺疾患
第U相自社;2006年前期削除
CS-003/CS-003 吸入剤[第一三共]気管支喘息 慢性閉塞性肺疾患.
(ニューロキニン受容体アンダコニスト)
第U相第U相(欧米)三共オリジン
世界初のニューロキニン(NK)1,NK2,NK3受容体拮抗剤。ニューロキニンの種々の生理活性(分泌、気道収縮、咳、気道過敏等)を抑制することから、呼吸器疾患に対して有効性が期待される。
IGE025(ゾレア Xolair)
(オマリズマブ/omalizumab)注射剤[第一三共]
気管支喘息、アレルギー性鼻炎(抗IgE抗体).注射剤第V相
ノバルティスファーマと国内で共同開発→2006.3期除外(製品ポートフォリオ戦略の観点から当社は撤退。今後ノバルティス社は単独で開発・申請を行う。)
・抗IgE抗体 ・国内はノバルティスファーマと共同開発 ・欧米はノバルティス社がジェネンテック社、タノックス社と共同開発中。 米国上市済。 月1回または2回の注射により、アレルギー性疾患において中心的役割を果たす血中のIgE抗体の、マスト細胞等への結合を抑制する新しい画期的な治療薬。
「オルベスコ(R)」(BTR-15(シクレソニド)、MDI[帝人ファーマ]気管支喘息発売2007.6.8
導入(Altana)
「アプネカット(R)経口10 r」/NIK-636(テオフィリン)内用液キット[興和創薬][剤型追加、効能追加]未熟児無呼吸発作治療薬発売2006.8.28
承認2004.2.27

抗喘息で承認済;[既]「テオドール」(2006.3 三菱ウェルファーマ株式会社からの販売受託完了);テオドリップ(点滴静注用テオフィリン)
New Medicines in Development[PhRMA 米製薬協] /2007.9.10 [MemberArea]New Medicines in Development[PhRMA 米製薬協]
Registered NameCompanyIndicationStatus備考
ABN 912Asthma米I
AMG 317AmgenAsthma米I
AnakinraAsthma米II
ApremilastAsthma米II
AVE 0309Sanofi-AventisAsthma米I
AVE 5883Sanofi-AventisAsthma米I
BambuterolAsthma米III
Beclometasone breath-activated inhalation
(Qvar Autohaler(R))
IVAX/3M PharmaceuticalsAsthma米III
Beclometasone hydrofluoroalkane inhalationIVAXAsthma米III
BIW 8405Asthma米I
Budesonide inhalationMAPAsthma米I/II
Budesonide/formoterol
(Symbicort(R))
AstraZenecaAsthma米Preregistration
CHF 5188Asthma米II
Chymase inhibitorJohnson & JohnsonAsthma米I
Ciclesonide
(Alvesco)
Sanofi-AventisAsthma米Preregistration
CJ 13610Asthma米II
CS 003Asthma米II
CS 615Asthma米II
CTI02Asthma米III
CVT 6883Asthma米I
DaclizumabProtein Design LabsAsthma
(anti-CD25)
米II
DesloratadineAsthma米Clinical
DPC 168Asthma米I
DW 908eAsthma米I
Edodekin alfaAsthma米I
EPI 12323/Naturasone(TM)EpiGenesis PharmaceuticalsAsthma米II
EpinastineAsthma米I
Etiprednol
(Respicort(TM))
IVAX CorporationAsthma米II
Fexofenadine
(Allegra)
Sanofi-AventisAsthma米II/III
Flunisolide hydrofluoroalkane inhalation
(Aerospan(TM))
Forest LaboratoriesAsthma米Preregistration
Formoterol dry-powder inhalation
(Foradil(R) Certihaler(TM))
Schering-Plough/Novartis/SkyePharmaAsthma米Preregistration
Formoterol hydrofluoroalkane inhalationChiesiAsthma米II
Formoterol/fluticasone propionate
(Flutiform(TM))
SkyePharma IncAsthma米II/III
GolimumabAsthma米II
Hydroxychloroquine inhalationAPT Pharmaceuticals/AradigmAsthma米II
IMA 638Asthma米I/II
IndacaterolAsthma米II
Indacaterol/mometasoneAsthma米Clinical
InfliximabAsthma米II
Interleukin-4/13 TrapRegeneronAsthma米I
INV 102Asthma米II
IPL 512602Inflazyme PharmaceuticalsAsthma米II
Isatoribine
(ANA245,Anadys245)
Anadys PharmaceuticalsAsthma
(a selective agonist of TLR7)
米I
Lidocaine inhalationCorus PharmaAsthma米II
MEDI 528Asthma米I/II
MepolizumabGlaxoSmithKlineAsthma
hypereosinophillic syndrome
(anti-IL-5 MAb)
米II
Mometasone
(Asmanex(R))
Schering-PloughAsthma米III
Nortriptyline/prednisoloneAsthma米II
Oglemilast
(GRC 3886)
Glenmark Pharmaceuticals
/Forest Laboratories
Asthma
COPD
(a highly selective PDE-4 inhibitor)
米II
OlopatadineAsthma米II
PB 008Asthma米II
Phosphodiesterase IV inhibitorCelltech/MerckAsthma米I
Pimecrolimus oralAsthma米II
PW 3101Asthma米Preregistration
Roflumilast(Daxas)Altana PharmaAsthma米III
RWJ 58643Asthma米I
S 5751Shionogi USAAsthma米I
Salbutamol dry-powder inhalationAlkermesAsthma米II
Salbutamol dry-powder inhalationAstraZenecaAsthma米III
Salbutamol dry-powder inhalationsanofi-aventisAsthma米III
Salbutamol dry-powder inhalationUCB/InnovataAsthma米II
Salmeterol MDI dose counterGlaxoSmithKlineAsthma米III
Salmeterol/fluticasone propionate
(Advair Diskus(R))
GlaxoSmithKlineAsthma米III
Sinapultide
(ATI 01)Surfaxin
Discovery Laboratories, IncAsthma
Treatment of respiratory distress syndrome (pulmonary surfactant)
米I/II
SMP 028Asthma米I
Sodium cromoglicate oralEmisphereAsthma米I
TacrolimusAsthma米II
Talactoferrin alfaAsthma米II
TBC 4746Asthma米I
Tipelukast
(KCA-757, MN-001)
Medicinova, IncAsthma
/interstitial cystitis
米II/III
TNX 650Asthma米I
Tofimilast
(CP-325,366)
PfizerAsthma
(PDE4 inhibitor)
米II
Triamcinolone acetonide hydrofluoroalkane inhalation
(Azmacort HFA(R))
Kos PharmaceuticalsAsthma米III
Valategrast
(R-411; Ro27-2441/002; Ro0272441/002)
RocheAsthma
(dual α4β1/α4β7 integrin antagonist)
米I
Zileuton
(Zyflo(R))
Abbott LaboratoriesAsthma米I/III/Preregistration
Zileuton
(ZYFLO CR(TM))
Critical TherapeuticsAsthma米I/III/Preregistration
【米国】
 [データ]部に収録。

【日本】
 以下は、前版収録品目をupdate、追加したもの。
▼β2 作動剤: サルメテロール salmeterol(セレベント[GSK]93.12申請、2002.6発売:喘息・COPD治療薬)、サルブタモール・タービュヘラー([アストラゼネカ]P3中止)、ホルモテロール・タービュヘラー([アストラゼネカ]P2)、フェノテロール・ノンフロン吸入剤*新容量(ベロテックエロゾル[日本BI]99.7発売)
▼吸入副腎皮質ステロイド: プロピオン酸フルチカゾン・salmeterol配合剤(セレタイド[GSK] P3)、プロピオン酸フルチカゾン・ディスクヘラー(SN-411、フルタイド・ロタディスク[GSK]98.9承認;98.11薬価収載・発売)、ブデソニド・タービュヘラー(パルミコート・タービュヘラー[アストラゼネカ]99.6承認,2001.12薬価収載,2002.1発売)、ブデソニド吸入懸濁液[アストラゼネカ]P2 小児喘息(剤型追加)、ジプロピオン酸ベクロメタゾン・代替フロン吸入剤(キュバール QVAR,TMP-96[大日本]2002.6薬価収載,2002.8発売(シェリング・プラウと共販);米3M提携)、粉末吸入タイプST-126C(エスエス・日本新薬共同)・TO-199(鳥居)P2中止。
▼副交感神経遮断剤(抗コリン剤) フルトロピウム・ドライパウダー(フルブロン新剤形[エスエス]P3中止?)、チオトロピウム tiotropium bromide(Ba-679[日本BI]審議)
▼ ロイコトリエン受容体拮抗剤:zafirlukast(アコレート[アストラゼネカ])2001.2薬価収載・発売、montelukast(シングレア[萬有、杏林])2001.8薬価収載・発売、CS-615[三共、宇部興産]P1中止?、MCC-847[三菱ウェルファーマ] P2
▼トロンボキサン合成酵素阻害剤:domitroban(アンボキサン,S-1452[塩野義])96.3申請取下?; imitrodast(ログラン,CS-518[三共])97.3申請取下?;ramatrobanラマトロバン(バイナス Bay-u-3405[バイエル]アレルギー性鼻炎)2000.5薬価収載・発売(2003.1杏林と共販);
 ▼モノクロナル抗体:IGE025(三共、ノバルティス共同)P3 気管支喘息、アレルギー性鼻炎(抗IgE抗体).注射剤  ▼PAF拮抗剤:イスラパファント israpafant (パフノール,Y-24180[ウェルファイド])97.2申請取下?
 ▼去痰剤:fudosteine (SS320A; スペリア錠[エスエス]、クリアナール錠[三菱ウェルファーマ])97.3申請、2001.12薬価収載・発売
 ▼抗アレルギー剤[抗ヒスタミン剤]:fexofenadine(アレグラ錠 M016455/MDL16455A[アベンティス])2000.11薬価収載・発売、betotastine(タリオン,TAU-284[田辺、宇部興産])97.3申請,2000.9薬価収載,2000.10発売、epinastineドライシロップ(アレジオンドライシロップ[日本BI]新剤型)審議、SCH29851/ロラタジン 経口[塩野義、導入(シェリング・プラウ)共同開発 シェリング・プラウ]P3
 ▼抗アレルギー剤[非抗ヒスタミン]:nedocromil(FF002[アベンティス])申請準備中止、TYB-2285[東洋紡]P2中止?、NIK-646[日研]申請取下?、ME-3301[明治製菓]P1、NIP-520[日産化学]P1中止?、TAK-661[武田]P2中止?、S-5751[塩野義]P1中止?、AKY-953[京都薬品、旭化成]P2中止?、NC2000/F-1322[富士レビオ、日本ケミファ]P2中止?、acitazanolast(ゼペリン点眼液/WP871[わかもと])95.1申請,2000.11薬価収載・発売
 ▼W型ホスホジエステラーゼ阻害剤:NIK-616[日研] P1準備中(喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療剤。)

【解説資料】
 キチンした解説は臨床ガイドライン参照のこと
●メルクマニュアル第17版日本語版
[第68章02]喘息


【データ】
 WHO統計では世界の喘息患者3億人で25.5万人が死亡(2005年)  「患者調査」によると日本の喘息患者(2005)は1,083千人。 ノバルティス社推計では 日本の喘息総患者数は400万人、死亡者は年3,000人。 [WHO]Health topics -Asthma
疾病分類名  (単位:千人)1999年度2002年度2005年度
●上気道のその他の疾患(J30−J39)(756)(841)
J30  血管運動性鼻炎及びアレルギー性鼻炎<鼻アレルギー>(404)(447)
J31  慢性鼻炎,鼻咽頭炎及び咽頭炎(15)(23)
J32  慢性副鼻腔炎(273)(307)
J37  慢性喉頭炎及び慢性喉頭気管炎(40)(45)
●慢性下気道疾患(J40−J47)(1,364)(1395)
J40  気管支炎,急性又は慢性と明示されないもの(57)(64)
J42  詳細不明の慢性気管支炎(122)(114)
J43  肺気腫(75)(81)
J44  その他の慢性閉塞性肺疾患(14)(28)
J45  喘息(1096)(1063)(1083)
 J450  アレルギー性喘息を主とする疾患69
 J451  非アレルギー性喘息47
 J458  混合型喘息00
 J459  喘息,詳細不明1,0531067
J46  喘息発作重積状態(6)(9)
 J46   喘息発作重積状態69
J47  気管支拡張症(27)(25)
 J47   気管支拡張症2725

【臨床ガイドライン】
 世界では数多くの喘息ガイドラインがあり、その比較研究もされているが*、GINA(GLOBAL INITIATIVE FOR ASTHMA)「喘息管理の国際指針」(Global Strategy for Asthma Management and Prevention)が国際標準で1995年策定され、2002.4に更新、現在2006.11版が最新。 NHLBI [National Heart, Lung, and Blood Institute米国心肺血液研]のNAEPP [National Asthma Education and Prevention Program]による喘息ガイドライン[1997]※NHLBI, Diagnosis and Management of Asthma[NHLBI喘息ガイドライン][pdf;全153p,July 1997; 2002.11改訂]等が著名。  NHLBI/WHO Workshop「喘息管理・予防のグローバル・ストラテジー」(日本語版:1995.7; 3,000円、国際医学出版:東京都港区六本木6-9-12 tel.03-3479-0765);浅本 仁著「―国際的ガイドラインをも踏まえて―気管支喘息へのアプローチ-第3版-」(2006年3月;A5判326頁、定価4,410税込;先端医学社 tel.03-5820-2100,fax.03-5820-2501)
 日本でも漸く1998年「喘息予防・管理ガイドライン1998」が改訂された。  ・厚生省免疫アレルギー等研究事業喘息ガイドライン作成班「喘息予防・管理ガイドライン2006」( 日本アレルギー学会;B5判190頁、3500円、発売:協和企画通信)1998年版online版
 ※一般臨床医のための喘息治療ガイドライン2007[pdf,32p;日本アレルギー協会]〜JGL2006簡略版
 ※一般臨床医のための EBMに基づいた 喘息治療ガイドライン2004[pdf,40p;日本アレルギー学会]
-既刊の『喘息予防・管理ガイドライン2003』(牧野荘平、古庄巻史、宮本昭正監修、協和企画)および『EBMに基づいた抗喘息薬の適正使用ガイドライン』を基に一般臨床医にすぐ役立ち得るように簡潔に要点のみをまとめた。
 ※EBMに基づいた喘息治療ガイドライン Online版[2001.9 厚生労働省医療技術評価総合研究喘息ガイドライン班]
 ※「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2005(JPGL2005)」(日本小児アレルギー学会) 発行 協和企画(tel.03-3575-0181) 発売2005-11-30 定価3500円(税込み)
 ※「小児気管支喘息の薬物療法における適正使用ガイドライン」(ONLINE;2006.8.1;日本小児アレルギー学会)
MINDS 医療情報サービス:診療ガイドライン[日本医療機能評価機構] - 喘息

【総説】

アレルギー56(3-4),2007[第19回日本アレルギー学会春季臨床大会2007年6月10-12日]
 - S2 喘息治療の現状と評価

気管支喘息の病態と治療 21世紀の展望[足立 満,アレルギー, 52 (7): 582-585, 2003]
BDP,FPよりパルミコートタービュヘラーRに切換えた際の高齢喘息患者使用調査
by 大林 浩幸, 山瀬 裕彦 [アレルギー, 52 (1): 31-38, 2003]

Early intervention with budesonide in mild persistent asthma: a randomised, double-blind trial[Lancet 2003; 361:1071-76]
32か国7241喘息患者の2年間のSTART研究では、budesonide1日1回低用量長期投与が中等度持続性喘息患者で重篤な憎悪リスクを減少させ、喘息管理の改善をもたらした。

季刊誌「薬のチェックは命のチェック」No.8:喘息と必須薬[2002.10,NPO医薬ビジランスセンター]では、ベロテックエロゾルの発売中止を求めて活動を続けている。
 国際標準GINA2002では3次選択剤のテオフィリンについて、日本の診療ガイドラインは、未だ重要視していることを問題視する意見もあったりする。(テオフォリンは結局評価されているのか?)

Asthma[The Lancet 360(9342)1313-22,26 October 2002]
BMJ -- Collected Resources: Asthma(1998-2004年/1 総説111件)
- New guidelines on the management of asthma[BMJ 326:346-347(15-Feb-2003)]
[Clinical Trends]Pharmacoeconomics of Asthma[Allergy & Clinical Immunology International - Journal of the World Allergy Organization ,15(6),November 2003]

 ●Leukotriene modifiers in the treatment of asthma[喘息治療におけるロイコトリエン・モディファイアー]BMJ 1998; 316: 1257-1258. [Full text] ●Antileukotriene Drugs in the Management of Asthma...[Fulltext, Dec 23/30 JAMA. 1998;280:2068-2069]

【リソース・オンライン雑誌】
MEDLINEplus: Respiratory Diseases (General) National Library of Medicine  ●MedWebPlus: Asthmaオンライン雑誌リスト

【主要サイト】
公害健康被害補償予防協会 -ぜん息などの情報館
 →●MLリソース:喘息リンク[mp_asthma_link.htm]

【代替フロン問題】
第4回モントリオール議定書締約国会議において、先進国では1996年までに特定フロンを全廃する方針が決まり、フロンガスの代替品とフロンガスの分解技術に関する研究が進められている。
代替フロンには、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボンなどがあるが、これらの物質は温室効果ガスであるため、地球温暖化防止の観点から排出削減の対象となっている。

◇グラクソ・スミスクライン:特定フロン使用の「ベコナーゼ(R)」販売中止=グラクソ・スミスクラインは2003年12月10日,特定フロン(CFC:クロロフルオロカーボン)を含有する定量噴霧式鼻過敏症治療剤「ベコナーゼ(R)」(一般名:プロピオン酸ベクロメタゾン)の販売中止を決定したと発表した。これは,モントリオール議定書の特定フロン全廃の決定に準じた措置。特定フロンに代えて同社では,オゾン層への悪影響がないとされるHFC134aを用いた代替品や,キャリアーガスを使用しない製剤の開発に成功している。ベコナーゼRに代わる同種同効薬の製品としては,「フルナーゼR点鼻液」,「小児用フルナーゼ(R)点鼻液25」(一般名:プロピオン酸フルチカゾン)が既に販売されている。
●各製品
グラクソ・スミスクライン、吸入ステロイド喘息治療剤、『フルタイド50エアー』発売 〜 喘息治療剤のラインナップを拡充 〜[2003.3.12]
 - 代替フロン(HFA-134a)使用のエアゾール製剤(MDI:定量噴霧式エアゾール製剤)の剤型追加
 エタノールを含まない代替フロンを使用した吸入ステロイド薬として日本ではじめて
小児適用を取得した薬剤。
吸入ステロイド喘息治療剤「キュバールTM」新発売のお知らせ[2002.8.1]
 - シェリング・プラウ。 吸入ステロイド喘息治療剤「キュバールTM」(一般名:プロ
ピオン酸ベクロメタゾン)を、2002年8月5日にシェリング・プラウおよび大日本製薬
両社の並行販売により新発売。
噴射剤としてオゾン層を破壊するおそれのない代替フロン「HFA-134a」が使用。
(HFA=ydrofluoroalkane)
[シェリング・プラウ]アルデシン
 - アルデシン(喘息用)(鼻炎用)、アルデシン100,アルデシン100 定量噴霧式エアゾール剤 
  - (1缶中) 日局プロピオン酸ベクロメタゾン
 有効成分(1回噴射中) 日局プロピオン酸ベクロメタゾン:0.05mg 
 添加物 オレイン酸,ジクロロジフルオロメタン,トリクロロモノフルオロメタン 
 BDP-CFC (chlorofluorocarbon); 2004年12月をもって製造を中止。
(経過措置期間満了2006年3月末日))

[環境省]中央環境審議会
 - 地球環境部会フロン類対策小委員会
 - 地球環境部会フロン類等対策小委員会/産業構造審議会化学・バイオ部会地球温暖化防止対策小委員会フロン回収・破壊WG合同会議
 - フロン回収破壊法の施行に向けた考え方(第二次とりまとめ)[2002.1.28]

●[日本経済団体連合会]環境自主行動計画〔温暖化対策編〕 <個別業種版>
日本製薬団体連合会・日本製薬工業協会
目標:2010 年度のCO2 排出量を1990 年度レベル以下に抑制する。
2010 年度における医療用エアゾールに使われているHFC の使用量を、
対策を講じない場合に比べ25%削減する。








●解説


●概要

気管支喘息(以下、喘息)は臨床的に発作性の呼吸困難、喘鳴、咳の症状と、種々に変化する気道閉塞による気流制限を示す。生理学的には種々の刺激に対する気道過敏性が亢進した状態で、組織学的には重症度のいかんにかかわらず気道の慢性炎症が特徴である。そこで現在の喘息治療は、抗炎症薬により気道炎症を鎮静化させ、気管支拡張薬により閉塞した気道を拡張させることに重点が置かれている。ダニなどの環境抗原を回避または除去することは、喘息の発症予防や慢性管理に重要である。適切な抗炎症治療には、正確な喘息の診断と重症度の評価が必要である。診断の遅れや重症度の過小評価は、喘息を慢性化・重症化させ、喘息死の原因となる。喘息治療の目標を表1に示す。小児喘息では、多くの患者で環境抗原に対するIgE抗体が産生されアトピーとの関連が重要であるが、成人喘息ではIgE抗体の産生が認められない非アトピーの患者も存在し、環境抗原以外のさまざまな要因で喘息が増悪する。小児では思春期になるとしばしば軽快し、長期寛解の状態となる患者も多い。

●分類

喘息の定義は好酸球、Th2細胞、肥満細胞、マクロファージ、好中球などの炎症細胞や、気道上皮細胞、気道分泌腺、線維芽細胞、気管支平滑筋などの細胞が複雑に関与した慢性の気道炎症に起因する疾患である。気道炎症は気道過敏性の亢進、気流制限、喘息症状を引き起こす。気流制限は軽度のものから致死的な高度のものまで存在し、多くの場合、自然にあるいは治療により回復する。気管支平滑筋の収縮、気道壁の腫脹、気道分泌亢進、および気道炎症が遷延すると、気管支平滑筋の増殖肥厚や基底膜下網状層の肥厚などの気道壁のリモデリングによる気流制限が引き起こされ、しばしば気流制限の可逆性も低下する。そして気道壁のリモデリングの進行は、気道過敏性をさらに亢進させると考えられている。

●疫学

米国には約1,200万人の喘息患者がいる。1982年から1992年にかけて,喘息の有病率は1,000人あたり34.7人から49.4人までに増加した。死亡率は100万人あたり13.4人から18.8人までと,40%上昇した;黒人のそれは白人の5倍であった。喘息は,小児における第1の入院原因であり,不登校の原因となる第1の慢性病態である。1990年の喘息の病院経費は20億ドルを上回り,喘息治療の総経費は62億1000ドルであった。

●症状

 症状の頻度および重症度は患者間,また同じ患者でも時間によって大きなばらつきがある。時に軽症や軽微なエピソードがあるだけの患者もある。日常的に穏やかな咳と喘鳴が持続し,既知のアレルゲンへの暴露,ウイルス感染,運動,非特異的刺激物による,症状の激しい悪化により強調される喘息患者も存在する。心理的要因,特に泣くことや,叫ぶこと,大笑いに関連して症状を誘発することもありうる。

 発作は通常,喘鳴,咳嗽,呼吸速迫を伴って急性に始まるか,または呼吸困難が徐々にはっきりしてきて,潜行性に始まる。しかし,特に小児においては,前頸部または胸上部の痒みは,早期の前兆的な症状である可能性があり,特に夜や運動時の乾性咳嗽が唯一の症状である可能性がある。喘息患者は通常まず,呼吸困難,咳嗽,息切れ,胸部の拘扼感があり,喘鳴を聴くことがある。急性発作時の咳嗽は「きつく」聞こえ,一般的には喀痰を伴わない。めったに咳をして痰などを吐き出すことをしない幼児期を除いて,粘稠な喀痰が発作の消退に伴って産生される。

 身体診察:急性発作時において,患者は発作の重篤度と持続時間によって様々な程度の呼吸困難を示す。頻呼吸および頻脈がある。患者は背を伸ばして,あるいは起座位を好み,副次的な呼吸筋を使い,不安になり,空気を求めてもがいているようにみえることもある胸部理学的所見では,吸気時全体,およびたいていの呼気時に,比較的ハイピッチの喘鳴を伴った呼気延長がみられる。胸部は空気を貯留しているため,過度膨張しているようにみえることがある。粗い水泡音が喘鳴に伴うことがあるとしても,はっきりした握雪音は,肺炎や,無気肺,心臓代償障害が伴っていない限り,聞こえることはない。

 より重症の発作では,患者は息つぎをせずに,数語以上話すことが不可能となることもある。速迫で,浅表性の効果のない呼吸運動により,疲労や呼吸困難が証明される。発作が悪化するにつれてチアノーゼが明らかとなる。錯乱と嗜眠はCO2ナルコーシスによる進行性呼吸不全の徴候を示唆する。そのような患者では,過度の粘液栓と患者の疲労は,空気の流れとガス交換を著しく減少させることになるため,聴診時にむしろ喘鳴が聞こえにくくなる。喘息発作が起こっている患者の静かな胸部音は,即座に生命を脅かしうる重度の気道の問題を抱えている可能性を警告している。

 重症発作の最も明確な指標となる徴候は,安静時の呼吸困難,会話ができないこと,チアノーゼ,奇脈(20〜30mmHg以上),副次的な呼吸筋の使用などである。重症度は,動脈血ガスを測定して最も正確に評価される。

 非発作時の呼吸音は安静時は正常であろう。しかしながら微細な喘鳴が,強制呼吸時や運動後には聞こえることがある。全く無症状であると感じているときでさえ,軽度から中等度の喘鳴がいつでも聞こえている可能性のある患者もいる。長年続いている重い喘息においては,特にそれが小児の頃からだとすると,慢性的過度膨張が胸壁を侵すことがあり,例えば,「四角ばった」(“squared off”)胸郭,胸骨の前方への弓形変形,押し下げられた横隔膜などがある。

●原因

喘息の危険因子はその発症に関わる因子(素因、原因因子、寄与因子)と喘息を発症した患者の症状を増悪させる因子(喘息増悪因子)に分けることができる。これらの因子は喘息の発症と増悪のいずれにも関与することが多いことから、喘息の発症を防ぎ(一次予防)、また喘息の増悪を防止する(二次予防)ために、これらの危険因子を回避・除去することが大切である。

素因とは、喘息の発症に関与する危険因子のうちで遺伝的なものである。 アトピー素因、アレルギー性の家族歴についてはほとんどの調査で喘息の発症に強い関連を示唆しており、遺伝的要因は発症に関わる重要な要因である。一方、性別については男児および成人女性で有病率が高い傾向にあるが、その根拠は確定的でない。

原因因子は気道を感作し、喘息発症の重要な要因となる危険因子である。最も重要な原因因子として、室内アレルゲン(室内塵ダニ、動物アレルゲン、真菌など)、屋外アレルゲン(花粉、真菌など)などの吸入アレルゲンが挙げられる。

寄与因子は原因因子への曝露後に喘息発症の可能性を高める因子、あるいは喘息の素因自体を増大させる可能性のある因子である。想定される各因子には呼吸器感染症、屋外大気汚染、室内空気汚染、喫煙などが挙げられているが、それらの喘息発症への関与は確定的でなく、その役割は今後の研究により明らかになるであろう。

●診断

喘息の診断には発作性の、そして特に夜間に増悪し、反復する喘鳴、咳、呼吸困難と可逆性の気流制限の存在が必要である。また、気道過敏性や気道炎症の評価は診断に有用である。種々のアレルゲンに対する特異的IgE抗体の存在はアトピー素因の存在を示唆し、環境整備において重要な意味を持つ。診断の目安を表2に示した。器質的心肺疾患でも喘息様症状が出現するため鑑別診断が必要である。

表2 喘息診断の目安

1.発作性に出現し反復する、喘鳴、咳、呼吸困難
特に夜間に増悪し、運動後、風邪をひいた後、ホコリなどの環境抗原や冷気、タバコの煙を吸入した後に出現しやすい
2.可逆性の気流制限
自然にまたは治療により寛解する。PEFや1秒量の変化が20%以上
3.気道過敏性
アセチルコリン、ヒスタミン、メサコリンに対する気道収縮反応の亢進
4.アトピー素因
環境アレルゲンに対するIgE抗体の存在
5.気道炎症の存在
喀痰中、末梢血中の好酸球の増加
6.鑑別診断疾患の除外

●治療ステップを考慮した喘息重症度

1) 治療前の臨床所見による重症度。既に治療を受けている場合は症状をほぼコントロールするのに(ステップ1程度)要する治療ステップでその重症度とする。 症状がある場合はより高い重症度を考える。
2) いずれか1つが認められればそのステップを考慮する。 これらの症状、肺機能は各ステップの概要を示したもので各ステップ間のオーバーラップがあり得る。 重症度は肺機能、症状、現在の治療レベルから総合的に判断する。
3) 症状からの判断は重症例や長期罹患例で重症度を過小評価する場合がある。 肺機能は気道閉塞の程度を客観的に示し、その変動性は気道過敏性と関連する。

●検査

 入院が必要なほどの重症喘息患者において,動脈血ガスとpHの測定は必須である。

 肺機能検査:肺機能検査は,喘息患者とわかっている場合は,気道閉塞やガス交換障害の程度の評価,吸入したアレルゲンや化学物質に対する気道の反応の測定(気管支誘発試験),薬に対する反応の定量化,そして長期にわたる追跡調査のために役立つ検査である(64章参照)。また肺機能検査は,気道閉塞の可逆性の程度を評価するために,エアロゾル化した気管支拡張薬を投与する前後に実施されると最も有効である。これらの検査は,鑑別診断を行う場合にも有用である。

 軽症で小康状態にあるときには検知されない可能性があるが,静的肺気量は種々の異常を明らかにする。全肺気量,機能的残気量,そして残気量は通常増加する。肺活量は正常か減少する。

 動的肺気量および肺活量は減少しているが,噴霧式気管支拡張薬の吸入により正常への改善傾向を示す。軽症や無症候の喘息患者においては,結果が正常であることもある。呼気流量は気道の直径や,肺の弾性回復力によって決定されるので,高肺容量時の流量は低肺容量時の流量に勝るであろう。比較的大きい肺容積時の流量(最初の0.5秒間の努力呼気量[FEV0.5]そして最大呼気流量)は,かなりの程度患者の努力次第であり,肺容積のより広範囲の流量計測する検査(最初の1秒間のFEV[FEV1])に比べ満足のいくものではない。大肺容量時の呼気流量測定値は,末梢気道抵抗の変化を反映せず,まず第一に中央気道での異常を反映する。呼出肺容量が流量率に対してプロットされる流量-容量曲線は最も有意義であろう;この曲線は,大肺容積時や小肺容積時の流量のグラフを表し,それゆえ中枢と末梢の気道の異常を明らかにする(図64-4C参照)。しかし,FEV1は喘息患者の管理に必要な,ほとんどの情報を提供する。肺活量測定を実施する前に,吸入式β2作動薬気管支拡張薬を少なくとも4時間,テオフィリン系薬物(特に徐放薬)を少なくとも12時間控えるべきである。

 特に小児における不明確な喘息の診断を確定する場合,自転車トレッドミルやエルゴメーターによる運動負荷試験が有用である。喘息の小児の90%以上が,7分間の十分な運動をした後に,肺機能の低下を示す。

 喘息患者における換気分布はしばしば異常である;すなわち,種々の肺部分が異時性に満ちたり空になったりする。この分布異常は,単呼吸N2試験や7分間N2洗い出し試験により測定される。胸膜圧を評価する目的で食道バルーンを使って肺の弾性(肺コンプライアンス)を測定することにより,弾性の消失(特に急性喘息発作の間)が認められるが,それは喘息の寛解期には可逆的である。一酸化炭素の拡散能(DLCO)は一般的に正常である。

 急性発作の早期には,肺活量の25〜75%の間の努力呼気流量(FEF25-75%)が軽度に減少することがある。発作が進行するにつれて,(FVC)と最初の瞬間のFEV1は次第に減少する;引き続いて起こる空気の貯留や残気量の増加の結果,肺は過膨張となる。流量率の異常,特に気道機能が小さいことを示している異常が,急性発作から何週間も持続することがある。

 好酸球数:好酸球増加症(250〜400個/μL以上)はアレルギー要因が病因であるかどうかにかかわらずよくみられる。多くの喘息患者において,好酸球増加の程度は喘息の重症度と関連している。全身投与コルチコステロイドによる好酸球増加抑制が,用量の適切さの指標として使用されてきた。

 喀痰検査:合併症のない喘息患者では,喀痰が鑑別の大きな目安となる:粘着性で,弾力があり白色である;成人で感染を伴う場合は,黄色っぽいこともある。しばしばシート状に配列して,多くの好酸球が顕微鏡下にみられ,また破壊した細胞からの好酸性顆粒が,痰の塗沫標本上全体にわたってみられる可能性がある。好酸球由来の細長い双錐体性結晶(シャルコー-ライデン結晶)は,共通に認められる。細菌感染を伴う場合特に気管支炎の要素があるときは,多形核白血球と細菌が優位になる。合併症のない喘息では,喀痰培養ではほとんど病原菌を認めない。

 胸部X線:所見は正常から過度膨張まで様々である。肺紋理は,特に慢性喘息において,通常増加している。右肺中葉を最も侵しやすい無気肺は小児で起こりやすく,再発することがある。急性の再燃の間によく観察される,小領域の部分的無気肺は,肺臓炎と誤解される可能性があるが,それらが早急に消退することから無気肺が示唆される。

 アレルゲンの同定:非特異的刺激要因,特にタバコの煙を評価すべきである。環境的にアレルゲンに暴露したことに関連した病状の増悪,鼻炎の病歴,アトピー性疾患の家族歴は,外的なアレルギー要因の可能性を示唆する(75章「職業性喘息」参照)ー病歴により示唆されるアレルゲンは,皮膚試験などのアレルギー検査により最もよく確定される(抗ヒスタミン薬は少なくとも48時間前に使用をやめるべきであるが,コルチコステロイドは直接の皮膚試験反応に抵触せずに使用を続けてもよい)。選択アレルゲンに対する一連の皮膚試験が陰性の場合,アレルギー成分がないことを強く意味している。反応陽性は,検査したアレルゲンに対するアレルギー反応の可能性を示しているだけである。症状のパターンや環境的な暴露の関連性を調べることにより,結果の臨床的意義が判定される。

 吸入抗原に対する特異的IgE抗体が,in vitro試験(例,放射性アレルギー吸着試験[RAST];148章参照)または患者の血清を用いる同様の試験により検出されうるが,in vitro試験は高価であり,検査誤差が大きく,適切になされ解釈された皮膚試験に比べてほとんど有利な点がない。しかし,in vitro法による一般抗原の小パネルに対する血清中総IgEまたは特異的IgE抗体の測定は,患者のアトピー性体質を立証するのに有用であろう。  陽性皮膚試験の臨床的意義を証明するためにアレルゲンを用いて,または既知の喘息患者に対し気道過剰反応性の程度を評価するためにメタコリンやヒスタミンを用いて,吸引気管支誘発試験が使用されてきた。症状が非定型的な場合(例,咳型喘息のように,持続性の咳はあるが,喘鳴がない),診断を助ける目的でも使用される。

●治療

喘息治療は、喘息症状とピークフロー(PEF)による呼吸機能から患者の重症度を正確に診断し、抗炎症薬を主体とした段階的薬物療法を表3に示した喘息管理プログラムに基づいて行う。

表3 喘息管理プログラム

1.医師(看護師、薬剤師)と患者(家族)とのパートナーシップを確立する
2.喘息増悪因子を特定し、それを避ける
3.自覚症状とPEFやスパイロメトリーによる呼吸機能検査から、喘息重症度を的確に判断する
4.喘息の慢性管理は、喘息重症度に応じた長期薬物療法を行う
5.喘息急性発作時の対応を、患者に指示しておく
6.喘息は慢性疾患であり、定期受診する必要があることを患者に説明する

●薬物治療

喘息の治療には、以下の両面からの治療が必要です。 
長期管理薬 : コントローラー 
     発作を未然に防ぐために、症状がなくても継続的に使用する薬 
発作治療薬 : リリーバー 
     喘息発作が起きたとき、あるいは起きそうな時だけ使用する薬 
同じ名前の薬でも、内服薬(経口薬)、吸入薬、注射薬、貼付薬などの形状があります。 また、ステロイド薬、β2刺激薬にも、長期管理に使うものと発作時に使うものがあります。 お子さまの薬の作用については、使用方法、作用、副作用について十分に理解して使いましょう。

長期管理薬は発作のないときに使うので、人によっては症状がないのに薬を使うことに抵抗があるかもしれませんが、気道の炎症を抑え、改善するために薬を定期的に使って発作を起こさないようにするのが治療の基本です。

長期管理薬によって3か月以上発作がない場合には、ステップダウンについて医療スタッフと相談しましょう。 また、現在の治療では発作が起きてしまう場合は、ステップアップを早めに相談しましょう。
ステップダウン : 現在の治療薬で、発作を起こさない期間が3か月以上続いて、状態が安定していたら、治療薬を一段階減らすなどの対応をする。 発作を起こさない状態を続けるために必要な治療は続ける。
ステップアップ : 現在の治療薬でも発作を起こしてしまうときには、もう一段上の治療に進む。

●薬物治療〜長期管理

 軽症間欠型喘息患者は毎日の薬物投与を必要としない。急性症状には,短時間作用型β2アドレナリン作動薬(例,アルブテロールの2回吸入)で十分である。この薬物の週2回を超える使用は,長期コントロール療法が必要であることを意味することがある。喘息の重症度にかかわらず,β2アドレナリン作動薬が頻回必要とされるのは,喘息が十分にコントロールされていないことを意味している。

 軽症持続型喘息患者では,低用量の吸入コルチコステロイドまたは吸入クロモリンかネドクロミルとして抗炎症療法が適応である。特に小児においては,吸入コルチコステロイド前に,しばしばクロモリンが試みられる。これとは別に,血清濃度に10〜15μg/mL(56〜83μmol/L)にするに十分な用量で徐放性テオフィリンが投与されうる;用量は,年齢,体重によって変わる(成人では通常300mgを1日2回経口投与)。モンテルカスト5mg(6〜14歳の患者)か10mg(成人)の1日1回夕方投与,ザフィルルカスト20mgの1日2回食前食後1時または2時間での投与,またはザイリュートンの600mg/日で1日4回(12歳を超える患者)が考慮されることがある。急性症状には,短時間作用型β2アドレナリン作動薬(例,アルブテロールの2回吸入)が用いられることがある。吸入β2刺激薬の必要回数が増すことは,抗炎症療法を増やす必要があることを示唆している。

 中等症持続型喘息患者は,反応に従った用量に調節して,吸入コルチコステロイドで治療する。夜間喘息がある患者には長時間作用型吸入β2アドレナリン作動薬(サルメテロール)の追加が有用であり,しばしば吸入コルチコステロイドの用量を減量する。長時間作用型のβ2アドレナリン作動薬の代わりに,経口剤型徐放性β2アドレナリン作動薬か徐放性テオフィリンを用いることができるが,いずれの薬剤もより多くの副作用を伴い,特に高齢者に多発する。

 喘息患者の少数集団に,重症持続型喘息がある;彼らは,しばしば高用量で数種の薬物を必要とする。彼らは,吸入コルチコステロイド(常にスペーサーを使用して),長時間作用型β2アドレナリン作動薬――長時間作用を発揮する吸入β2刺激薬(例,サルメテロール)か,徐放性β2刺激薬錠剤――および徐放性テオフィリンかロイコトルエン修飾薬などの高用量抗炎症薬を受けるべきである。重症患者は全身にコルチコステロイドを必要とすることがある;隔日療法は,連日コルチコステロイド療法に伴う副作用の軽減に役立つ。吸入コルチコステロイドで喘息が最適にコントロールされたら,コントロールを持続するために必要とされる最低量まで徐々に減量していく。急性症状の軽減には,短時間作用型のβ2刺激薬が必要である。

●薬物治療〜発作治療

急性喘息発作は,軽症(ステージ I),中等症(ステージ II),重症(ステージ III)または呼吸不全(ステージ IV)である。

 ステージIまたはIIの患者は,通常,霧状化のために圧縮空気を使用した噴霧式気管支拡張薬(例,アルブテロールネブライザー溶液0.5%または5mg/mL)によって効果的に治療される。成人の急性喘息患者においては,定量式噴霧吸入器(MDI)により投与されるアルブテロールが,圧縮空気による噴霧吸入と同様に効果的である。これとは別に,エピネフリンが皮下投与され,必要であれば,20〜30分毎に1度か2度繰り返し与えてもよい。エピネフリンよりテルブタリンの皮下投与は心血管作用が少ないので,成人には好ましい。その作用時間は若干長い。(表68-5にβ2刺激薬の用量を示す)。もし,β2アドレナリン作動薬の3回吸入およびエピネフリン注射の後に反応がみられなければ,テオフィリン(アミノフィリン同様に)を静注投与しなければならない。救急室でβ2刺激薬の至適投与(20分毎に3回)を受けている患者に対してアミノフィリンを静脈内投与することは何の足しにもならず,副作用のみを生じると一部の研究が指適しているが,多くの熟練臨床医はアミノフィリンは,まだ必要であると信じている。もし患者が吸入β2刺激薬に対して至適反応を示さず,入院させる必要があるのであれば,多くの熟練臨床医がアミノフィリンの静注投与を推奨するであろうが,これもいまだ議論の余地がある。

 小児や成人において,アミノフィリンは通常6mg/kgの静脈内負荷投与で開始され(点滴液と1:1で希釈された25mg/mLの濃度),これが約20分投与される。それから持続的な点滴投与が始まる,成人で0.45mg/kg/時間,12歳未満の小児で,0.8〜1.0mg/kg/時間。血清レベルは注入開始後1,12,24時間の時点でモニタリングされるべきである。血清レベルが10〜15μg/mLであるのが効果的で,安全である。もし,継続的注入が行えなければ,アミノフィリンを6時間毎に20分間以上かけて4〜6mg/kg静注してもよい。

 アルブテロールに最適な反応を示さなかった患者には,アルブテロールネブライザー療法に臭化イプラトロピウムネブライザー溶液(0.25 mg/mL)が併用できる。成人の用量は0.5mgを30分毎に3回で,その後,必要であれば2〜4時間毎に投与する。小児は,0.25mgを20分毎に3回,その後2〜4時間毎に投与される。

 ステージIIの発作が現れている成人には,コルチコステロイド(プレドニゾン,プレドニゾロンまたはメチルプレドニゾン)120〜180mg/日を分3または分4で,48時間経口投与される。その後,呼気ピークフロー(PEF)が自己最良値または予測値の70%に達するまで,60〜80mg/kg/日までに用量が減量される。小児には,48時間の間,6時間毎に1mg/kgが投与され,その後,PEFが自己最良値または予測値の70%に達するまで,1〜2mg/kg/日(最大60mg/日)を分2で減量投与される。外来患者の場合,成人には40〜60mgの「バースト」が単回または2回に分けて投与され,小児には1〜2mg/kg/日(最大,60mg/日)が3〜10日間投与される。コルチコステロイドの静注は必要とされないが,静脈ラインがすでに確保されている場合,しばしばメチルプレドニゾン静注投与が適切である。ここで推奨した投与量は厳格に検討されたものではない;コルチコステロイドを早期に適切な用量(上記のように)で投与するという原則を示している。

 特に,β2吸入刺激薬に対して迅速な反応の徴候(約30分以内に)がなかったり,患者が厳しい窮迫や増悪に陥っていたり,あるいは発作の病期が不確実であった場合,血液ガス分析を行わなくてはならない。

 ステージIIIにある患者はすべて,血液ガスを直ちに測定すべきである。マスクを介して酸素と併用してアルブテロールネブライザー溶液(5mg/mL)の連続的ネブライザー投与が開始される;用量は,成人で10〜15mg/時間,小児では0.5mg/kg/時間(最大,15mg/時間)である。患者が依然として厳しい窮迫状態にある場合,アミノフィリンの連続注入が開始される。用量は,若年や中年の成人で1mg/kg/時間,小児では1.25mg/kg/時間の限界にまで上げてもよい。血清テオフィリン濃度が監視されなければならない。心不全や肝臓病をもつ患者や高齢者に対しては,さらに注意が必要であり,より低用量(1/3〜1/2)を使用すべきである。血清テオフィリンクリアランスを減少させるものとして知られている薬物(例,シメチジン,エリスロマイシン,シプロフロキサシン)を服用している患者では,用量が25〜50%に減量されるべきであり,血清濃度を注意深く監視しなくてはならない。低酸素血症を治すのに,鼻カニューレか,フェイスマスクにより適切なO2吸入酸素濃度(FIO2)を決めなくてはならない。

 ステージIIの患者と同様にコルチコステロイドが投与されるが,メチルプレドニゾン静注が最も頻繁に用いられる。入院の基準は様々であるが,明らかな入院の適応としては,繰り返しのβ2アドレナリン作動薬やアミノフィリン投与後に改善しない,疲労が悪化する,再発する,呼吸不全の進行を示す有意なPaO2の減少(<50mmHg)やPaCO2の増加(>50mmHg),などである。重症喘息発作の患者が多すぎる場合は自宅療養となる。

 ステージIVにあるかまたは達した患者には,β2刺激薬やテオフィリンに追加して,直ちにメチルプレドニゾロンが4〜6時間毎に1〜2mg/kg静注される。積極的なβ2刺激薬やコルチコステロイド療法対して好ましい反応を示さないステージIVの患者や,疲労や,血液ガスとpHの進行性悪化を示すステージIVの患者には気管内挿管と補助呼吸を考える必要がある(66章参照)。そのような患者は集中治療室に入院させなくてはならない。

 低酸素や窒息感のために,喘息の多くの病期において不安が極度に達するであろう。特に冷静で,注意深い,協力的な医療者により行われるのであれば,賢明なO2療法の使用を含め,根底にある呼吸器の問題の治療は好ましいアプローチである。挿管されていない患者への鎮静剤の使用には,死亡率の上昇や人工呼吸器の必要性が伴う。

 喘息を悪化させる気道感染は,主としてウイルスによる;特に小児においては細菌感染はほとんど関与しない。しかし,もし患者が黄色,緑色や茶色の痰を吐き出し,痰のライト染色で多形核白血球が多数存在することが示されれば,経験的に抗細菌療法が行われる。抗菌薬は,慢性または再発性気管支炎が起こる傾向がわかっている成人においては特に適切である。細菌学的所見に従って抗菌薬が選択されるべきであるが,アモキシシリンが通常最も有用である。βラクタム系抗菌薬に対してアレルギーのある患者には,エリスロマイシンやテトラサイクリン,トリメトプリム/スルファメトキサゾールが投与されることがある;テトラサイクリンは,乳幼児に投与すべきではない。

 重症喘息患者は例外なく低酸素血症であるので,常にO2療法が必要とされる。血液ガスレベルがFIO2を左右する。PaO2は60mmHg以上に維持すべきである――可能ならば70〜90mmHgの範囲が望ましい。PaCO2や動脈pHが安定している患者では,血液ガス検査の代わりに,非侵襲的な指酸素濃度計で動脈血O2飽和度(SaO2)を評価できる。SaO2は90〜95%にすべきである。ベンチュリー・マスクに耐えられない患者では,低FIO2(2〜4L/分)で,鼻プロングを使用して同様の結果を得られる。O2は気道粘膜を乾燥させるので,常に加湿すべきである。

 特に発作が12時間以上続く場合,水と電解質のバランスが影響を受けることがある。現在までの体液の損失は,患者の年齢や体格に見合うだけの尿量を確保するのに十分な量の補液を一定の速度で行って埋め合わされるもので,24時間当たりの量を任意に決めて投与するのではない。水分過剰は肺水腫を引き起こす可能性がある。カリウム値は脱水状態の患者において動脈血pHや組織pHの変化や,体液の入れ替わりに伴って変化するので,カリウムが輸液に追加されなければならないことがある。加えて,静脈内輸液療法中に投与された高用量ヒドロコルチゾン(メチルプレドニゾロンではない)やβ2刺激薬が尿中のカリウム喪失を促進する。吸入空気や吸入O2を加湿すると,気道からの水分の過剰損失が減少する。

 発作が重症で持続する場合,呼吸性アシドーシスが出現することがある;動脈血pHはpH7〜7.1の範囲にまで驚くほど降下することがある。呼吸性アシドーシスは主に,改善すべき呼吸の機械的な障害を反映しているので,多くの患者は,この段階で挿管され,補助換気が開始される。気道抵抗が高く,変化している場合,ほどよく一定の肺胞換気を可能にするため,通常は容量サイクル換気が用いられる。多くの患者が鎮静薬を必要とし,ときに人工呼吸器の完全なコントロールを達成するために,神経筋麻痺を併用するが,中枢モードが好まれる。自己(内因性)呼気終末陽圧(PEEP)が危険な高水準にある患者における肺の過膨張を軽減するため,人工呼吸器は,高い吸気流量(60〜80L/分以上)で,8〜14回/分に設定されるべきである。その結果,吸息時間は短く,吸気:呼気の比は1:3〜1:4;このような設定は,呼気流量が重度に制限されている患者の呼息を最大にする。

 しかしながら,喘息発作重積状態にある一部の患者では,気道抵抗が極めて高いために,最高気道圧(55〜60cmH2O以上),プラトー気道圧(35〜40cmH2O以上),自己PEEP(15〜20cmH2PO以上)の水準が危険なほどに高くなる。生命を脅かす圧外傷(気縦隔症,気胸)や低血圧が確実となる。この情況では,制御式低換気を利用し,若干高炭酸ガス血症にさせておくことは許容できる。分時換気量を全体的に低くし(高い吸気流量と組み合わせて),低い1回換気量(7〜10mL/kg)と少ない呼吸回数(9〜12回/分)を選択すると,許容できないほど高い気道圧を伴う肺の重度過膨張が修正されることがある。PaCO2が80〜90mmHgを上回り,動脈血pHが7.20未満まで低下した場合,pHを7.20〜7.25に維持するために,低速で炭酸水素ナトリウム注入が開始される。ほとんどの患者がこのアプローチに耐えられる。気道閉塞が軽減され,PaCO2やpHが正常化した場合,通常,患者は,鎮静薬や麻痺性薬物を中止後に速やかに人工呼吸器から離脱できる。麻痺性薬物で管理されていた少数の患者では,数週間から数カ月の間,全身骨格筋の重症脱力が現れる。

●予後

●参考資料

「小児気管支喘息の薬物療法における適正使用ガイドライン」(ONLINE;2006.8.1;日本小児アレルギー学会)
MINDS 医療情報サービス:診療ガイドライン[日本医療機能評価機構] - 喘息メルクマニュアル第17版日本語版 [第68章02]喘息




●喘息の原因・分類・診断

●喘息の原因

 喘息は、遺伝因子と環境因子が絡んだ病因が不明な病気です。
 最近、人の全遺伝子の解読が終わり、その塩基配列が発表されたところですが、多くの
遺伝子が関係している喘息体質の実態が明らかになれば発病を予防したり、体質そのもの
を無くする治療法が生まれるかもしれません。

※EBMに基づいた喘息治療ガイドライン Online版	第2章 喘息の危険因子・予防
2-1 喘息の発症・増悪に関わる危険因子と予防
2-1-1 素因
2-1-2 原因因子
(1) アレルゲン	(2) 職業性感作物質
2-1-3 寄与因子
(1) ウイルス性呼吸器感染	(2) 屋外大気汚染	(3) 室内空気汚染
(4) 喫煙                	(5) 食品        	(6) 寄生虫感染
2-1-4 増悪因子
(1) アレルゲン	(2) 呼吸器感染      	(3) 大気汚染  	(4) 運動と過換気
(5) 気象      	(6) 食品・食品添加物	(7) アルコール	(8) 薬物
(9) 激しい感情表現とストレス        	(10) 肥満     	(11) その他の増悪因子

 ※喘息と環境
 2. 大気汚染と喘息の関係  	 3. 天候、季節など気象の影響
 4. ストレスと喘息     	 5. ペット喘息について   
 6. 職業喘息について    


●喘息の種類

・アトピー型喘息と非アトピー喘息
・アスピリン喘息
  成人喘息の約1割の患者は、アスピリンのような鎮痛薬も刺激となり、ひどい発作が
  誘発されることがあります
・運動誘発喘息
・咳喘息(Cough Variant Asthma)
・ペット喘息
・職業性喘息
などと呼ばれるタイプがある。


●喘息の症状
・気道の炎症
 喘息は、空気の通り道である気道(気管支など)に炎症が起き、空気の流れ(気流)が制限される病気です。
・気道過敏性
 気道はいろいろな吸入刺激に過敏に反応して、発作的に咳、“ぜーぜー"と気管支が鳴
る喘鳴、呼吸困難が起きます。気流制限は軽いものから死に至るほどの高度のものまであ
り、自然に、また治療により回復し可逆的です。しかし、長く罹っている成人の喘息患者
の気道では、炎症とその修復が繰り返される過程で気道の壁が厚くなって、気流制限が元
に戻り難くなり、気道の敏感さ(過敏性)も増します。

・咳、喘鳴、呼吸困難が症状


●喘息の診断と検査

 気管支喘息、花粉症、蕁麻疹などは、家族に多発することから遺伝的素因に基づいて発
症する生まれつきの過敏症(アレルギー)であると考え、この素因をアトピーと呼ぶように
なりました。簡単にいえば、アトピーはアレルギーを起こし易い体質のことで、アトピー
性皮膚炎の病名の由来もここにあります。

アトピー素因があるかどうかは、
(1)家族歴と既往歴に気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎のいず
れかがあるか、または
(2)IgE抗体を産生しやすい素因があるかで判定されます。IgE抗体は、皮膚テスト陽性、
血中の特異的IgE抗体の測定(RASTなど)の陽性、血清総IgE抗体の高値により証明されます。

アトピー型喘息は、吸入された家塵ダニ、カビ、花粉などにIgE抗体が反応して30分ぐら
いの短時間で起きる即時型アレルギー反応によって発症する喘息です。
これに対して、アレルゲンに対するIgE抗体が証明できず即時型アレルギーではないメカ
ニズムの炎症によって発症すると考えられる喘息を非アトピー型喘息といいます。
アトピー素因に関係する遺伝子の候補はいくつか報告されていますが、単一の遺伝子では
なく多くの遺伝子が関係していると考えられます。

・アレルギーの皮膚テスト
 喘息などアレルギー性の病気は、原因抗原(アレルゲン)を見出し、それを避けることが
治療の原則です。

・肥満細胞と好酸球
 肥満細胞も好酸球もともに細胞のなかに多数の顆粒を持っています。肥満細胞は、もと
もと 外界と接する皮膚と粘膜内に多く存在していますが、好酸球は通常は血管内を流れ
ていて、炎症が起きるとその皮膚や粘膜に侵出します。両細胞ともアレルギーの炎症に深
く関与しており、肥満細胞は、細胞表面の受容体に結合しているIgE抗体を介してアレル
ゲンと反応し顆粒にあるヒスタミンを放出す(脱顆粒)と同時にプロスタグランディンやロ
イコトリエンという物質も生成します。これらの物質は、化学伝達物資と呼ばれ気管支を
収縮し、血管の透過性を亢進させ、痰の分泌を高めて喘息の呼吸困難発作を起こします。
この反応は短時間に起きるため即時型反応と呼ばれています。蕁麻疹、花粉症の鼻汁や喘
息の急な発作を起こす反応です。
 好酸球は、いろいろな刺激(アレルゲン、サイトカイン、補体など)に反応して顆粒中に
ある障害性蛋白物質を放出し、気管支粘膜の剥離・破壊を起こします。これは、遅発型ア
レルギー反応と呼ばれ、発作を繰り返し起こすような慢性の喘息症状に関係していると考
えられます。また、好酸球は寄生虫感染の時にも増え、寄生虫に対して攻撃する細胞でもあります 

・IgE抗体
 体内に異物(抗原)が入ってくると、体の免疫系は種々の抗体を作って異物を破壊・排除
します。実際は、Tリンパ球の働きによりBリンパ球からIgG、IgM、IgA、IgE の抗体が作
られますが、そのなかでIgE抗体は肥満細胞の表面に固着して、抗原(アレルゲン)と結合
すると直ちに肥満細胞の脱顆粒を引き起こします。その結果、ヒスタミンやロイコトリエ
ンなどの気管支収縮物質が放出され、喘息発作やアレルギー性鼻炎、蕁麻疹の症状が出現
します。アトピー体質とはこのIgE抗体が作られやすいことです。

・肺機能、ピークフローモニタリング
 気管支ぜん息は、気道が閉塞するため、閉塞性呼吸器疾患と呼ばれています。
この閉塞の程度を調べる検査が肺機能検査です。
肺機能検査には、スパイロメトリー、フローボリューム曲線などがあります。


●喘息の重症度

喘息の重症度は、「喘息の予防・管理のガイドライン」(1998)では、症状の程度とピーク
フロー値の測定値から4段階に分けています。治療はこの重症度に合わせて段階的に軽い
内容から重い内容に変わります。

ステップ1(軽症間欠型):
喘鳴、咳、呼吸困難が間欠的で短く、週1〜2回おきる
夜間症状は月1〜2回
ピークフロー値は自己最良値の80%以上、日内変動率は20%以内

ステップ2(軽症持続型):
症状が週2回以上、月2回以上日常生活や睡眠が妨げられる
夜間症状は月2回以上
ピークフロー値は自己最良値の70〜80%、変動率は20〜30%
ステップ3(中等症持続型):
症状は慢性的、週1回以上日常生活や睡眠が妨げられる
夜間症状は週1回以上、吸入β刺激薬の頓用が毎日必要
ピークフロー値は自己最良値の60〜70%、変動率は30%以上

ステップ4(重症持続型):
症状が持続、しばしば増悪、日常生活が制限され夜間症状も頻回
ピークフロー値は自己最良値の60%未満、変動率は30%以上
※ 日内変動率とは、ピークフロー値の変動する割合のことで、大きいほど症状が不安定

●出典
 厚生省免疫アレルギー等研究事業喘息ガイドライン作成班「喘息予防・管理ガイドライン1998」online版
 ※EBMに基づいた喘息治療ガイドライン Online版[2001.9 厚生労働省医療技術評価総合研究喘息ガイドライン班] 


●喘息の治療

 喘息をいまだ根本的に治癒させる治療法はありません。  現在、最善の治療は、気管支の炎症を起こして気管支を収縮させる原因やアレルゲンを 除去すること、薬物療法により気管支の炎症を抑えて気管支を拡張し、気流制限と過敏性 を改善して日常生活と肺機能を正常化し、患者のQOLを高めることです。  一方で、この体質を変えようとする治療法も昔から試みられてきました。その一つがア レルギー性喘息に対する減感作療法です。アレルゲンを定期的に患者に注射し、患者のア レルゲンに対する反応を変調させること(体に一種の慣れを作る)により喘息を改善すると いう治療法ですが、すべての患者に有効なわけではありません。 ・吸入ステロイド剤 ・気管支拡張剤について ・抗アレルギー薬について ・喘息の漢方薬について ・減感作療法について

薬剤分類代表する薬剤評価長所短所備考
β2刺激薬    推奨:長時間作用型β2刺激薬は長時間にわたる気管支拡張効果をもたらし,喘息症状の軽減,QOLの改善に効果が高い。特に早朝・未明の症状,運動誘発喘息の軽減に有用である。しかし,抗炎症作用を持たないため,喘息の根本療法とはなり得ず,長期的に用いる場合には抗炎症作用を有する薬剤との併用が必須である。喘息症状の一時的な増悪には短時間作用型の吸入β2刺激薬の頓用を行う。  
吸入β2刺激薬〜急性発作時の使用 IA吸入β2刺激薬は重症の急性喘息発作に対して,メチルキサンチンや抗コリン薬より気管支拡張効果に優れている。エピネフリンの皮下注射に比べ気管支拡張効果は同等以上であり,心血管系の副作用は少ない。ネブライザーはMDIを上回る効果をもたらすものではないが,投与の容易さなどから選択されてもよい。  
吸入β2刺激薬〜長時間作用型サルメテロール
(ホルモテロールの評価も良い)
IA低用量の吸入ステロイド薬でコントロールしきれない喘息患者に対して,サルメテロールを追加することは,吸入ステロイド薬の増量よりもPEF,1秒量を有意に改善し,喘息症状のない日数を増加させ,急性増悪による追加治療の必要性を減少させた  
吸入β2刺激薬〜短時間作用型フェノテロールIIC,IID 偽薬吸入時に比べ,フェノテロール吸入時にはPEF,1秒量,肺活量が有意に低下し,PEFの日内変動は増加し,気道過敏性が亢進した。喘息症状の増悪も多く見られた 
吸入β2刺激薬〜短時間作用型テルブタリンIIC テルブタリンの連用後には,サルブタモールによる気管支拡張効果が有意に低下した(用量-反応曲線の曲線下面積AUCが偽薬に比較して36%減少) 
吸入β2刺激薬〜短時間作用型サルブタモールIID 1)サルブタモールの連用は抗原誘発LARの1秒量を悪化させる
2)サルブタモールの連用は抗原誘発後の気道過敏性を悪化させる
3)β2刺激薬連用と抗原刺激の組み合わせは,抗原刺激単独よりも気道炎症を悪化させると考察される
 
吸入β2刺激薬〜短時間作用型イプラトロピウム/サルブタモールIID 1)2年後には1秒量,PC20ともに,連用群でやや悪化した
2)気管支拡張薬は頓用で使用し,必要に応じてステロイド薬を併用することが望ましい
 
貼付β2刺激薬ツロブテロール・テープIIIBツロブテロール・テープにより起床時・昼・就寝前のPEFを有意な上昇が見られた。副作用は、ないか、軽度の振戦とCPKの上昇等 
経口β2刺激薬テルブタリン,プロカテロール,サルブタモール,ツロブテロール,フェノテロール,バンブテロールIIBPEFを有意に改善  
キサンチン誘導体徐放性テオフィリンIIA,IIB(喘息の長期管理として,軽症持続型以上の重症度の喘息児に対しては,徐放性テオフィリン薬を内服するRTC療法を単独または他の治療法と併用して行うことを推奨する。)BDP等に効果が劣るものの、徐放性テオフィリンの併用が吸入ステロイド薬の倍増と同等の効果を生み出すことを示し,テオフィリンの使用によりステロイド薬量を節約できることを示唆テオフィリンでは,頭痛,いらつき,胃部不快を訴えたものが有意に多く,薬剤中止例もより多かった 
吸入ステロイド薬 IA,IB吸入ステロイド薬は局所抗炎症効果に優れ,全身的影響が少ない薬剤であり,現時点における最も効果的な喘息治療薬であり,吸入ステロイド薬中心の薬物療法により発作入院,喘息死の頻度が減少する。
 吸入ステロイド薬は喘息患者の気道炎症を改善し,その結果自覚症状,肺機能,気道過敏性を改善する。軽症例においても他の抗喘息薬,例えば気管支拡張薬,抗ロイコトリエン薬などより有効であり,第一選択薬とすべきである。
 吸入ステロイド薬は早期に導入されれば気道リモデリングをも改善し,肺機能の損失を防止する可能性がある。
 吸入ステロイド薬はあらゆる喘息患者で有効であるが,中等症,重症例では,気管支拡張薬,抗ロイコトリエン薬などの併用薬の追加が有効である。
吸入ステロイド薬の骨,副腎機能などへの全身的影響に関しては鋭敏な検査手段で見ると,高用量使用例で可能性があるので,長期に使用する場合には,最少の至適投与量を求めるあらゆる努力を怠るべきではない。  その他,眼,皮膚などへの影響にも留意すべきである。 
Th2サイトカイン阻害薬スプラタストIIAB,IIIBアレルギー性炎症を抑制し,喘息症状やその他のアレルギー症状の軽減に有用である。  
経口抗アレルギー薬(Th2サイトカイン阻害薬を除く)プランルカストIIAプランルカストは安全で喘息に有用である。吸入ステロイド薬使用者にも有効である。アレルゲン誘発の際の即時型および遅発型喘息反応と気道過敏性亢進を抑制する  
抗アレルギー薬(Th2サイトカイン阻害薬を除く)メディエーター遊離抑制薬(トラニラスト,クロモリン,アンレキサノクス,レピリナスト,イブジラスト,タザノラスト,ペミロラスト)ヒスタミンH1-拮抗薬(ケトチフェン,アゼラスチン)トロンボキサンA2合成阻害薬(オザグレル)トロンボキサンA2拮抗薬(セロトロダスト)ロイコトリエン拮抗薬(プランルカスト,ザフィルルカスト)IIA,IIB抗アレルギー薬は治験対象から見て一般にアトピー性または混合型喘息,軽症および中等症喘息に用いることが適当と考えられる。これらの薬剤は発作治療薬として用いるべきではなく,長期管理薬として用いる。その際,気管支拡張薬,抗炎症薬などと併用する。効果判定には4〜8週以上を要する。  
漢方薬柴朴湯,小青龍湯,麻杏甘石湯IVB漢方薬は長年の経験に基づいて喘息での有効性が示されている伝統的医薬である。
 柴朴湯は喘息における長期管理での有用性が示されている。小青龍湯,麻杏甘石湯は気管支拡張作用で急性期に使用されてきた。
 漢方薬は重症喘息や高度発作に適応でなく,軽症・中等症喘息での効果が見られる例に長期的に使用することが望ましい。
  
※エビデンスの質 I システマティックレビユー/メタアナリス II 1つ以上のランダム化比較試験による III 非ランダム化比較試験による IV 分析疾学的研究(コホート研究や症例対照研究による) V 記述研究(症例報告やケース・シリーズ)による VI 患者データに基づかない、専門委員会や専門家個人の意見 ※奨励の強さ A: 行なうことを強く推奨 B: 行なうことを推奨 C: 推奨する根拠がはっきりしない D: 行なわないよう勧められる ●出典  厚生省免疫アレルギー等研究事業喘息ガイドライン作成班「喘息予防・管理ガイドライン1998」online版  ※EBMに基づいた喘息治療ガイドライン Online版[2001.9 厚生労働省医療技術評価総合研究喘息ガイドライン班] 


喘息薬

from 広島大学薬学部

喘息薬とは?
・気管支喘息は、喘鳴を伴う発作性の呼吸困難を特徴とする疾患で、気管及び気管支の反応性が種々の刺激によって亢進した状態で、気管支の広範な狭窄症状を示す。喘息の原因にはアレルギー(特に沍^)、気道過敏性亢進、自律神経失調、内分泌失調、感染、心因などがある。喘息治療薬は次のように分類される。

キサンチン誘導体
・キサンチン誘導体であるアミノフィリンがよく用いられる。キサンチン誘導体であるテオフィリンが最も平滑筋弛緩作用が強いが、テオフィリンのエチレンジアミンとの結合体であるアミノフィリンがよく用いられる。キサンチン誘導体はcAMPの分解酵素であるホスホジエステラーゼに対する阻害作用により、組織中のcAMP量を増加し、このcAMPが気管支平滑筋の弛緩をおこす。

ケミカルメディエーター遊離抑制薬
・沍^アレルギー反応で気管支粘膜に存在する肥満細胞からのヒスタミン、SRS-Aなどのケミカルメディエーターの遊離を抑制することにより発作を予防する。クロモグリク酸やケトチフェンなどがある。

抗コリン薬
・第四級アンモニウムのイプラトロピウムが吸入出用いられ、特に慢性閉塞性肺疾患にも効果がある。

コルチコステロイド
・他の薬が無効な急性発作、発慢症状の際に用いられ、著明な効果を示す。ベクロメタゾンの吸入療法が頻用される。抗炎症作用、カテコラミンの作用増強、cAMP量の増加などが作用機序として考えられている。

アドレナリンβ2受容体作用薬
・気管支平滑筋はβ2受容体の刺激によって拡張する。β作用薬がβ2受容体と結合し、アデニル酸シクラーゼ活性を高め、cAMPの濃度を増大する。増量したcAMPが直接気管支平滑筋の弛緩を引き起こす。

代表的なものは?
aminophylline |ephedrine |ipratropiumbromide| sodiumcromoglicate| beclometasonedipropionateへリンクします。



●吸入器解説

 - 加圧式定量噴霧吸入器[MDI] Metered Dose Inhaler
   ドライパウダー吸入[DPI]   DryPowder Inhaler
   吸入用補助器(スペーサー)  Spacer
   電動ネブライザー          Electronic Nebulizer
   超音波ネブライザー        Ultrasonic Nebulizer

ぜん息の薬:正しい方法を身につけよう
公害健康被害補償予防協会 -ぜん息などの情報館

こどもと喘息/電動式ネブライザーについて
 by 西藤こどもクリニック
 吸入器の種類、電動ネブライザーの性能と価格比較表。
 電動式ネブライザーを用いる吸入薬。

呼吸の管理[ICU Manual]

看護技術 その1<吸入>[3p]
呼吸障害のある子どもが使用している機器〜ネブライザーと吸引器〜[5p]
 [医療的ケアが必要な子どもと学校教育]

●各社製品データ
シェーリングプラウ:製品情報
グラクソ・スミスクライン:喘息薬
 - 薬の装着方法から吸入器の掃除の仕方まで使用方法を詳しくご案内 





●DPIの解説


DPI [DryPowder Inhaler ドライパウダー吸入器]の実際の使用法と解説は
Medication Delivery Devices[Asthma Society of Canada]
- Aerolizer/- Diskhaler/- Diskus/- Rotahaler/- Spinhaler/- Turbuhaler 図解入り
最近のDPI技術動向については、
Developments in inhalation technology[PA Consulting Magazine]
Dry powder inhaler (DPI) は、Multi-dose reservoir =Turbuhaler (AstraZeneca) ,
 Multi-unit dose =Accuhaler/Diskus(GSK), Unit dose(多数)の3種に分類。
 Diskusは二重フォイルブリスター中に60回分含有。

Dry Powder Inhlaers (DPIs)
[UMDN: Respiratory Care Program] ---文献集
"OZONE SAFE" INHALED DRUG DELIVERY[May 1999]
How to use a diskus[Univ Health Network-Asthma Center]
実際の使用法を図解。

粉末吸入剤



気管支喘息[長崎医大第二内科呼吸器グループ:アレルギ−班] 1998/03/06

グル−プ教官氏名:下田照文 、外来曜日:月、金
専門疾患:気管支喘息、慢性肺気腫
研究テーマ:気管支喘息の病態と治療 、気道過敏性亢進の成因の機序
●専門疾患:1.気管支喘息

気管支喘息の症状の特徴は、発作性の喘鳴と呼吸困難である。これらの症状は他の種々の心臓・肺疾患でもおこるが、気管支喘息では夜間や早朝に多発すること、中間に無症状期があること、安静時でも呼吸困難が出現することが特徴である。  従来、気管支喘息の罹患率は、欧米でもわが国でも人種に関係なく人口の1%内外とされてきたが、近年は増加してきて人口の2〜8%位である。この増加傾向は、成人および小児のいずれにも認められており、過去20〜30年の間に、約3倍位増加してきている。  この増加の原因は明らかではないが、室内あるいは室外の環境の変化によることも考えられ、空中アレルゲン(特に室内塵ダニ)や職業性アレルゲンが関与している可能性もある。また、生活の都市化(例えば大気汚染)が喘息有病率を高めたとも言われ、さらには食事性因子、精神的環境の変化、高齢化の影響も考えられている。  気管支喘息の死因の大部分は窒息死である。わが国における喘息死亡率は人口10万対4.8人と、ここ10年間横ばい状態であったが、10〜34歳では増加し、65歳以上では約30%となっている。喘息死の頻度は、急速型(突然)27%、不安定急変型(小〜中発作から大発作に移行)34%、不連続急変型(断続性の発作頻発後の大発作)6%、その他33%である。急速型の患者は突然大発作をおこし、来院時心肺停止のことが多いが(death on arrival-DOA)、不安定急変型および不連続急変型では発作時に直ちに治療すれば救命できると考えられている。  過去に大発作をおこした患者は、喘息死での44%を占めているので、厳重に管理する必要がある。  喘息発作を誘発する危険因子としては、アレルゲン、大気汚染物質、運動および過換気、呼吸器感染、気候変化、二酸化硫黄、食物、食品添加物、薬物、激しい感情表現、などが重要である。その他、鼻炎、副鼻腔炎、鼻ポリ−プ、胃食道逆流などがある。女性では、月経、妊娠も関与する例が見られる。  最近の研究によれば、気管支喘息は単に肺における単発的な気管支れん縮を伴う疾患とは考えられていない。むしろ、喘息は、咳、喘鳴、胸部圧迫感および呼吸困難といった症状の発作を特徴とする慢性の炎症性気道疾患とされ、この発作は通常可逆的であるが、重症になると死に至ることもある。喘息のコントロ−ルが不良であると、やがて非可逆的な気道閉塞に至ることもある。このように、喘息の病態における気道炎症の重要性が認識され、喘息が炎症性障害であるという考え方は、喘息の診断や予防および管理にとって重要な意味をもつことになってきた。

●2.慢性肺気腫

肺気腫の発症要因としては喫煙が最も重要である。喫煙により肺胞壁が破壊され、肺は過膨張となり、ガス交換障害がおこり、肺機能の低下や低酸素血症をきたすことになる。  肺気腫は長期の喫煙歴のある中年ならびに高年の男性に多いが、女性の喫煙者にもみられる。労作性の呼吸困難が初発症状として最も多く、繰り返す咳、痰、喘鳴等をしばしば伴う。風邪などに引き続いて気道感染を併発し、慢性気道炎症の増悪があれば膿性痰が増加してくる。体動時呼吸困難が唯一の症状のこともあり、階段や坂道を登るときなどに息苦しさを自覚することも多い。症状は年単位で徐々に進行する。  肺気腫患者は比較的安定した経過中に呼吸困難や咳、痰が急に増強するいわゆる急性増悪をきたすことがある。誘因は呼吸器感染が多い。このような場合は、低酸素血症が増悪し、高炭酸ガス血症の合併を伴って、急性呼吸不全の病態を呈する。肺気腫患者の日常管理において、この急性増悪の予防や早期の対処は極めて重要である。急性増悪の原因として最も多い呼吸器感染症は咳や膿性痰の増加が早期症状であり、起炎菌に感受性のある抗菌薬にて早期に治療する。  肺気腫患者にとって最も重要な症状は呼吸困難であり、そのため日常活動にさまざまな支障をきたす。呼吸器リハビリテ−ションは患者の症状を和らげ、日常の活動性を十分発揮できるように総合的なケアを行うものである。活動能力を増すために呼吸訓練と運動療法を主として行う。腹式呼吸法、筋肉のリラクセ−ション、歩行運動を中心とした運動療法を行う。  肺気腫が進行すると低酸素血症が著明となり慢性呼吸不全となる。これらの慢性呼吸不全の患者に対して長期酸素療法が予後を改善することが認められている。わが国でも1985年より在宅酸素療法(home oxygen therapy - HOT)が保健診療の適応を受け普及している。長期の酸素療法により低酸素血症を改善し、運動能力や呼吸困難感を改善することによって、生存率だけでなく生活の質的改善が得られる。  肺気腫の発症・予防には禁煙が第一である。

●研究テ−マ:1.気管支喘息の病態と治療

NHLBI/WHOワ−クショップレポ−トでは気管支喘息を次のように定義している。  「喘息は慢性の炎症性気道障害で、多くの細胞、とくに肥満細胞や好酸球およびTリンパ球が関与している。素因を有する者では、この炎症により喘鳴、息切れ、胸部圧迫感、および咳の発作が、とくに夜間あるいは早朝に繰り返しおこる。これらの症状に伴って、通常、広範であるが変動する気流制限がみられ、これは自然にあるいはなんらかの治療により少なくとも部分的には可逆的である。気道の炎症は、また、種々の刺激に対する気道過敏性の原因ともなる。」  我々は、喘息のアレルギ−性炎症の本体の解明と主たる治療薬である抗炎症薬の作用機序の研究を行っている。

●2.気道過敏性亢進の成因の機序

気管支喘息患者は、健常者では何の反応も起こさない程度の弱い刺激(アレルゲン、喫煙、冷気など)が気道に加わることにより、気道の収縮を起こし、喘鳴、呼吸困難等の発作を起こす。これは喘息患者では気道が刺激に対して反応しやすい状態、即ち気道の反応性が亢進している状態(気道過敏性の亢進)を意味する。そこで、気道過敏性は気管支喘息患者を健常者と区別する最も大きな特徴のひとつである。最近の研究により、気管支喘息患者では非発作時においても気道の炎症が存在すること、この気道の炎症の程度と気道過敏性の程度がよく相関することが認められ、気道過敏性の原因として気道の炎症が考えられるようになった。  我々は、喘息患者、アトピ−疾患患者、健常人の気道過敏性を測定し、同時に末梢血および喀痰の検査を行い、気道炎症と気道過敏性の関係を調べている。また、分子生物学的手法を用いて、気道過敏性と炎症細胞、サイトカイン、化学伝達物質との相関を検討している。










●データ

●各種資料

[英文市場調査報告書]喘息、COPD、アレルギー性鼻炎新薬の分析と将来動向
 - 2003.5; US $ 12800  by Datamonitor
[英文市場調査報告書]市場のダイナミクス: 喘息治療-市場成長の鈍化に備えて
 - 2002.5; US $ 6100  by Datamonitor

The Asthma Market: Spotlight on emerging therapies[Scrip report]
 - 2002.7.24

日本における喘息患者の治療実態調査[2001.2.26]
 by GSK

COPD: a new market emerges[IMS Health 2003.5.9]
 - 

[IMS Insight] New Treatments Emerge for Chronic Obstructive Pulmonary Disease
 - 


 - 
処方せんデータベースからみた慢性疾患における抗喘息薬の適正使用に関する考察
日本薬学会第123年会(2003年長崎)発表要旨1

29【P2】T−660
処方せんデータベースからみた慢性疾患における抗喘息薬の適正使用に関する考察
○長坂達夫、小杉義幸、寺澤雅治、安藤利亮(東京薬大薬)
【目的】処方せんデータベース(1999-2001 年分、約30 万枚)を用いて、抗喘
息薬の使用について実態調査し、考察することを目的とする。
【方法】処方せん約30 万枚から、診療科および喘息適応薬により約11,000 枚の
処方せんを抽出した。さらに、この処方せんからプロピオン酸ベクロメタゾン
吸入薬(BDP)およびプロピオン酸フルチカゾン吸入薬(FP)を含む処方せん
を約3,000 枚抽出した。さらに、わが国で独自に認められている喘息用抗ヒスタ
ミン薬をBDP またはFP と併用する処方せん357 枚を抽出した。抽出した処方
せんを用いて慢性患者の抗喘息薬の使用について考察した。
【結果】喘息発作の予防を目的とする吸入ステロイド薬(BDP、FP)の普及は、
欧米に比して少ないと言われているが、年単位で27%の増加がみられた。また、
予防を目的とする併用薬は、徐放性テオフィリン(76%)、経口β2 刺激薬(42%)、
ロイコトリエン拮抗薬(30%)、抗ヒスタミン薬(16%)の順で用いられ、他に
緊急時に吸入用β2 刺激薬(30%)、経口ステロイド薬が用いられる使用実態が
明らかになった。
【考察】慢性喘息患者への処方は、1 処方せん当たり平均5-6 品と多剤使用の実
態が観察された。わが国では、吸入ステロイドとテオフィリンをベースにして、
これにβ2 刺激薬、ロイコトリエン拮抗薬、抗ヒスタミン薬、トロンボキサン拮
抗薬などが併用される傾向にある。欧米の処方と異なることから、多剤併用を
含めた処方への疫学的根拠が必要のように思われた。
★詳細[9p]
日本薬学会第123年会(2003年長崎)ポスター1




薬剤の使用状況・満足度調査 「調査概要」

本調査にご協力をいただいた先生方には,厚く御礼申し上げます. 薬剤の使用状況・満足度調査は,全国の病院勤務医、開業医を対象に,6月、12月の年2回定期的に満足度のほか製品の認知や使用率、製品イメージの浸透などを調査するもので、その結果の一部を公開しました.
1) 調査期間:平成9年6月13日から7月18日
抗アレルギー剤 19
気管支喘息治療剤 13



SSRI Medical News: SSRI Report[SSRI レポート] 抗アレルギー剤の市場動向

下図は、1996年6月に実施した郵送調査「薬剤の使用状況」の中から抜粋した抗アレルギー剤のドクター採用率です。「薬剤の使用状況」とは弊社が半年に一度、全国の先生方にアンケートを送り、薬剤の認知・使用、薬剤に対するイメージなどをお伺いするもので、今回で20回目になります。
無作為に抽出した全国1,100名の先生方からの回答により、ドクター採用率上位7製品をピックアップしました。

図1 抗アレルギー剤におけるドクターの採用率

先生方に伺った抗アレルギー剤は全部で16製品ですが、そのうち上位を占めたのはザジテン、トリルダン、アゼプチンといったアレルギー疾患の複数の適応を持った薬剤になります。

それらに次いで高いドクター採用率を示すオノンは、上位6製品とは異なり、気管支喘息のみの適応しかもっていませんが、図1に示すように多くの先生方に用いられていることが分かります。

それぞれの薬剤に対し、「使っていて非常に満足している」との回答を得たものをまとめたのが図2です。

例えば、ザジテンを使用しているドクターのうちで40%は「非常に満足している」としており、その比率はリザベンとほぼ同等です。また、オノン、アレジオンのドクター満足度は過半数を超え、他の薬剤に比較し高くなっています。

図2 抗アレルギー剤におけるドクターの満足度

図1のドクター採用率と、図2のドクター満足度のランキングを見てみると、採用率の高い薬剤が必ずしも満足度も高いとは限らず、一致しないことが分かります。

このような傾向は、全ての薬剤に当てはまることではありません。高脂血症治療薬や高血圧治療薬などのドクター採用率とドクター満足度は一致しています。したがって、この相違は疾患の違いが大いに関係すると思われます。

しかしながら、アレルギー疾患は根本治療が存在しないために、抗アレルギー剤の満足度評価の構造は他の疾患と大きく異なります。抗アレルギー剤から最大限の満足を得るためには、適切な処方が不可欠と言えるでしょう。



New Medicines in Development Database米製薬協★治験薬データベース |Indication: Asthma

Asthma - 2003.8.21現在

Drug Name
(Proprietary name/Generic name)
Indications AddressedCompanyDevelopment StatusNotes
1018-ISS
none / none
Asthma
B-cell non-Hodgkin's lymphoma
Dynavax Technologies
Berkeley, CA
Phase I/Phase I 
Advair (Beta 2 agonist) (dry powder inhaler)
Advair / none
Asthma
asthma (once-daily dosing)
Chronic Obstructive Pulmonary Disease (COPD)
GlaxoSmithKline
Research Triangle Park, NC
application submitted/Phase IIIpediatric patients 
Advair (Beta 2 agonist) (non-CFC)
none / none
Asthma
GlaxoSmithKline
Research Triangle Park, NC
application submitted 
Aerobid
Aerobid / flunisolide hemihydrate
Asthma
Forest Laboratories
New York, NY
Phase III6 years and older 
Aerobid HFA
Aerobid HFA / flunisolide hemihydrate HFA
Asthma
Forest Laboratories
New York, NY
application submitted6 years and older 
albuterol sulfate (metered-dose solution inhaler)
none / albuterol sulfate (metered-dose solution inhaler)
Asthma
Zambon
Secaucus, NJ
Phase I4 years - 11 years 
anti-interleukin-5 MAb
none / anti-interleukin-5 MAb
Asthma
Schering-Plough
Kenilworth, NJ
Phase II 
Ariflo
Ariflo / PDE IV inhibitor
Asthma
Chronic Obstructive Pulmonary Disease (COPD)
GlaxoSmithKline
Research Triangle Park, NC
Phase III 
Asmanexィ MDI (dry powder inhaler)
Asmanexィ MDI / mometasone furoate
Asthma
Schering-Plough
Kenilworth, NJ
application submitted/Phase III2-12 years 
ciclesonide
none / ciclesonide
Asthma
Aventis Pharmaceuticals
Bridgewater, NJ
Phase III 
CpG 7909
none / none
Allergies
Asthma
Breast Cancer
Hepatitis B
Melanoma
Non-Hodgkin's Lymphoma
Renal Cancer
Aventis Pharmaceuticals
Bridgewater, NJ
Phase I/II 
EPI-2010
none / none
Asthma
Chronic Obstructive Pulmonary Disease (COPD)
EpiGenesis Pharmaceuticals
Cranbury, NJ
Phase II 
Flovent
Flovent / fluticasone propionate (non-CFC metered dose inhaler)
Asthma
Chronic Obstructive Pulmonary Disease (COPD)
GlaxoSmithKline
Research Triangle Park, NC
Phase III 
Flovent
Flovent / fluticasone propionate (once-daily dosing)
Asthma
GlaxoSmithKline
Research Triangle Park, NC
Phase III 
Floventィ DPI
Floventィ DPI / fluticasone propionate
Asthma
GlaxoSmithKline
Research Triangle Park, NC
application submitted4-11 years 
Foradil MDDPI
Foradil MDDPI / formoterol fumarate
Asthma
Novartis Pharmaceuticals
East Hanover, NJ
Phase III5 years and older 
GW328267 (adenosine A2 agonist)
none / GW328267
Asthma
Chronic Obstructive Pulmonary Disease (COPD)
upper respiratory inflammatory disease URID
GlaxoSmithKline
Research Triangle Park, NC
Phase I/II 
GW559090
none / none
Asthma
upper respiratory inflammatory disease URID
GlaxoSmithKline
Research Triangle Park, NC
Phase I 
HMR 4011A
none / HMR 4011A
Asthma
Aventis Pharmaceuticals
Bridgewater, NJ
Phase I 
humanized anti-IL-4 antibody
none / none
Asthma
Protein Design Labs
Fremont, CA
Phase II 
IL-4/13
none / none
Asthma
Regeneron Pharmaceuticals
Tarrytown, NY
Phase I 
Intal 1mg
Intal 1 mg / none
Asthma
Aventis Pharmaceuticals
Bridgewater, NJ
application submitted 
Intalィ HFA-227
Intalィ HFA-227 / cromolyn sodium 1mg
Asthma
Aventis Pharmaceuticals
Bridgewater, NJ
application submitted6 years and older 
IPL 576,092
none / IPL 576,092
Asthma
Aventis Pharmaceuticals
Bridgewater, NJ
Phase I 
mepolizumab (SB240563)
none / none
Asthma
Atopic Dermatitis
GlaxoSmithKline
Research Triangle Park, NC
Phase II/Phase II 
MSI and albuterol
none / none
Asthma
Sheffield Pharmaceuticals
St. Louis, MO
Phase II 
PDE 4 inhibitor
none / none
Asthma
Chronic Obstructive Pulmonary Disease (COPD)
Schering-Plough
Kenilworth, NJ
Phase I 
pramorelin
none / pramorelin
Asthma
Wyeth Pharmaceuticals
Philadelphia, PA
 
QVAR
none / beclomethasome MDI
Asthma
3M Pharmaceuticals
St. Paul, MN
application submitted/Phase III6 years- 18 years/6 years and younger 
R411 integrin antagonist
none / R411 integrin antagonist
Asthma
Roche
Nutley, NJ
Phase I 
rhuMAB-E26
none / rhuMAB-E26
Asthma
Genentech
South San Francisco, CA
Phase I 
roflumilast
none / none
Asthma
Chronic Obstructive Pulmonary Disease (COPD)
Pharmacia
Peapack, NJ
PhaseIII 
SB 683698
none / SB 683698
Asthma
Rheumatoid Arthritis
GlaxoSmithKline
Research Triangle Park, NC
Phase I 
SB281832
none / none
Asthma
Rheumatoid Arthritis
GlaxoSmithKline
Research Triangle Park, NC
Phase I 
SB683698
none / SB683698
Asthma
Multiple Sclerosis
GlaxoSmithKline
Research Triangle Park, NC
Phase I 
Serevent
Serevent / salmeterol xinafoate (non-CFC metered dose inhaler)
Asthma
Chronic Obstructive Pulmonary Disease (COPD)
GlaxoSmithKline
Research Triangle Park, NC
Phase III 
Singulair
none / montelukast sodium (sprinkle formulation)
Asthma
Merck
Whitehouse Station, NJ
Phase IV6 months-2 years 
Solomagen
none / none
Asthma
Chronic Obstructive Pulmonary Disease (COPD)
Genaera
Plymouth Meeting, PA
Phase I/II 
Symbicort
none / none
Asthma
AstraZeneca
Wilmington, DE
PhaseIII 
undisclosed
none / none
Asthma
Cervical Cancer
Chronic Liver Desease
3M Pharmaceuticals
St. Paul, MN
Phase I 
Xolair
Xolair / omalizumab
Allergic Rhinitis
Asthma
Tanox Biosystems
Houston, TX
application submitted6 years and older 
Xopenex
Xopenex / levalbuterol
Asthma
Sepracor
Marlborough, MA
Phase IIInewborn - 6 years 



Metered-Dose Inhaler Information Intro Page [FDA-CDER 99.10.8]

The production of ozone-depleting substances is being phased out world wide under the terms of an international agreement called the Montreal Protocol on Substances that Deplete the Ozone Layer (Montreal Protocol, September 16, 1987, S. Treaty Doc. No. 10, 100th Cong., 1st sess., 26 I. L. M. 1541 (1987)). Since most of the metered-dose inhalers (MDIs) available in the United States contain ozone-depleting chlorofluorocarbons (CFCs), these MDIs will eventually need to be reformulated to no longer use CFCs. The reformulation effort is underway and several non-CFC products are currently marketed. Several other non-ozone-depleting substance products are in the latter stages of development.

Many people have expressed concern that the medicines they need to treat their asthma or chronic obstructive pulmonary disease will be removed from the market. There are no immediate plans to discontinue marketing any CFC-MDI for these indiciations. CFC-MDIs will not be removed until sufficient alternative medicines exist to serve the needs of patients.

FDA is developing a strategy to ensure that patients in the United States who rely on MDIs for their health and well being have continuing access to an array of safe and effective treatment options. This web page contains information about the use of ozone-depleting substances in medical products and the transition from their use.

MDI Frequently Asked Questions (Updated 8/16/1999)
Proposed Rule: Use of Ozone-Depleting Substances; Essential Use
Determinations. Notice/Rule (Posted 8/31/99)
[PRE-PUB] |Part 2 (pages 21 to 41)|Part 3 (pages 42 to 62)|Part 4 (pages 63 to 80 (end))
MDI Consumer Information (8/9/1999)
Drug Treatments for Asthma & Chronic Obstructive Pulmonary Disease (8/9/1999)
FDA Regulations (8/9/1999)
Clean Air Act Information (8/9/1999)
FDA/Center for Drug Evaluation and Research
Last Updated:October 08, 1999 










●臨床ガイドラインなど

喘息:ガイドライン









●総説記事・文献

●【第25回日本医学会総会】抗アレルギー薬の現状と展望

薬事日報:99/03/19
 [冨岡玖夫、鏡味 勝(東邦大学医学部付属佐倉病院内科)]
 本邦では、いわゆる抗アレルギー薬/抗喘息薬に分類されている薬剤は、20種25品目である。これらの多くは気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性皮膚疾患に適応がある。これらの薬物の特徴と適応を理解して使用する必要がある。厚生省免疫・アレルギー研究班による「喘息予防・管理ガイドライン」では、抗アレルギー薬を、ステロイド薬と共に長期管理薬(コントローラー)の中に位置づけた。そして@メディエーター遊離抑制薬AヒスタミンH1‐拮抗薬Bトロンボキサン阻害薬Cロイコトリエン拮抗薬DTh2サイトカイン阻害薬――に分類した。また、重症度に対応した段階的薬物療法プランに組み込んだ。吸入ステロイドが気管支喘息治療の中心になっている今日、従来の抗アレルギー薬の役割を再検討し、新しいアレルギー疾患治療薬開発の展望が図られなければならない。

 抗アレルギー薬のプロトタイプは、disodium cromoglycate(DSCG)である。IgEの発見と、IgE依存性アレルギー反応におけるマスト細胞の重要性が解明された。初期の抗アレルギー薬は、IgE抗体を介した刺激によるマスト細胞からのケミカルメディエーター遊離抑制薬開発が焦点であった。

 初期の抗アレルギー薬は、ケミカルメディエーター遊離抑制薬(抗ヒスタミン作用をもたない抗アレルギー薬)とヒスタミンH1‐拮抗薬(抗ヒスタミン作用をもつ抗アレルギー薬)である。これらの薬物は、アレルギー性鼻炎、アレルギー性皮膚疾患およびアトピー性気管支喘息に有用性が証明されている。気管支喘息への適応は、アトピー性気管支喘息の軽症持続型が、最適と考えられる。近年開発された新しい抗アレルギー薬である、トロンボキサン産生阻害・拮抗薬およびロイコトリエン拮抗薬は、アレルギー性鼻炎、アレルギー性皮膚疾患、小児気管支喘息には適応がない。これらの薬物は、成人気管支喘息のうちアトピー性のみならず、非アトピー性気管支喘息にもその有用性が証明されている。

 とくに特異的ロイコトリエン受容体拮抗薬であるプランルカスト(Pranlukast)は、世界に先駆けて本邦で開発された薬物であり、その成人気管支喘息に対する有用性は、ステロイド吸入薬に次ぐものである。

 Th2サイトカイン阻害薬であるスプラタスト(Suplatast)は、免疫応答の中枢(IgE抗体産生)に介入する薬物として開発された。

 このように、免疫応答あるいはアレルギー性炎症の上流に介入する薬物の開発は、より抗アレルギー薬と呼ばれるにふさわしい薬物と考えられる。 

 アレルギー性炎症における好酸球の役割が重要であることが証明されている今日、好酸球機能に介入する薬物の開発も視野に入っている。とくに、好酸球を動員・活性化させるサイトカインであるIL‐5やケモカインの産生阻害や受容体拮抗作用をもつ薬物の開発は進行している。



●喘息と薬・その特徴と病態に対応した使い方

薬事日報:00/09/18  北海道大学医学部附属病院薬剤部 岩井美和子

 【はじめに】

 気管支喘息の病態は、従来「気管支平滑筋収縮による気道の可逆性閉塞」と「気道の過敏性」と捉えられていた。しかし実は「気道粘膜の炎症」が病態形成の基本であり、さらにはそれに続く段階である「治療によっても改善しない不可逆的な病理組織の変化」が「気道リモデリング」として認識されるようになってきている。気道の炎症が病態の悪化や慢性化を引き起こすことが確認され、できるだけ早期に炎症反応を鎮静化し、その状態を維持することが治療上重要であると考えられる。

 これに従って、現在では強力な抗炎症作用を有する副腎皮質ホルモン(ステロイド)製剤が喘息治療の中心となってきている。一九九八年、わが国でも喘息診療の新しいガイドラインが作成され、喘息治療は現在転換期にあるといえるが、今後はリモデリングを中心とした、喘息を難治化・慢性化する不可逆的な要因に、どのように対処していくかが課題であろう。

 【喘息の病態】

 喘息の病態は大きく即時型と遅延型に分けられる。抗原が生体内に侵入すると約十五分〜二十分後くらいに即時型喘息反応が起こり、肥満細胞の脱顆粒反応などにより種々のメディエーター〔ヒスタミン・ロイコトリエン(LT)・プロスタグランディン・トロンボキサンA2(TXA2)・血小板活性化因子など〕が遊離される。一方、感作後約八時間頃に現れる遅延型喘息反応には主として好酸球が関与し、LTなどを放出して直接気道収縮にかかわるほか、気道上皮を傷害する物質を放出して、気道粘膜表面を覆っていた上皮細胞の剥離を起こし、炎症反応のさらなる悪化・持続を招く。

 その結果、気道粘膜の組織修復過程で正常な修復がなされず、基底膜下の肥厚(線維化)といった病理組織的変化、すなわちリモデリングが生じ(図1)、炎症反応が鎮静化しているにもかかわらず気流閉塞の状態が持続し、さらには気道過敏性を亢進することが示唆されている。

 以上のことから、気管支喘息の基本病態が慢性の気道炎症と認識され、「慢性剥離性好酸球性気管支炎」と表現されるに至っている。

 【喘息診療の新しいガイドライン】

 一九九八年、“喘息予防・管理ガイドライン 1998(JGL98)”が作成され、気管支喘息の急性増悪の管理および長期管理の指針が打ち出された。重症度が四段階に分けられ、喘息の治療薬は、気道の閉塞を寛解させる薬物(リリーバー)と長期的に慢性の気道炎症を含めて喘息を制御する薬物(コントローラー)の二種類に分類されている(表1、2)

 慢性の気道炎症に対する抑制効果が最も強力な薬剤はステロイドであり、長期管理では吸入ステロイドの投与が軽症から重症に至る各ステップで推奨されている.従来よりもその意義が重視され、治療の中心に位置づけられるようになった。

 【喘息治療に用いられる薬剤】

 喘息治療薬は、有効性の高い順に挙げると吸入ステロイド、テオフィリン、抗ロイコトリエン薬となる。必要に応じてβ2刺激薬なども用い、喘息のコントロールを目指す。

 (1)ステロイド

 ガイドラインでは重症度別に標準的な吸入ステロイドの投与量が示され、効果が十分に得られなければ速やかにステップアップし、症状改善後漸減するのが原則になっている。しかし臨床の場においては,ガイドラインより一ないしは二ステップ高用量から開始し、場合によっては短期間経口ステロイドを併用して、喘息がコントロールされたら維持量として必要最小限の量に漸減するステップダウン方式の方が採用されることが多い。

 大量のステロイドを投与することで、より早期にかつ強力に気道炎症を抑制し、患者のQOLの改善、さらには慢性管理におけるステロイドの維持量が最終的には少なくてすむとされる。ステロイドの量が少なかったり導入時期が遅れると、不十分な治療で気道に炎症を残存させておくことになり、リモデリングを引き起こす原因ともなる。軽症例であっても気道炎症が明らかであれば、早期からステロイドを使用することで将来の重症化・難治化を防ぐことができると考えられる。タイミングを逸さず投与することが大切である。

 ステップダウン方式で注意すべき点は、高用量での長期安全性は確認されていないため、必要以上の量を漫然と使用しないことである、一方で感染などにより症状が悪化すると、減量が難しい場合もある。減量は慎重に行うべきである。

 吸入に用いられるステロイドは、局所作用が強く全身性作用が少ないベクロメタゾン(BDP)が主体であった。しかし一九九八年、フルチカゾン(FP)が使用可能となり、BDPよりも効果が強く副作用が少ないとして注目を集めている。FPはBDPに比較してグルココルチコイド受容体への親和性が高いことが知られ、BDPの約二倍、もしくはそれ以上の抗喘息作用を有するといわれる。

 また、FPを経口投与すると速やかに吸収された後、肝での初回通過効果で大部分が代謝され、バイオアベイラビリティーはおよそ一%である。吸入で投与された場合の全身的作用は少なく、BDPより安全に使用できる薬剤と考えられる。さらに、BDPでは高用量になると効果が頭打ちになるが、FPでは用量依存的に上昇する。

 このようにFPはBDPに比較して有効性や安全性が高いため、高用量のBDP投与によってもコントロールが不十分な例や経口ステロイド依存例といった、重症・難治性患者にも積極的に導入する必要があると思われる。また、今後新たな吸入ステロイドとして、ブデゾニドがわが国にも導入される予定である。

 ステロイドの吸入器には、定量噴霧型およびドライパウダー式のものがあり、BDPは定量噴霧型でのみ国内で使用されている。定量噴霧型では噴射と同調した深吸気により吸入するが、手技が困難であるため正しい吸入法で使用するのは難しい。さらに噴霧薬剤の八〇%以上が口腔咽頭に沈着し、肺内気道に到達するのは約一〇%にすぎず、十分な薬効を得られないばかりか、口腔内カンジダ症や声がしわがれる(嗄声)などの副作用の発現頻度が高くなる。これらの短所は、スペーサーを用いることにより大幅に改善される。しかし定量噴霧型吸入器は刺激性添加剤を含有し、また従来から用いられていたフロンは使用できなくなるなどの問題点を有する。フロンについては、代替フロンを用いた商品に切り替わってきている。

 一方、ドライパウダー式では、FPがディスクヘラーを用いて市販されている。吸入作動性であり、吸入によりディスクヘラーの吸入口にある格子を通過するときに気流は乱流となり、賦形剤である乳糖表面から粒子径一〜五μmのFPが分離される。より速く、より強く吸入することが必要となるため、高齢者、小児などでは使用前に吸入方法を練習する必要があると考えられる。スペーサーは不要で、薬剤噴霧と吸気との同期が必要なく、薬剤の吸入効率・沈着率が高く安定している。刺激性添加物を含まず、操作性もよく、さらに小型で携帯に便利なことも利点となっている。また、定量噴霧型でみられた嗄声・咳・咽喉頭過敏症といった副作用が現れにくいとの報告もある。

 その他、タビュヘラー、ビネブなど、よりよい設計の吸入器が今後わが国でも導入されるものと思われ、定量噴霧型に代わって用いられるようになることが予想される。

 (2)テオフィリン

 テオフィリンの気管支拡張作用は以前から知られていたが、近年抗炎症作用が注目されている。作用はステロイドほど強力ではないが、その作用機序がステロイドと異なるため、吸入ステロイドでコントロールが十分でない症例において併用薬としての意義が高い。

 テオフィリンの半減期は個人差が大きく、血中治療域も狭いため、血中濃度のモニタリングが求められる。テオフィリンの有効血中濃度は一〇〜二〇μg/mlとされてきたが、現在では五〜一五μg/mlでコントロールされることが多い。この治療域の範囲では、気管支拡張作用は濃度依存的である。テオフィリンの副作用発現の多くは血中濃度が高くなると出現するが、治療域でも副作用の可能性があるので注意が必要である。

 またテオフィリンは肝臓のチトクロームP‐450(CYP)を介して代謝されることから、併用薬との相互作用が問題になる。飲酒や喫煙といった要因も代謝に影響を与えるので留意しなければならない。さらには一口にテオフィリンといっても剤型により体内動態が変わってくるので、含量が同じでも製剤の変更時には注意が必要である。

 徐放性のテオフィリン製剤は長期管理薬として使用されるが、急性発作時においてはアミノフィリンの注射が行われる。

 (3)β2刺激薬

 β2刺激薬は強力な気管支拡張薬であり、気管支喘息の急性発作の改善、寛解、慢性喘息のコントロールに欠かすことのできない薬剤である。しかしβ2刺激薬はあくまでも気道径を広げるだけの対症療法にすぎず、症状のコントローラーとして使用される場合には,十分な抗炎症治療の上で必要に応じて追加的に使うのが基本となる。

 欧米では長時間作用型の吸入薬がコントローラーとして主要な位置を占めるが、わが国では未発売であり、経口薬および近年開発された貼付剤が用いられる。貼付剤はツロブテロールを粘着層に含有するもので、主薬の一部を結晶状態で貯留し、濃度を長時間一定に保ちながら持続的な薬物放出を実現したものである。

 血中濃度がピークに達するまでに十二時間と経口剤よりも長時間を要することから、夕方に貼付して早朝の発作を予防するのに効果がある。また経口投与にみられる血中ピーク濃度の過度の上昇がなく安定した血中濃度が得られるため、心刺激作用や骨格筋の振戦といった副作用の出やすい高齢者にも用いやすい。コンプライアンスの悪い幼・小児に対しても、保護者が安全かつ確実に投薬することができる。経皮吸収型製剤ではまれに、貼付部位に掻痒感・発赤・かぶれなどの皮膚症状が発現することがあるが、毎日貼付部位を変えることで回避が可能である。

 一方、発作寛解の目的では吸入剤が推奨されている。吸入剤では効果不十分ならば、短時間作動性の経口薬の頓服をする。吸入剤の使用に際しては、すぐに効果の得られるβ2刺激薬のみに頼りすぎて吸入ステロイドの使用がおろそかになったり、β2刺激薬の使いすぎが問題となるので、患者教育を徹底する。他に注射薬としてエピネフリンがステロイドの全身投与と併せて用いられる。

 (4)抗ロイコトリエン薬

 喘息患者ではロイコトリエン(LT)が増加しており、当初、LTは強力な気道平滑筋収縮物質として注目を浴びたが、その作用は多岐にわたることが明らかになった。強い気道血管透過性亢進ならびに粘液分泌作用により、気道粘膜の浮腫や分泌物の気道内貯留といった可逆的な気道狭窄を形成する作用、また、非特異的な気道反応性の亢進、気道粘膜への好酸球の遊走や浸潤を促す可能性もあり、さらには平滑筋の増殖に作用し,気道のリモデリングに関与するともいわれている。

 抗LT薬は、LTが誘発した喘息病態のみを改善する薬剤であり、すべての喘息患者に有効ではない。しかし、高用量吸入ステロイドに依存する重症患者や、ステロイドが使えない例においては、作用機序の異なるステロイドの代替薬として期待がかかる。現時点では、抗LT薬はすべての喘息患者に投与し、有効な症例に継続投与すべきであろう。

 LT受容体拮抗薬であるプランルカストは、アスピリン喘息(解熱鎮痛剤不耐性喘息:AIA)に有効性が認められている。AIAは、アスピリンをはじめとするシクロオキシゲナーゼ阻害剤によりプロスタグランディンの産生が抑制され、LTの生合成が高まるという説が一般的である.しかしさまざまな要素が複雑に絡み合っているものと思われ、一義的に原因を特定することはできない。

 (5)その他の抗アレルギー薬

 抗アレルギー薬は、メディエーター遊離抑制薬・ヒスタミンH1拮抗薬・LT阻害薬・TXA2阻害薬・Th2サイトカイン阻害薬に分類される。喘息長期管理薬の中心はあくまで吸入ステロイドであり、抗アレルギー薬はそれ自身で強力な作用を示すというものではない。しかし、ステロイドでコントロールが不十分な症例では、作用機序の異なるTXA阻害薬やLT阻害薬を加えてみることを考慮すべきであろう。それが無効であれば、ステロイドの増量に進むのがよい。また合併する他のアレルギー疾患がある場合、その症状に応じて抗アレルギー薬を投与するのは有益であると思われる。いずれの抗アレルギー薬も、個々の症例において有効性を的確に判断しながら使用すべきである(表3)

 【合併症を有する場合】

 喘息では、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎を有するものが少なくない。上気道に炎症があると下気道の気道過敏性を亢進させ、喘息の症状も増強されるとの報告もある。ステロイドの鼻腔内投与や、抗ヒスタミン剤を含有する鼻粘膜収斂用の点鼻薬が用いられる。副鼻腔炎のある喘息患者の治療には、鼻膿汁の排出促進をはかり、細菌の二次感染のある場合には抗生剤を用いる。近年、マクロライドの少量持続投与の有効性が確認されている。

 喘息と胃食道逆流の関連が指摘され、胃食道逆流を治療すれば、特に夜間における喘息症状が改善される例が多くみられる。H2ブロッカー、プロトンポンプインヒビター投与などによる内科的治療および外科的治療が行われる。

 高血圧あるいは心疾患を有する喘息患者では、治療のために非選択的なβ遮断剤を用いると、喘息発作を誘発する。また選択的β1遮断薬といっても弱いながらもβ2遮断作用を併せ持つものがほとんどであるが、塩酸ベタキソロールは心筋選択性が高い。α遮断薬の中にも軽いβ2遮断効果を持つものがあり、ACE阻害薬も喘息を誘発したり増悪させることが指摘されている。心不全がある場合にも喘息が難治化しやすく、この場合には強心剤や利尿剤を併用する。

 その他、気道感染、肺気腫,精神疾患などにも注意が必要である。

 【妊婦、高齢者、小児の喘息管理】

 妊娠中は催奇形性を考慮し、必要最低限の薬を用い、吸入療法を中心として治療していくことが基本である。吸入ステロイド、β2刺激薬、テオフィリンなど、従来から喘息治療に用いられてきた薬には、安全に使用できるであろうとのコンセンサスが得られている。しかし妊娠四カ月までは器官形成期にあたるため、内服など薬物の全身投与は控えることが望ましい。吸入剤を用いる場合にも、スペーサーを使用するなど極力全身作用を回避するようにする。一方で不十分な治療はかえって妊婦に低酸素血症を来たし、胎児に悪影響が及ぶ可能性があり、万一症状が急に悪化した場合には、酸素吸入など速やかな対応を行う。

 高齢者の場合は、ステロイドなどの吸入手技に問題が生じやすいため、あらかじめ十分な説明が必要である。また,閉経後の女性では、吸入ステロイドによっても骨代謝に影響が出るとの報告もあり,注意を要する。β2刺激薬の経口剤、テオフィリン製剤では副作用が出やすいので、少量から開始し、必要に応じて増量する。

 小児では、吸入ステロイドの副作用として身長発育が抑制されることが報告されており、重症度との兼ね合いで慎重に観察しながら投与すべきである。テオフィリンは、けいれん等の副作用が小児でみられやすい。また小児では、抗原除去による感作の予防、免疫力が低いことによる感染への対策が特に重要である。

 乳児期にアトピー性皮膚炎として始まったアレルギー疾患が、幼児期になり気管支喘息へとなる一連の連鎖が問題となっている。アトピー性皮膚炎患児への抗アレルギー剤長期投与による喘息の予防効果が証明されており、小児独特の新しい治療法である。その他に運動誘発喘息では、鼻呼吸、マスクの着用、クロモグリク酸の運動前の使用などで予防が可能である。

【まとめ】

 喘息の治療にはこのほかにも、減感作療法、ヒスタグロビン療法、東洋医学的療法などがある。しかし忘れてはならないのは、予防(抗原の除去、気道感染の防止)、管理(PEF※測定などによる自己モニター)の重要性である。その上で、ステロイドをはじめとした薬剤での適切な治療が行われるべきである。喘息の病変の本体は気道の慢性炎症性疾患であるとの認識がなされ、今後は気道のリモデリングの予防・治療面において、新たな展開が見られることであろう。
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 ※PEF(peak expiratory flow)

 「被験者が呼出できる最大気流速度」を意味し、気道狭窄の客観的な指標となる。PEFによる評価には限界があるのも事実だが、喘息患者では気道狭窄を過小評価する傾向があるため、自覚症状ではなく、PEFモニタリングによって喘息管理の質を向上するのが望ましい。

 ※リモデリング

 生体の組織が何らかの障害を被った後で修復する際の機能障害を伴う不完全修復状態(上皮細胞の脱落・気管支平滑筋の肥厚・血管新生・上皮杯細胞の増生・基底膜への間質コラーゲン沈着・粘膜下線の拡大など)
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(参考文献)
(1)臨床医Vol. 25, No. 12, 1999.
(2)治療Vol. 82, No.1, 2000.
(3)庄司俊輔:気道上皮の改築と修復機構.感染・炎症・免疫Vol. 28, 117-124, 1998.



喘息の吸入ステロイド療法

- http://yakunet.yakuji.co.jp/yakunet/yakujinippo/y_y_right_view.asp?y_y_id=32347
薬事日報 2003.2.21

昭和大学第1内科講師 美濃口 健治氏に聞く

 喘息が慢性の気道炎症によって発症することが明らかになり、治療の中心はステロイド薬の吸入療法にシフトしてきた。既に吸入ステロイド薬による治療は、喘息による入院日数、喘息死数の減少をもたらすことが分かっており、わが国でも吸入ステロイド療法の普及は急務とされている。それでも、まだ吸入療法に関する正しい知識は広まっているとは言えないのが現状だ。そこで、喘息における吸入ステロイド療法の現状や問題点などについて、美濃口健治氏(昭和大学第1内科講師)にお話をうかがった。

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【長期管理の中心的薬剤】

 ――喘息における吸入療法の位置づけについてお話しいただけますか。

 美濃口―― これまで喘息は、気管支平滑筋が収縮し、気道が狭窄することに起因する疾患と考えられて来ましたが、最近では慢性の気道炎症が基本病態であることが分かってきました。それだけに炎症を抑える吸入ステロイド薬での治療が必要とされています。現在、吸入ステロイド薬は長期管理薬(コントローラー)として喘息治療の中心に位置づけられています。

 一方、喘息による気道狭窄に対しては、吸入薬として気管支拡張薬であるβ2刺激薬があります。これまでは、発作治療薬(レリーバー)である短時間作動型吸入β2刺激薬しかありませんでしたが、昨年、長時間作動型吸入β2刺激薬が発売されました。この薬剤は長時間気管支拡張効果を持続させ、長期管理薬として使用されます。

 喘息の吸入薬は、長期管理薬である吸入ステロイド薬、長時間作動型吸入β2刺激薬、発作治療薬である短時間作動型吸入β2刺激薬に分類されると言えます。既に吸入ステロイド療法は最も効果のある治療法であることが証明されており、喘息治療ガイドラインでは吸入ステロイド薬が第一選択薬と位置づけられています。

【ステップダウンが主流に】

 ――吸入ステロイド薬の使い方についてはいかがでしょうか。

 美濃口―― 吸入ステロイド薬の使い方には、喘息のコントロールが不十分な時は吸入量を増量するステップアップ方式と、喘息がコントロールされてから吸入量を減量するステップダウン方式があります。呼吸機能と喘息症状から患者さんの重症度をステップ1〜4までの4段階に分け、重症度によって目安となる吸入ステロイド薬の使用量が決められています。以前はステップアップ方式で行われていた治療も、最近はステップダウン方式が望ましいと言われています。例えばステップ2の重症度の患者さんであれば、ステップ3の吸入ステロイド量で治療すると症状と呼吸機能の改善が早く、その後ステップ2の吸入ステロイド量へステップダウンします。

 世界のガイドライン(GINA)では、軽症持続型のステップ2から吸入ステロイド薬を導入することが記載されていますが、その使用量に関しては日本と外国で多少異なります。吸入ステロイド薬にはベクロメタゾン、ブデソニド、フルチカゾンなど様々な薬剤があり、重症度に応じて用量が決められています。しかし、吸入ステロイド薬は直接的な気管支拡張作用がありません。

 そこで最近では、中等量以上の吸入ステロイド薬を使っても喘息をコントロールできないようなケースには、吸入ステロイド薬の増量よりも長時間作動型吸入β2刺激薬を併用した方が有効との結果が出ています。さらに、従来使われてきたような徐放性テオフィリン薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬も吸入ステロイド薬と併用した方がいいと言われています。

【まだ低い日本の普及率、小児では欧州の僅か1/4】

 ――実際に吸入療法はどのぐらい普及しているのでしょうか。

 美濃口―― 私ども第1内科の足立教授が中心となって全国電話調査(AIRJ)を行ったデータがあります。無作為に電話調査を行った12万6758人中1786人が喘息患者でしたが、そのうちアンケートに協力してくれた成人401人、小児402人を対象に調査を行いました。その結果、欧米の調査と比べて日本では、喘息で会社を欠勤する人、学校を欠席する人が多かったのです。

 この理由として、吸入ステロイド療法の普及率が低いのではないかと考えて調べたところ、欧州では成人の22%が吸入ステロイド療法を行っていたのに対して、日本では12%しか行っていませんでした。さらに小児に関しては、欧州で23%、日本では5%と4分の1しか普及していないことが分かりました。この調査から、日本で吸入ステロイド療法が徹底されていない現状が浮き彫りにされたわけです。

 フィンランドでは徹底した吸入ステロイド療法を推進し、過去20年間で喘息患者が3・5倍に増加したにもかかわらず、喘息による入院日数、喘息死数を4分の1以下に減らすことに成功しています。これは大変な成果であり、吸入ステロイド療法の普及が喘息患者の入院を予防し、喘息死を減らすことを国家的に証明したものと言えます。一方、日本では2000年の喘息死数は約4000人であり、ガイドライン導入前の約6000人に比べて3分の1しか減少しておらず、まだ吸入ステロイド療法が普及していないことを示しています。

 ――吸入療法の問題点についてはいかがでしょうか。

 美濃口―― 以前の吸入ステロイド薬は約数%しか肺に到達せず、ほとんど口の中や咽頭部に残ってしまい、副作用は出るものの治療効果は上がらないといった問題がありました。そこで、スペーサーという筒に噴霧して吸入する方法が開発され、肺内到達率は上がりましたが、スペーサーの使い方が煩雑で、吸入に当たってもゆっくり吸って息止めをすることが必要でした。

 今ではフルチカゾン、ブデソニドといった粒子状のドライパウダー型の吸入ステロイド薬が登場し、10〜20%以上が肺内に到達するようになりました。また最近では、ステロイド薬の粒子径が非常に小さくなり、同じベクロメタゾンでも代替フロンを使った改良型は、口にくわえて噴霧するだけで肺内到達率が約40%に達すると言われています。

 ――吸入指導に当たってのポイントをお話しいただけますか。

 美濃口―― 本来、医師が患者さんの目の前で実践するのが一番いいのですが、日常診療で吸入指導を行うのはなかなか困難というのが現状です。そこで、同じ医療現場に携わる看護師さん、薬剤師さんに吸入指導を徹底していただければ、より普及効果は高まるのではないかと思います。吸入ステロイド薬はそれぞれ種類が違いますので、個々の患者さんに応じた吸入指導を行ってもらえると助かります。

 また、実はちゃんと吸入をしていなかったり、薬が余っているのに医師には言わず、薬局の薬剤師さんに漏らす方もいます。そうしたコンプライアンスのチェックを薬剤師さんには一番期待したいですね。

 以前からイギリスやニュージーランドでは、短時間作動型吸入β2刺激薬の過剰使用と喘息死が関連すると言われてきました。これは気管支拡張作用が速効性であり、喘息症状がすぐになくなるので患者さんがこの薬のみに頼ってしまうこと、副作用としての不整脈や低カリウム血症などが引き起こされることが考えられます。

 このように過剰使用が危険であることから、濫用に注意しなければならないなのです。初期治療の段階で、こうした注意点や吸入回数の限度をしっかり指導することが重要です。

【早期の診断・治療が鉄則】

 ――吸入療法の今後の展望についてお聞かせいただけますか。

 美濃口―― やはり吸入ステロイド薬が高用量になれば口腔内カンジダ症などの副作用もみられます。今ではそうした副作用を減らすため、肺に到達して初めてステロイドの作用を発揮する薬剤が臨床治験中です。また、GINAのガイドラインでは、吸入ステロイド薬と長時間作動型吸入β2刺激薬の併用療法が中等度から重症の患者さんに有効であるとされています。既に外国では、吸入ステロイド薬と長時間作動型吸入β2刺激薬の合剤が発売されており、日本でも臨床治験が進められているところです。気管支も拡張し、炎症も抑える一石二鳥の合剤が登場すれば、日本の喘息治療と患者さんのQOLが飛躍的に向上する時代がくるでしょう。

 ただ、いくら薬剤が発達しても、喘息治療の鉄則は早期診断・早期治療です。例えば、喘息と診断されて10年以上が経過した人と2カ月以内の人で吸入ステロイド療法を開始すると、呼吸機能の改善が全く違います。やはり症状と呼吸機能で適切な重症度の診断を行い、早期に吸入ステロイド療法を開始しなければ、どんなに優れた薬剤でも喘息患者さんの呼吸機能の悪化を予防することは難しいと思います。


減少傾向たどる喘息死の現状 医療と薬剤 2003年 春

 薬事日報 2003.4.7
 気管支喘息の管理・治療法は、GINAをはじめガイドラインが各国に普及したことにより、世界的に標準化が図られ、吸入ステロイド薬を中心とした段階的治療法、および吸入β2刺激薬を第1選択とした発作時治療法が提唱されるようになった。これらガイドラインによる治療法が浸透する中で、発作救急外来患者数、喘息入院患者数は激減の一途をたどり、喘息患者の外来管理が容易になったことは既に認められている。ところが、依然として致死的発作による喘息死が問題となっている。喘息死の理由については、様々な角度から検討が行われてきており、さらなる喘息死の減少に向けて取り組みが求められているところである。そこで、これまでの喘息死の経緯を振り返ると共に、その問題点と今後の対策を探った。

[図1:わが国の喘息死亡率(総数)の推移(1950〜2001年) PDF]
[図2:わが国の喘息死亡率の推移(5〜34歳、1950〜2001年) PDF]

《依然大きい吸入薬の与える影響》

【大きな死因に「受診の遅れ」「急速で激しい症状変化」】

 最近、わが国の喘息死は減少し続けている。厚生労働省の人口動態統計によると、2001年には、1955年以降の喘息死亡率で最低値が得られている。年齢階級別にみたところでは、特に高齢者で急激に喘息死亡率が減少しているのが一つの特徴で、これが喘息死の総数を減少させているとみられている。若年者の喘息死も減少傾向にあり、これまで問題となってきた思春期の喘息死も急激に減少してきている。

 ただ、20〜39歳の年齢層における喘息死の減少率が、他の年齢層に比べてやや低く、この年齢層に関しては、さらに減少に向けた取り組みが必要と指摘されている。

 喘息死の診断が確かな5〜34歳における年齢階級別喘息死亡率をみると、60年代に減少傾向がみられ、70年をきっかけに急激な減少を辿っていった。80年代に入って再びわが国における喘息死が増加したものの、97年には再び急激な減少に転じ、特に女性では過去最も低い値に到達している。

 日本小児アレルギー学会喘息死委員会では、90年以降、患者登録を行い、様々な解析を行ってきた。97年以降喘息死が減少したことを受けて、98年以降と97年以前の症例を比較したデータでは、男女比が同率に近づいている特徴が挙げられている。

 また、喘息死に至った患者について、死亡前の喘息重症度をみると、軽症が26%、中等度が30%、重症が43%と、喘息死は重症患者のみならず、中等度から軽症患者にも幅広くみられた。また、今までは成人でも重症患者で喘息死の割合が高かったが、最近は中等症、軽症患者の喘息死に占める割合が少なくないことが明らかになっている。

 そこで、入院歴、発作歴、治療の既往が調べられたところでは、小児で入院歴のある患者は68%に達したが、意識を失うほどの致死的発作を起こした患者は20%にとどまっている。重症発作時には、β2刺激薬イソプロテレノールの持続吸入、持続点滴が行われるが、そうした経験のない患者が多いことが分かった。成人でも、致死的発作を起こした経験のある患者は30%に過ぎず、1年間の発作入院も46%という結果だった。こうしたことから、一番最初の発作で喘息死に至ることも起こり得るということに、十分な注意が必要と考えられている。

 喘息死に関与した医師からの報告によると、小児では、予想もつかない急激な経過をたどり、発作で亡くなった患者が69%、受診が遅すぎた患者が69%にみられている。こうした適切な受診の遅れを来した要因としては、患者・家族による喘息重症度の判断が悪かったケースが48%、β2刺激薬のMDI(ハンドネブライザー)への過度依存による受診の遅れが要因と考えられた症例も29%あった。

 一方、成人においては、多くが気道感染症、過労、心理的ストレス、ステロイドの離脱・減少が挙げられている。さらに、注目すべき要因として、内服薬の中断、吸入薬の過度使用も挙げられており、中にはアスピリン投与が喘息死を誘発した例もあった。

【普及する喘息ガイドライン】

 近年、喘息ガイドラインの普及もあり、吸入ステロイド療法が喘息死の防止に有効との成績が証明されている。そこで治療の変化をみると、小児では、97年以前には20%だった吸入ステロイド薬の使用率が41%に増加しており、吸入ステロイド療法が広がっている現状が浮き彫りになっている。ただ、吸入ステロイド療法だけで喘息死を防止できるかと言えば、単独ではなかなか難しいのも確かなようだ。

 喘息死の減少率が低い20〜39歳の年齢層で、発症年齢を見てみると、20代はほとんどが小児期に発症した患者だった。30代では小児期の発症は20%と少ないが、東京都立荏原病院小児科部長の松井猛彦氏は、「この年代層の喘息死を減らすためには、やはり小児喘息の管理をしっかりと行い、どういった部分に問題があるのかということについて解析し、対策を立てることが重要になる」と指摘している。急激に喘息死の減少がみられる現状についても、その減少要因を検証することが、今後喘息死を防ぐ意味でも重要だとしている。

 わが国における5〜34歳の喘息死亡率の推移と、β2刺激薬MDIの販売量との関係を調べたデータによると、やや一致して推移する傾向があったが、完全に一致するものではなかった。その要因について詳しく調べたところ、70〜71年にかけてイソプロテレノールのMDIと喘息死の関係が大きくクローズアップされた。その頃から急激な減少がみられ、また97年にもフェノテロールのMDIと喘息死の関係が大きく取り上げられたのを契機に、喘息死は急激に減少に転じた。

【有効な吸入ステロイド療法】

 これに対して、喘息死の推移と吸入ステロイド薬の効果については、様々な報告がみられている。その中で、わが国における喘息死と吸入ステロイド薬の販売量の推移をみると、吸入ステロイド薬の販売が増加しており、それに伴って米国NIHによるガイドラインが92年に発表されている。こうした流れも影響して、吸入ステロイド薬の販売量の増加が、喘息死亡率減少の一つの大きな要因になったと考えられている。

 さらに松井氏らは、喘息死亡者、致死的発作患者に関する全国調査を実施し、喘息死に関与する因子について多変量解析をした。その結果、最も影響を与えていたのが喘息の重症度だった。やはり、喘息が重症になると、死亡率が非常に高いことが浮き彫りになった。

 こうした結果をもとに、喘息患者の重症度を調整した上で解析を行ったところ、19歳以下の患者については、β2刺激薬が喘息死のリスクを高めていることが分かった。それも問題となったフェノテロールのみならず、サルブタモールもリスクを高めているといった成績が得られている。成人については、19歳以下に比べてリスクは少ないという結果だった。

 しかし、データを読み替えてみると、必ずしも吸入ステロイド薬だけで急激な喘息死の減少が起こるとは考えにくいのも確かで、松井氏は「喘息死についての認識が大きく影響したのではないか」としている。

 97、98年の2回にわたり、思春期の喘息患者に喘息死に関する認識を調査した結果でも、明らかに認識が高まっていることが示されている。日本アレルギー学会が91年と98年に行った調査でも、喘息死の可能性に関する認識が変わっており、喘息死の減少に大きな貢献をもたらしたことが示されている。

【インフルエンザ死と相関も】

 こうした中、95年に喘息死の総数が増加した。この原因について、人口動態統計から喘息死とインフルエンザ死の症例を抽出し、各死亡例を選び出した上で解析が行われた。すると、79年以降、インフルエンザによる死亡数と喘息死数は、ある程度相関しながら推移していることが分かった。

 さらに、わが国における喘息死亡率と四季の変動について調べたデータによると、高年齢層の患者では冬に死亡率が高く、低年齢層、特に5〜34歳では秋に高いことが示されている。最も低い年齢層の0〜4歳では、こうした季節変動はみられなかった。

 99年度12〜3月における喘息死亡率とインフルエンザ死との関連をみたところでは、60〜79歳、80歳以上の高年齢層では高い相関が認められている。このことから、今後高齢者の喘息対策においては、インフルエンザ対策が重要になってくると推測されている。

 これらの成績などから、喘息死の増加要因としては、喘息死の認識不足、β2刺激薬MDIの不適切な使用や指導、安易な喘息への対応、吸入ステロイド薬の不適切な減量・中断といったことが考えられた。喘息死の減少要因としては、喘息死を広く知らしめて、認識を高めることが大きな要因であり、さらにβ2刺激薬の適正使用、吸入ステロイド薬の普及と適切な長期管理も大きく貢献しているものとみられている。その背景には、喘息ガイドラインの普及、それに伴う知識の普及が影響していることが分かった。

【β2刺激薬「連用など依存過多は禁物、気道の炎症・攣縮を悪化」】

 喘息死に与える吸入β2刺激薬の影響は大きな問題となっているが、もともとβ2刺激薬は、吸入後約数分から2時間までに効果が出てくる短時間作用型と、30分後から24時間まで効果が発揮される長時間作用型に分けられている。

 世界の喘息ガイドラインであるGINAの分類によれば、吸入薬の大半は短時間作用型と定義されている。長時間作用型は、従来から使われている経口β刺激薬に加えて、最近サルメテロールが吸入β2刺激薬として登場、貼付薬としてツロブテロールも使われており、これら経口薬、吸入薬、貼付薬が使い分けられている格好だ。

 β2刺激薬と喘息死の関係は、歴史的には68年にイギリスでイソプロテレノールの吸入濫用による喘息死が報告されたことに端を発する。その後、77〜81年にかけて、初めてフェノテロールと喘息死の増加がニュージーランドから報告された。当時、フェノテロールの販売と喘息死との関係は、販売量の増加とほぼ並行して喘息死の増加がみられたことから関与が疑われ、世界中で様々な研究が行われることとなった。

 89年には、フェノテロールが重症喘息患者の喘息死リスクを高めていることを支持するデータが報告されている。また90年には、フェノテロールを頓用すれば症状の寛解には有用であることが報告された。ただ、フェノテロールに限らず、β2刺激薬を長期的に連用すると喘息死の原因となるのではないかとの結論が出されている。

 94年には、吸入β2刺激薬を1カ月に1・4本以上使うと、急激に喘息死の危険性が高まるとの報告が出ている。これは、吸入β2刺激薬全体を通して、やはり過度の使用が喘息死に悪影響を及ぼすという成績が得られたもの。97年には、フェノテロールやβ2刺激薬全体に対して、むしろ吸入ステロイド薬の方が喘息死に与える影響が大きいとの成績が発表されている。

 こうした経緯から、国立療養所南岡山病院院長の高橋清氏は、「フェノテロールは増えているものの、喘息死亡は減っている傾向があり、吸入ステロイド薬の普及がβ2刺激薬の減少に関係している。吸入ステロイド薬の普及によって死亡率が低下し、管理も良くなったためにβ2刺激薬の使用が減ってきているのではないか」との見方を示している。

 90年代にフェノテロールの使用によって死亡した喘息患者のうち10人を選び、その使用状況を解析した結果によると、喘息死に至る2〜3カ月前から直前まで、非常に多量のβ2刺激薬を使っていたことが分かった。それもフェノテロールだけではなく、サルブタモール、プロカテロールといったβ2刺激薬の使用でも喘息死に至った患者が多くみられた。

 β2刺激薬を大量使用している患者では、吸入ステロイド薬の使用率が低いことから、β2刺激薬を使い過ぎて、かつ吸入ステロイド薬の使用が少ないと、喘息死のリスクを高める大きな要因になってくるわけだ。

 喘息発作を起こして死亡した患者の剖検肺の組織標本が調べられたところ、気道炎症と攣縮が非常に強い状態にあることが分かった。このような重篤な気道の変化は、炎症と攣縮があることによって起こるわけで、それに対して気管支拡張作用のあるβ2刺激薬ではなく、抗炎症作用のある吸入ステロイド薬を使うことが基本となる。

 つまり、気道の炎症と攣縮に対して、β2刺激薬を使うことで逆に悪化させ、効果もみられないという結果を招いてしまう。吸入ステロイドを使わなければ、気道の変化が起こりやすいということを考える必要があるようだ。

【長時間作用型「明け方の発作も抑制」】

 そうした中、長時間作用型β2刺激薬は、1日2回の吸入で呼吸を管理できる。従来の短時間作用型β2刺激薬、長時間作用型β2刺激薬について、朝夕のピークフロー値を比較したデータがある。短時間作用型β2刺激薬を1日4回吸入すると、夕方のピークフロー値は吸入効果により改善するものの、就寝前に吸入しても朝まで効果が持続しないため、朝のピークフロー値は悪化してしまう問題があった。

 その点、長時間作用型β2刺激薬を使うと、夜に吸入しても朝まで効果が持続し、良好なピークフロー値が得られる。高橋氏は「喘息患者の気道は、正常人と同じように見えるが、より朝方に気道径が細くなって喘息が起こりやすい状況になってくる。それを見据えて夜に長時間作用型β2刺激薬を使うと、夜中も朝も発作が出ない形になり、QOLの改善にも役立つ」とした。夜間や明け方に大きな発作が起こると喘息死につながりかねないからだ。

 β2刺激薬に過度に依存してきた反省から、β2刺激薬の気管支拡張作用に加え、ステロイドの持つ抗炎症作用があれば、気管支の炎症と攣縮を抑えて喘息全体を管理できるのではないかという発想が登場した。

 92年のデータでは、吸入ステロイド群とβ2刺激薬群で末梢血の好酸球数を調べる検討が行われたが、吸入ステロイド群だけに好酸球数の低下がみられている。β2刺激薬群では不変という結果であり、むしろ夜間に好酸球数が増加する傾向があった。その後様々な研究が行われたが、β2刺激薬には抗炎症作用がないことから、このデータを覆すような結果はみられていないのが現状である。

【薬剤耐性の落とし穴に注意】

 高橋氏は「β2刺激薬は、抗炎症作用がないことが一つの特徴でもあるので、気管支拡張作用しかないことを患者さんにしっかりと説明し、いくら気管支を広げても、炎症が広がっていけば発作が連続して起こってしまうという危険性を伝えなければならない」と語っている。

 さらにβ2刺激薬の落とし穴として、薬剤耐性が指摘されている。短時間作用型β2刺激薬の吸入を連用していると、肺機能の低下が起こり、気道過敏性も亢進してくる。喘息症状も不安定になるなど、薬剤耐性と考えられる状態になってくる。この状態でも吸入ステロイド薬を併用すれば、これらの症状がすべて回復し、薬剤耐性は解消される。

 長時間作用型では、気管支拡張作用が持続するため、見かけの症状ではQOLは改善するものの、背景に潜んでいる気道過敏性、炎症といった発作要因に対しては役割を果たさないことから、長時間作用型の単独使用は危険だということも言える。

 高橋氏は「薬剤耐性はβ2刺激薬にみられるということが落とし穴であり、このことも患者さんによく説明して、見かけ上の症状が良くなったということに安心して、その背後にある炎症を忘れてはならないということも伝えなくてはならない」としている。







MSNBC - Breathing easier with new drugs

A revolutionary new class of anti-asthma medications is helping victims of the disease to wheeze less, breathe easier and feel better.
Date: 14 Oct 1998, Size 26.4K, http ://www.msnbc.com/news/164047.asp Anti-asthma agents work well in about half of all patients Darlene Martin, 38, a registered nurse from Santa Monica, Calif., reaches for her asthma inhaler. Doctors hope new anti-leukotriene drugs will cut down on inhaler use.

What's your asthma LQ? Kids hardest hit by asthma epidemic Asthma rise: environment to blame?

For the mild-to-moderate patient, the use of symptom medication is reduced by one-fourth.

— DR. MARTHA WHITE
Institute for Asthma & Allergy

NEW STUDIES published in the last year show that the new drugs work well in about half of all asthma patients, and are useful regardless of whether asthma is mild, moderate or severe.
The drugs are called leukotriene receptor antagonists, so named because they block the production or activity of chemicals called leukotrienes that are involved in a specific pathway of inflammation that can cause asthma, said Dr. Robert J. Meyer of the Center for Drug Evaluation and Research at the U.S. Food and Drug Administration in Rockville, Md. Meyer spoke Thursday at an American Medical Association briefing on advances in treating and managing asthma.
“We’ve come to realize that asthma is a chronic inflammatory disease,” he said. “The airways become inflamed, boggy and red — very much like the skin of an eczema patient. This, in turn, causes the airways to narrow, or bronchospasm.
“Leukotriene antagonists get at this underlying inflammation, helping to prevent asthma attacks before they ever occur,” Meyer said.
To date, two of the new drugs — Accolate and Zyflow — have been approved by the FDA for patients with mild to moderate asthma, with at least two others nearing completion of the large clinical trials needed for approval.
“They are very effective in mild-to-moderate asthma and are well-tolerated,” Meyer said. “Some patients are able to stop taking inhaled medication with these pills.”
While the drugs are specifically indicated for patients with mild-to-moderate asthma, lung specialist Dr. Alfred Munzer finds they are particularly useful for patients with more severe disease. Once the FDA approves a drug for one indication, doctors are permitted to prescribe it for other uses as well. “As a practitioner, I’m particularly concerned about the patients with more severe symptoms who aren’t responding to their medication,” said Munzer, co-director of pulmonary medicine at Washington Adventist Hospital in Takoma Park, Md. Munzer, who estimated that he has prescribed anti-leukotriene agents to a few dozen asthmatics since their approval last year, said he has been able to help such patients achieve good control through combination therapy with inhaled corticosteroids.

Munzer would like to see the drug eventually replace inhaled corticosteroids — or at least allow him to lower their dose — as there has been concern about serious side effects associated with long-term use.
While the link had never been definitely proven, many parents are concerned about children’s growth being stunted by long-term use of corticosteroids, he said, noting that they’re a form of cortisone, a natural substance in the body that interferes with bone formation. And in adults, some studies have suggested that long-term use can cause cataracts or worsen the bone-robbing disease osteoporosis, according to Munzer.

OTHER PRACTITIONERS AGREE
“With Zyflow, for example, we are able to decrease the severe asthmatic’s use of medication for symptoms by 30 to 40 percent,” said Dr. Martha White, “and emergency room visits and hospitalizations by 60 percent.
“And for the mild-to-moderate patient, the use of symptom medication is reduced by one-fourth,” added White, head of the Institute for Asthma & Allergy in Washington, D.C.
By symptom medication, White is referring to drugs that an asthmatic patient takes, usually though an inhaler, during an attack. Called short-acting beta agonists and bronchodilators, the drugs relax the bronchial muscle, opening up the airway. While the drugs are useful for the person who has occasional asthma, they don’t prevent attacks or get at the underlying cause of the disease. For that, a patient must take steroids, cromolyn sodium and now, leukotriene antagonists, White explained.

So who should be taking these powerful new drugs?
First, they’re useful for the person with mild to moderate asthma who has been using an inhaler on an as-needed basis to open up the airways during an occasional attack, but has started having asthma attacks two times a week or more, White said.

The Washington allergist also agreed that the drugs should be added to the regimen of the person with severe asthma whose disease is not controlled despite treatment with the gold standard — inhaled steroids. “Steroids and these new drugs seem to have an additive effect in reducing symptoms,” she said.
For the 10 percent of asthmatics with aspirin-induced asthma, leukotriene-receptor antagonists can be a lifesaver, White said. “When a person with that type of asthma takes aspirin, there is decreased production of certain substances and enhanced production of others, including leukotrienes,” she explained. “These drugs block that response and restore normal breathing.”
For most people, the drugs are completely safe, though elevated liver enzymes have been observed, necessitating monitoring and in a few patients, discontinuation of the drug, White said. But they’re generally well tolerated.
And for a patient who can’t manage an inhaler or who has a “phobia” of the inhaler, they will be especially useful, Meyer said.






Leukotriene modifiers in the treatment of asthma[喘息治療におけるロイコトリエン・モディファイアー]

Anthony Sampson and Stephen Holgate
BMJ 1998; 316: 1257-1258. |[Full text]
■BMJ -- Sampson and Holgate 316 (7140): 1257
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BMJ 1998;316:1257-1258 ( 25 April )

Leukotriene modifiers in the treatment of asthma
Look promising across the board of asthma severity 

Leukotriene modifiers are an entirely new
class of asthma treatment, which have entered clinical practice in
1996-7 in several countries including Britain, Japan, and the United
States. Their development is an example of rational drug design
following the elucidation of leukotriene structures in 1979-80 and the subsequent confirmation of their pathophysiological role as
inflammatory mediators in asthma.1
There are two types of leukotriene modifier: leukotriene synthesis
inhibitors and cysteinyl leukotriene receptor
antagonists.2 Both are used to block the
bronchoconstrictor and pro-inflammatory activity of cysteinyl
leukotrienes within the asthmatic airway. Cysteinyl leukotrienes
(LTC4, LTD4, and LTE4) were
originally identified as long lasting smooth muscle spasmogens and
collectively termed "slow reacting substance of anaphylaxis"
(SRS-A). They are now known to be metabolites of arachidonic acid
formed by the 5-lipoxygenase pathway1
 and are produced almost exclusively by inflammatory leucocytes,
 especially mast cells, basophils, and eosinophils.
 The leukotriene receptor antagonists block
 the activity of cysteinyl leukotrienes at their receptors
(CysLT1) on bronchial smooth muscle and
elsewhere, while the leukotriene synthesis inhibitors block the
synthesis of all leukotrienes by interrupting the 5-lipoxygenase
pathway.2  
Cysteinyl leukotrienes are among the most potent constrictors of human
bronchial smooth muscle known, being 10-5000 times more potent in vitro
than other bronchoconstrictor agents such as histamine, prostanoids, or
platelet activating factor.
3 4
 When inhaled by normal or
asthmatic subjects, they cause sustained bronchoconstriction lasting
30-45 minutes. Asthmatic patients are hyperresponsive to the
bronchoconstrictor effects of cysteinyl leukotrienes, especially
LTE4. Their ability to impair airflow is augmented by
airway oedema, mucus hypersecretion, and reduced mucociliary clearance.
After a single dose, inhaled cysteinyl leukotrienes induce non-specific
bronchial hyperresponsiveness for up to one week.3 They
have been detected in the fluid from bronchoalveolar lavage and urine
of asthmatic subjects after inhaled allergen challenge and in the urine
after acute spontaneous exacerbations.
5 6
 Cysteinyl
leukotrienes are potent and selective chemoattractants for human
eosinophils
4 7
and may also be involved in airway remodelling in asthma, causing hyperplasia of bronchial smooth muscle
and airway epithelium.4  
The important contributions of cysteinyl leukotrienes to airway
dysfunction and eosinophilia in asthma have been confirmed by clinical
trials of leukotriene modifying agents.
2 8 9
 Although
first generation compounds such as FPL 55712 lacked potency and were
toxic, the second generation antagonists such as montelukast, pranlukast, and zafirlukast show much greater potency against inhaled
leukotrienes, while the synthesis inhibitors such as zileuton and
BAYx1005 can reduce leukotriene synthesis to negligible levels. 
Most early clinical trials of leukotriene modifiers in asthmatic
subjects have used the inhaled allergen challenge model to assess their
effect on the early bronchoconstrictor response and on the late
bronchoconstrictor response, which is associated with leucocyte influx
and increased bronchial responsiveness.10 Both types of
leukotriene modifier block the early response by 70-80%, showing that
cysteinyl leukotrienes released from mast cells are the most important
mediators of acute allergic bronchoconstriction.
2 8 9
 More surprisingly, they also consistently block up to 70% of the late
response, showing that late bronchoconstriction is mostly due to
cysteinyl leukotriene release, probably from infiltrating eosinophils. The eosinophilia itself is inhibited by leukotriene modifiers, suggesting that eosinophil influx is partly induced by the
chemoattractant activity of leukotrienes released during the early response.
In patients with asthma, leukotriene modifiers improve baseline
lung function and reduce bronchial hyperresponsiveness for several
months.11-14 Treatment with oral montelukast,
zafirlukast, or zileuton significantly improves many clinical outcome
measures, including night time awakenings, daytime symptom scores, and
use of 2 agonists.11-13 The size of these
effects is similar to that seen in patients treated with 400-500 µg
of inhaled beclomethasone daily. An anti-inflammatory effect is also
suggested by significant reductions in eosinophil counts in the
sputum and blood of asthmatic patients treated with montelukast or
zileuton, and by significant reductions in the use of
corticosteroids.
9 11
 
Present evidence suggests that these drugs may be especially useful in
defined patient populations.8 They are effective in
blocking bronchoconstriction after challenge of susceptible asthmatic
patients with exercise or cold, dry air, with a particularly dramatic
effect on shortening recovery time. They are also effective in blocking
adverse reactions to aspirin and other non-steroidal anti-inflammatory
drugs in susceptible asthmatic patients.15 Even in the
absence of exposure to non-steroidal anti-inflammatory drugs,
persistent severe asthma in patients sensitive to aspirin is associated
with chronic overproduction of cysteinyl leukotrienes, which may be
caused by a genetic anomaly in the luekotriene synthetic pathway.
16 17
Conversely, a subgroup of patients in whom
leukotrienes may play relatively little role in asthma pathophysiology
has been identified, reinforcing the need to target leukotriene
modifiers to appropriate patient groups for maximal
benefit.18  
Although most trials have been performed in patients with mild or
moderate asthma, some evidence suggests that leukotriene modifiers may
also be useful in more severe asthma, as their effects are additive to
those achieved with moderate or high doses of inhaled
corticosteroids.8 The corticosteroid sparing effects of
these drugs may prove to be important in reducing the side effects of
chronic treatment with oral corticosteroids. Although their
anti-inflammatory effects are likely to be less pronounced than those
of high dose corticosteroids, their excellent side effect profile and
their availability as oral drugs are likely to ensure that compliance
with treatment is substantially better than for inhaled
corticosteroids.  
While interrupting the leukotriene pathway offers a new opportunity for
treating asthma, the position of such drugs in the asthma armamentarium
has not yet been firmly established. Further effectiveness studies are
needed to determine the true value of this oral anti-asthma treatment.
From the available data, leukotriene modifiers seem to act across
the whole spectrum of asthma severity, although it will be important to
distinguish responders from non-responders.  
Anthony Sampson, LecturerStephen Holgate, MRC clinical professor. 
Immunopharmacology Group, Southampton General Hospital,
Southampton SO16 6YD

In:Holgate ST,Dahlen SE,eds.
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This article has been cited by other articles:
DRAZEN, J. M., ISRAEL, E.
(1998). Should Antileukotriene Therapies Be Used Instead of Inhaled Corticosteroids in Asthma? . Yes. Am J Respir Crit Care Med 158: 1697-1698
[Full text]
Other related articles in BMJ:
EDITOR'S CHOICE
Drugs: good, bad, and failing.
BMJ 1998 316: 0. |[Full text]






学会要旨集

日本アレルギー学会第9回春季臨床集会(1997年5月・幕張国際会議場)

冨岡玖夫学会会長からのご挨拶です
第9回日本アレルギー学会春季臨床大会について
学会プログラムのご案内
学会の宿泊,交通のご案内
第9回日本アレルギー学会春期大会抄録閲覧
アドレス:http://gakkai.dsh.co.jp
ユーザーID:  guest
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●ニュース・トピックス

●喘息抗体の共同開発

薬事日報:00/08/02  マゲイニン社(ペンシルベニア州)およびジェネンテック社は、六五五〇万ドルの潜在価値がある取引で、喘息に対するインターロイキン9(IL‐9)抗体を共同開発する。協力の条件として、ジェネンテックは最初にマゲイニンの普通株五%未満を額面以上の五五〇万ドルで購入する。さらにマゲイニンは六〇〇〇万ドルまでのマイルストーン支払いおよび開発基金を受け取る。

 両社は前臨床試験および初期臨床開発から第U相までを共同で実施する。ジェネンテックは第V相試験、製造及び販売を引き継ぐ。マゲイニンは米国内の利益を分配する代わりにジェネンテックの第V相試験及び行政申請費用を共同で提供する選択権を持つ。

 マゲイニンの喘息計画は分子遺伝学者ロイ・レビット博士がジョンズ・ホプキンズ大学での研究を携えて入社した一九九六年に遡る。喘息発作経路でのIL‐9および遺伝子の役割を支持する彼の前臨床試験データは複数の科学雑誌に広く公表されている。



●年少児用喘息治療薬 アストラゼネカ社

薬事日報:00/10/06  FDAはアストラゼネカ社の幼児及び年少児用の新喘息治療薬「パルミコート」レスピュールを承認した。同剤はブデソニドを有効成分とする吸入用懸濁液をレスピュールと呼ぶ一回分アンプル包装にした製剤である。同剤は生後12カ月の幼児に使用が認められた初めての喘息治療薬である。同剤は8歳未満児の喘息の維持療法並びに予防薬として設計された。同剤は水性薬液を圧搾空気で煙霧状にして吸入するジェット式噴霧器による使用のみが承認された初めての副腎皮質ホルモン吸入剤で、超音波式噴霧器は使えない。



●抗ヒスタミン剤のテルフェナジン錠、副作用で不整脈17件

1997/2/13、厚生省が「緊急安全性情報(副作用情報)」発信を指示。欧米では死亡例も。 ●「アレルギー性鼻炎」「気管支ぜんそく」「皮膚炎」などの治療薬として広く使われる抗ヒスタミン剤のテルフェナジン錠(商品名・トリルダン)の服用により、不整脈の副作用が日本国内で17件発生。欧米では死亡者も発生し、心臓疾患や肝臓疾患、他の抗生物質を使用中の患者は要注意ということです。
1997.2.13トリルダン錠(テルフェナジン)で緊急安全性情報!!(日本薬剤師会ホームページ)




●[中央社会保険医療協議会]  診療・調剤報酬改定の具体的方向を提示

薬事日報:00/02/04  中央社会保険医療協議会は二日に総会を開き、四月から実施される診療報酬改定の検討項目について審議した。
長期投与に関しては、@一般的な投与期間を、内用薬・外用薬とも十四日とするA長期投薬を可能とする薬剤と疾患の関係を整理するB新薬の長期投与適用の猶予期間を、二年間から一年間に短縮する――などの大幅な見直しを行うとしている。
一般的な薬剤の投与期間は、内服は既に十四日とされているが、外用薬は七日となっている。喘息の吸入薬などは、内服と同一成分であっても、七日分しか処方できず、一週間ごとの受診が必要であるなど、不合理な面が見られることから、外用薬も十四日分の投与を認めるもの。



Asthma drugs run into snags going to market[April 6, 1996]

By Michael Waldholz / Wall Street Journal Almost two decades ago, a Swedish scientist made a Nobel Prizewinning discovery that many researchers believed would quickly lead to a ...
Date: 20 Nov 1998, Size 7.2K, http ://www.detnews.com/menu/stories/42848.htm
By Michael Waldholz / Wall Street Journal

Almost two decades ago, a Swedish scientist made a Nobel Prizewinning discovery that many researchers believed would quickly lead to a new way to treat asthma.

It hasn't worked out that way. The efforts of four major drug makers to bring to market the first truly new asthma medicine in 25 years have been marked by failure, delays and the unsettling worry that the new treatments pose unacceptable risks for long-term users, especially children.

Last week the first of the medicines expected to reach pharmacies hit a new snag. Accolate, developed by Zeneca Pharmaceuticals Inc., was rejected by an advisory panel to the Food and Drug Administration, which asked for additional tests. Last October the FDA rejected a rival drug from Abbott Laboratories because of adverse side effects. And a few years ago, Merck & Co. had to shelve a promising entry at the 11th hour. Meanwhile, SmithKline Beecham PLC has dropped its effort and resorted to licensing a promising Japanese drug that is still in clinical trials.

These setbacks point up how hard it is to deliver -- in a safe and effective commercial form -- on the headlines that hail breakthroughs in medical science. Back in 1979, Swedish scientist Bengt Samuelsson identified a natural chemical produced in the body that helps spawn the severe, breath-shortening attacks that are the hallmark of asthma. The magnitude of the finding was affirmed three years later when Dr. Samuelsson, a biochemist at Stockholm's famed Karolinska Institute, was awarded a Nobel Prize.

Medicines already treated the symptoms of asthma, but Dr. Samuelsson's discovery offered a shot at attacking an underlying cause. He had stumbled on the workings of a body chemical in a class of molecules known as leukotrienes (pronounced luko-try-eens). Leukotrienes act as potent biochemical transmitters. They sense the presence of an unwanted allergen and spur the release of numerous disease-fighting molecules produced by white blood cells. That, in turn, causes airways to tighten, inciting congestion, coughing and wheezing.

The discovery "gave us a rational strategy for attacking the disease," says A.W. Ford-Hutchinson, vice president of research at Merck's Canadian subsidiary.

Merck and several other big pharmaceutical companies began racing to produce drugs designed to suppress the newly isolated chemical substance. Dr. Ford-Hutchinson joined Merck's Canadian effort in 1981, and helped produce the company's first asthma drug in the labs there in 1985.

The potential prize from these new drugs: sales of perhaps $1 billion or more by the year 2000. About 13 million Americans have some form of the disorder, and the problem is particularly common among youngsters. It is often induced initially by an allergic reaction to some environmental substance, such as a pollutant or cat hair, and deaths related to it are up 40 percent since 1982, the U.S. government reports. Current therapies -- such as inhaled medicines that relax constricted breathing passages and steroid-based inhalants to damp white-cell activity -merely make living with the illness manageable.

Now, after synthesizing tens of thousands of compounds and trying out hundreds of them in test tubes and on animals and people, the four big drug makers have finally reached the last stages of testing their new medicines.

Some doctors believe the new drugs will provide significant relief to millions of people with asthma. "For some, the new drugs have produced dramatic benefits," says Sheldon L. Spector, who has directed several drug trials at the University of California, Los Angeles, School of Medicine. He adds, though, that "for others, the impact isn't that great." That's because the causes and symptoms of asthma vary among patients and involve the interplay of many known and many still mysterious substances.

"None of these drugs cures asthma," adds James Fish, a research physician at Thomas Jefferson Medical College in Philadelphia. "But they are an advance because they act against an underlying cause of disease." They have the added advantage of coming in pill form instead of in inhalers.

But when the first of the drugs -Venzair from Merck -- reached advanced human tests in 1991, unexpected liver problems emerged. The side effects were "rare," Dr. Ford-Hutchinson says. "But even a small problem was considered unacceptable in a drug that would be used long-term." Merck then had to speed up development of another drug, named Singulair, that was in its pipeline. Both drugs block leukotrienes from transmitting the signals that cause inflammation, though, Merck officials say, Singulair has turned out to be more potent.

Meanwhile, researchers at Abbott Laboratories chose a slightly different route of attack. Their drug, Zileuton, actually shuts down the body's production of leukotriene. In a recent three-month trial, Zileuton "significantly reduced patients' reliance on (inhalers), allowed many to increase exercise and reduced attacks that awaken patients at night," says Elliot Israel, a physician at Brigham & Women's Hospital. His report of the test was published last week in the Journal of the American Medical Association.

"It helped me a lot, allowing me to jog without problems," says Suzanne McCarthy, a Boston nurse who was in the trial. But it also made her too nauseated to continue therapy. "I wish I could have kept using it," she says.

An FDA advisory panel last spring gave Zileuton a positive review, but the agency advised Abbott that a troubling rise in liver enzymes in some patents would require further testing before approval could be granted. Abbott says it still believes the drug will some day be marketed.

Zeneca Pharmaceuticals, a unit of the British company Zeneca Group, was optimistic that its Accolate drug would breeze through the advisory panel hearing last week. While the committee agreed that the drug was safe and effective, its members were worried by laboratory reports suggesting that using Accolate could make certain common drugs, such as the antihistamine Seldane, linger dangerously long in the bloodstream.

"We are confident we can overcome the (panel's) concern with studies that really shouldn't take long to perform," says a Zeneca official. Meanwhile, Merck and SmithKline have their fingers crossed. Their drugs will face FDA review early next year.



Asthma Drugs Best in Moderation

; Modest doses of inhaled steroids combined with other drugs control asthma as well as or better than high doses of steroids, while reducing the risk of side effects from long-term use. Steroids ...
Date: 21 Jan 1998, Size 10.9K, http ://archive.abcnews.com/sections/living/asthma1112/index.html

Fewer Side Effects, Too

Asthma afflicts 14 million to 15 million Americans, causing thousands of emergency hospitalizations and killing more than 5,000 people a year.

By Katharine Webster
The Associated Press
Nov. 12
— Modest doses of inhaled steroids combined with other drugs control asthma as well as or better than high doses of steroids, while reducing the risk of side effects from long-term use.

Steroids reduce the frequency of asthma attacks. But daily use
over a few years has been linked to osteoporosis and cataracts in
older adults and slowed growth in children. And the effects over
decades of use are unknown because the drugs are so new.
Two studies published in Thursday's New England Journal of Medicine looked at drug combinations that might allow asthma
sufferers to get by with lower doses of steroids.
"Taking two medications in modest quantities seems to improve
control of the disease while reducing the possible long-term side
effects," said Dr. Gilbert D'Alonzo, a professor of medicine at
Temple University in Philadelphia who was not involved in either
study.
Asthma afflicts 14 million to 15 million Americans, causing
thousands of emergency hospitalizations and killing more than 5,000
people a year.
Inhaled steroids—the first-line approach to treating moderate
or severe asthma—reduce the chronic lung inflammation that makes
it hard for patients to breathe.

Lungs Work Better

One of the studies looked at formoterol, an inhaled
airway-relaxing drug known as a long-acting beta-2-agonist,
in combination with the inhaled steroid budesonide. The study, led
by Dr. Romain Pauwels at University Hospital in Ghent,
Belgium,
involved 852 patients ages 17 to 70 at hospitals in Europe and
Canada.
After a year of treatment, patients getting formoterol and low
doses of budesonide had fewer symptoms, better lung function and
more asthma attack-free days than those getting moderate doses of
budesonide alone. However, the higher dose of budesonide was more
effective at preventing the most severe asthma attacks.
The combination of formoterol and a moderate dose of budesonide
proved to be the best treatment of all.
In the other study, researchers from the Imperial College School
of Medicine in London compared patients treated with high doses of
budesonide with those getting a moderate dose of budesonide plus
theophylline pills. Theophylline is known as a bronchodilator, relaxing the airways.

Combo Better and Cheaper

The combination treatment was just as effective as high-dose
treatment with the inhaled steroid alone, and was considerably
cheaper: $60 per month, compared with $100 for the high dose of
budesonide or $155 for a combination of moderate-dose budesonide
and a beta-2-agonist called salmeterol.
Formoterol is available in Europe but is still awaiting Food and
Drug Administration approval in the
United States. Salmeterol is
the only long-acting beta-2-agonist approved by the FDA. It has
shown similar results when used in combination with an inhaled
steroid, D'Alonzo said.
There are two distinct types of beta-2-agonists: Short-acting
beta-2-agonists, such as albuterol, are used for quick relief
during an asthma attack. Long-acting beta-2-agonists are taken
twice a day to prevent attacks but do not help during acute
episodes because they are slow to take effect.
Copyright 1997 Associated Press. All rights reserved. This material may not be published, broadcast, rewritten, or redistributed.

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Family Size Affects Asthma Risk



喘息治療薬の開発中止 大正製薬

 薬事日報:2003.6.2
大正製薬はこのほど、米国・エピジェネシス社と共同開発を進めてきた喘息治療薬「EPI‐2010」の開発を中止することを決めた。米国・英国で実施された前期フェーズU試験の結果、軽度喘息患者およびステロイド未使用喘息患者に関しては期待されるデータが得られたものの、ステロイド吸入剤を使用している中程度喘息患者では、十分な効果が確認できなかった。このため、重要な市場を獲得できないとして、両社とも開発中止の結論に至ったとしている。

●[大正製薬]  米国バイオベンチャーと提携「エピジェネシス社」

薬事日報:00/03/03  大正製薬は二月二十九日、米国バイオベンチャー企業のエピジェネシス社(ニュージャージー州プリンストン)と、喘息治療薬「EPI‐2010」の導入およびワールドワイドベースでの共同開発に関する提携契約を結んだ、と発表した。今回の契約はレクメド社(社長松本正氏)による紹介、協力による提携の第二弾(第一弾はファイブロジェン社の抗CTGF抗体、慢性腎不全適応)となる。
--------------------------------------------------------------------------------
 【喘息治療薬「EPI‐2010」の導入など】

 今回の合意で、大正製薬はエピジェネシス社から同新薬候補物質に関するアジア地域の開発・販売権を取得、欧米については両者で共有し共同開発を行うことになる。開発・販売権は上市後十二年間。また大正製薬は、今回の提携により今後の研究から得られる「EPI‐2010」の後継品等の権利についても第一交渉権を持つことになる。

 「EPI‐2010」はアデノシンA1受容体(喘息に関与すると考えられる生体内因子の一つ)のアンチセンス。エピジェネシス社は呼吸器疾患を対象としたアンチセンスを精力的に研究開発しているベンチャー企業。一方の大正製薬はアレルギー領域を戦略領域の一つに掲げており、今回の合意に結びついた。「EPI‐2010」は米国で今夏フェーズTに入る予定で、日本ではこの結果を見ながら2001年以降の臨床入りを考えている。

 既報の通り、大正製薬は二年前からベンチャーとの積極的な提携策を打ち出し、直近では一月六日にミレニアム社との喘息治療薬に関する共同開発契約を結んでいる。また、同月二十五日には武田薬品と海外共同開発で覚書を交わすなど、導入戦略、海外開発戦略が活発化している。



●[大正製薬/ミレニアム社]  喘息治療薬の共同開発で提携契約

薬事日報:00/01/12  大正製薬は七日、同社と米国バイオベンチャー企業・ミレニアム社が六日に喘息治療薬LDP‐977の共同開発に関する提携契約に合意した、と発表した。大正製薬は二年前から米国バイオベンチャーとの積極的な提携策を打ち出し、いままでに六社六品目の提携が行われている。今後もミレニアム社を含めて積極的な開発品の導入を進めていく方針である。
 LDP‐977は、気管支拡張作用と抗炎症作用を有する低分子5‐リポキシゲナーゼ阻害剤で、一日一回もしくは二回の経口投与で有効性を発揮することが期待されている。

 ミレニアム社は、ゲノム創薬のパイオニアの一つであり、バイオインフォマティクス、発現プロファイル、トランスジェニック動物、疾患プロセス解析等の総合的疾患遺伝子機能の解析等を得意としており、数品目の臨床開発段階の開発品を有している。
 大正製薬は、免疫・アレルギー領域を戦略領域の一つにしている。同社が喘息治療薬の開発に取り組むのは今回が初めて。
 今回の契約により、欧州、アジア地域の開発・販売権及び米国での第一選択権を大正製薬が保有し、今後、両社で具体的にワールドワイドでの開発方針を定めていく予定。

喘息薬の提携を解消 大正製薬、生化学工業

 薬事日報 2003.9.12
 大正製薬は8日、喘息治療を目的に開発していた抗CD23抗体「TS‐152」について、生化学工業との開発販売提携解消を決めたと発表した。糖尿病など自社開発の強化を進めてきており、開発優先度が低くなった米国ベンチャーとの共同開発について、見直しを進めている。今回の提携解消もその一環。一方、抗CD23抗体の開発販売権を持つ生化学工業側は、引き続き開発を進めるとしている。

 抗CD23抗体は、米国のアイデック社(カリフォルニア州)から生化学工業が欧州・アジア地域の開発販売権を取得しているもの。1999年に大正製薬が生化学工業と欧州・アジア地域での共同開発販売権を締結していた。アイデック社が99年に米国でIND申請を行い、現在、第T相臨床試験の段階にある。

 一方で、08年以降に具体的成果を得ることを目指し、自社開発の強化も進めてきた大正製薬は、今年度中に脳梗塞急性期に用いる「TS‐011」、2型糖尿病治療薬「TS‐021」、アトピー性皮膚炎治療薬「TS‐022」の自社開発3品目が、臨床試験を開始することになったため、改めて開発物質の優先度を検討。抗CD23抗体の開発を手放し、開発費を自社品に振り向けることにした。

 欧州・アジア地域で開発販売権を持つ生化学工業は、今回の解消について「特に開発に影響があるとは思っていない。今後も続ける」としている。同社によると、秋にも臨床試験の中間解析結果が出る見通しで、その時点で今後の開発について判断する。

● アストラゼネカが喘息薬シンビコートEU相互承認方式で初めて承認を申請

薬事日報:99/12/24  アストラゼネカは十五日、喘息の維持療法として吸入器(タービュヘイラー)にブデソニドとホルモテロールを含有したシンビコートを、EU相互承認方式の第一ステップとしてスウェーデンで承認申請したと発表した。

 同剤は抗炎症薬ブデソニド(パルミコート)と、即効性と長時間作用性の気管支拡張薬ホルモテロール(オキシス)を一つの吸入器に配合したもので、患者のコンプライアンスと簡便性を向上できるとしている。

 同社副社長で呼吸器・炎症領域の研究開発部門担当のコリン・レッドロップ氏は「ブデソニドとホルモテロールを新しい組み合わせで使用することで、抗炎症薬を単独使用したものと比較し臨床的に優れた喘息管理がもたらされると期待される」とコメントしている。



● 喘息治療でフォーラム開く−グラクソ・ウエルカム

薬事日報:99/12/08  グラクソ・ウエルカムの「ASTHMA FORUM ’99」が四日、東京内幸町の帝国ホテルで開催され、内外の呼吸器専門の医療関係者三三〇人が出席して、喘息治療の課題と吸入ステロイド薬による新療法の展開等を討議した。

 フォーラムは今日、気管支喘息の治療管理は抗炎症薬として吸入ステロイド薬が中心的な位置を占め、その普及もガイドラインの認知とともに専門医の間では拡大しているが、非専門医については、欧米に比べてかなり遅れている点を踏まえ、わが国が抱える喘息治療の問題点と、その解決策を考えるのが狙い。



● 英グラクソ・ウエルカムが喘息治療薬「ベントリン」販売動向を発表

薬事日報:99/09/13  英国のグラクソ・ウエルカム社は同社の喘息治療薬「ベントリン」(一般名・硫酸サルブタモール)が発売三十周年を迎え、同社は最近の販売状況、喘息の罹患状況などを六日発表した。

 同薬剤は短時間作用型の気管支拡張剤。喘息発作に伴う呼吸困難や喘鳴などの症状を速やかに緩和する。喘息治療に進歩を与えた薬剤として評価され、同時に安全性・有効性の評価も固まり、世界中で数百万人の患者が使用している。

 現在も短時間作用型気管支拡張剤市場で三七%のシェアを確保するなど、発売以来世界で第一位の地位を維持している。一九九八年度の売り上げは三億八〇〇〇万ポンド(約六八〇億円)で、同社の主要製品の一つである。

 日本では七八年に「サルタノールインヘラー」の名称で発売され、気管支喘息を初めとする気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩和に幅広く使われている。
 九八年十二月には噴霧剤としてCFCフロンガスに代えて、オゾン層破壊に影響のないHFA‐134aを使用した製剤を発売している。
 喘息の重症度はさまざまではあるが、成人の約五〜一〇%、小児の約一〇〜一五%が罹患し世界中で一億人以上の人が罹患していると考えられ、今後もさらに増加するとみられる。
 日本においても患者は三〇〇万人を超え、毎年約六〇〇〇人が喘息で死亡している。喘息患者やその家族に正しい知識や情報を提供するため「喘息デー」も発足、今年も四月から六月まで東京を拠点に全国で活動が展開された。



● 喘息治療剤「フルタイド」記念講演会開く [日本グラクソ]

薬事日報:99/03/03  日本グラクソは2月13日に都内のホテルで昨年11月発売した吸入ステロイド喘息治療剤「フルタイド」(一般名:プロピオン酸フルチカゾン)の記念講演会〔写真〕を開催した。
 フルタイドの日本における臨床成績、欧米における臨床成績が解説されたのち総合討論が行われた。

 宮本昭正東京大学名誉教授は、喘息は気道の炎症性疾患であるため炎症を取り除くことが有効であること、それにはステロイド剤が最右翼であるが、経口投与では副作用が起こり得ること、そこで局所投与である吸入剤が注目され、日本でも汎用されていることなど概況を説明した。

 フルタイドはドライパウダーの吸入ステロイド剤で専用の吸入器を使用する。
 従来から使われている吸入ステロイド剤で、エアゾール方式のプロピオン酸ベクロメタゾンが1日4回の使用であるのに対して、同薬剤は1日2回でよいためコンプライアンス(医師の指示通りに服薬すること)の向上が期待できる。また抗炎症効果がプロピオン酸ベクロメタゾンの約2倍であるため、服薬量も半量でよく副作用が低減されている点などが特徴。

 宮本氏は「日本では初めての粉末の吸入ステロイド剤の上市であり、初めは使い方の難しさが懸念されたが、実際には高齢者、若年者でも十分使いこなせることが分かった」と新製品への期待を語った。

 総合討論では英国のロンドン・チェスト病院のネイル・バーンズ氏に「それでもプロピオン酸ベクロメタゾンが使われている理由は何か」との質問があった。
 バーンズ氏は後発品もあるプロピオン酸ベクロメタゾンが経済的優位性をもつため現在でも広く使われていることを認め、「価格が同じなら皆プロピオン酸フルチカゾンを使うだろう」と答えた。
 また、使い分けについてバーンズ氏は、プロピオン酸フルチカゾンは、プロピオン酸ベクロメタゾンが有効でない患者にとっておこうという傾向があると指摘、難治の患者に高用量を投与したり、小児にのみ使われているとの英国の実態を説明した。



● ドライパウダー吸入ステロイド剤「フルタイド」 [日本グラクソ]

薬事日報:98/12/09  日本グラクソは十一月二十七日、吸入ステロイド喘息治療剤「フルタイド」(一般名・プロピオン酸フルチカゾン)を発売した。

 同薬剤は日本では初めてのドライパウダーの吸入ステロイド剤である。これまでの吸入ステロイド剤としてはエアゾール式のプロピオン酸ベクロメタゾンがある。

 専用の吸入器「ディスクヘラー」を使用する。吸入手技が素早く息を吸い込むだけでよいよう簡便化されているのが特長。従来は息を吸うのと同調させるように吸入器を操作する必要があった。

 投与回数もプロピオン酸ベクロメタゾンの一日四回から一日二回となっており、同社は服薬コンプライアンスの向上が期待できるとしている。

 作用面でも、プロピオン酸ベクロメタゾンの一・九倍の抗炎症効果が確認されている。そのため使用量は半量でよいため副作用も低減されている。

【服薬コンプライアンス向上へ】
 気管支喘息の基本的な病態が慢性の気道炎症であるとの認識が近年普及してきた。それに伴い世界的には喘息治療における吸入ステロイドの位置づけと重要性が高まっている。日本の喘息薬市場が約一三〇〇億円であり、吸入ステロイドはその九%程度のシェアと見られている。同社は日本ウエルカムと共同で販売促進活動を行うが、これまで吸入ステロイド剤を使っていない患者にも拡大することで吸入ステロイド剤のシェアを高めていきたい考えである。

 同薬剤は英国、米国をはじめ世界五〇カ国以上で既に販売されている。欧米での喘息薬市場に占める吸入ステロイド剤は三割程度とみられる。
 用法・用量は一回一〇〇μgを一日二回吸入投与し、症状により適宜増減、最大投与量は八〇〇μgとされている。
 薬価基準は「フルタイド50ロタディスク」五〇μg一ブリスター(一回使用分)三四円、「同100」一〇〇μg一ブリスター四六円二〇銭、「同200」二〇〇μg一ブリスター六二円八〇銭。
 薬価はプロピオン酸ベクロメタゾンを基準とし、製剤学的な工夫などにより既存の医薬品と比べて明らかに高い医療上の有用性が期待できることなどを条件とする有用性加算(U)が認められた。



● 喘息薬の噴射剤に代替フロンを使用 [日本グラクソ]

薬事日報:98/11/27  日本グラクソは二十日、気管支を拡張する喘息治療薬サルタノールインヘラー(一般名:硫酸サルブタモール)の噴射剤に代替フロンを使用していくと発表した。十二日付で承認内容の一部変更が認められた。

 毎回同量の薬剤を噴霧させるため噴射剤が使われる。噴射剤としては特定フロンが使われていた。
 特定フロンはオゾン層を破壊する物質として生産・使用はモントリオール議定書で厳しく制限されている。
 しかし、喘息や慢性閉塞性肺疾患などの治療用に使用されるエアゾール剤については、特定フロン使用量が他の産業と比べて非常に少ないことなどから使用は認められている。
 同社はいつまで特定フロンが使用可能か明確でないことから特定フロンに代わる噴射剤として代替フロン「HFA-134a」の使用を決めたもの。
 同社はまた、環境問題のほか患者の選択肢を増やす観点からもさまざまな吸入剤型の開発を進めているとしている。
 サルタノールインヘラーの噴射剤に代替フロンを使用した製剤は英国、フランス、オーストラリアなど一八カ国で承認されている。米国、イタリアなど三〇カ国以上では現在、承認申請中である。



● 気管支拡張定量噴霧剤 代替フロン採用−NBI

薬事日報:99/08/04  日本ベーリンガーインゲルハイムは、七月三十日から代替フロン(HFA‐134a)を噴射剤とする気管支拡張剤・定量噴霧式エアゾール剤「ベロテックエロゾル100」(一般名:臭化水素酸フェノテロール)を新発売した。

 これまで定量噴霧式エアゾール剤に使用される特定フロンは、技術的な面で他の代替成分への切り替えに時間がかかり、また同剤が喘息などの特定疾患の治療に不可欠という理由から使用が二〇〇四年までエッセンシャルユースとして例外的に認められている。

 独ベーリンガーインゲルハイム社では自社の定量噴霧剤を特定フロンから代替フロンに変更する研究を重ね、代替フロン使用の「ベロテックエロゾル100」の開発に成功した。同剤は一回噴霧中に臭化水素酸フェノテロール一〇〇μgを含有。用法・用量は通常一回二吸入となる。薬価は二〇mg一〇ml一瓶(噴霧回数:約二〇〇回)八四六・八〇円。



● DICが抗アレルギー剤を中外製薬と共同開発へ

薬事日報:99/04/19  大日本インキ化学工業(DIC、本社東京都中央区、社長奥村晃三氏)と中外製薬(本社東京都中央区、社長永山治氏)はこのほど、DICが保有している抗アレルギー剤(開発番号・TA‐270)の共同開発を進めることで合意したと発表した。今後、非臨床試験を実施し、二〇〇〇年から喘息およびアレルギー性鼻炎を予定適応として臨床試験を開始したいとしている。

 喘息病態治療においてはロイコトリエン(LT)の生合成を抑えることが重要になるが、同剤はそのキー酵素である5‐リポキシゲナーゼ活性を抑制する日本初の薬剤となることが期待されている。また抗アレルギー剤としては全く新規である一酸化窒素捕捉作用による効果も期待され、軽症から重症まで広範囲な適応になる可能性もある。  



● 小児喘息用空気清浄機 [ダイキン工業]

薬事日報:98/12/18  空調機器メーカーのダイキン工業は、十日から就寝時使用専用タイプの小児喘息用空気清浄機「バリアクリエール」を新発売した。

 医療器具ではないものの、光触媒一体型フィルターで清浄空気を微風にして前面に吹き出すことで、就寝時枕元で使用すれば、スイッチオンするだけで、すぐに顔の周りのアレルゲン量を平均で一〇分の一程度に抑える。これによって、アレルゲンを吸い込むことにより出る激しい咳き込みや目のかゆみを抑えられるので、安眠できる。

 寝ている間に使用することを考慮し、新型ターボファンの採用で、静音運転を実現したほか、十時間・八時間のタイマー運転もできるようにした。初年度一万台の販売を目標としている。価格はオープン価格。



● 気管支喘息治療剤「オノンドライシロップ」 [小野薬品]

薬事日報:00/01/24  小野薬品は二十日、気管支喘息治療剤「オノンドライシロップ(プランルカスト水和物)」を新発売した。

 一九九五年に同社が世界に先駆けて気管支喘息治療剤として承認を受けたロイコトリエン受容体拮抗剤であるオノンカプセルは、現在成人の気管支喘息の患者に幅広く使用されている。
 今回、新たな剤型としてドライシロップを開発。小児気管支喘息を対象とした臨床試験の結果、オノンカプセルと同様に喘息症状とともに肺機能に対する改善効果が認められ、昨年十月一日に承認されていた。



● 霧吹式ネブライザー「ネスコジェット」 [アズウェル]

薬事日報:99/04/14  アズウェルは、霧吹式ネブライザー「ネスコジェット」を8日に発売した。
 同品は喘息などの呼吸器疾患をもつ患者が、薬剤の吸入療法に用いる霧吹式の医療用具。目盛りつき霧化量調節つまみや照光式電源スイッチなど、これまでになかった新機能を取り入れ、より使いやすくなっている。

 霧吹式ネブライザーは、これまでコンプレッサーのOEM供給を受け、自社ブランドで販売を行っていたが、「ネスコジェット」はこれまでのノウハウを生かした初の同社開発商品。製造は同社千葉工場で行う。
 定価は3万6000円。初年度の販売は3億円(市場の約25%)を目標としている。



● 超音波式ネブライザ「NE‐U14」 [オムロン]

薬事日報:98/12/04  オムロンは、このほど高振動周波数で細かい霧を安定して噴霧する超音波式ネブライザ「NE‐U14」を新発売した。
 ネブライザは、吸入用薬液を細かい霧状に放出する吸入器で、主に喘息の治療や、大気汚染による慢性肺疾患、外科手術後の上下気道感染予防などに使用される。

 同品は、振動子と微細な穴の開いたメッシュ部の間に吸入用薬液を供給し、細かい霧を安定して放出する業界初の超音波メッシュ式を採用。また薬液検知センサが薬液の性状に合わせて振動を自動調節するので細かな霧の噴霧が可能で、薬剤を効率よく患部に到達させることができる小型軽量タイプ。
 価格は、三万八〇〇〇円。販売目標は年間三万五〇〇〇台。



● 経皮吸収型気管支拡張剤「ホクナリンテープ」が販売 [北陸製薬]

薬事日報:98/12/18  北陸製薬は十四日から経皮吸収型気管支拡張剤「ホクナリンテープ」を発売した。マルホと併行販売を行う。テープを一日一回、胸や背中などに貼ることで喘息患者の呼吸困難などの症状を改善できるのが特徴。
 有効成分は北陸製薬が創製した塩酸ツロブテロール。アドレナリンβ2受容体を刺激することで作用を発揮する。
 現在使われているβ2刺激剤は通常一日二〜三回服用する。同薬剤は胸や背中あるいは上腕部に一日一回貼るだけでよいため、患者にとっても簡便でのみ忘れもないことが期待できるなど、喘息患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の改善への貢献が期待できるとしている。

 製剤化にあたっては、日東電工の経皮投与型のDDS技術を採用した。テープ剤への加工は日東電工の東北事業所が行う。
 販売に関してはステロイド外用剤でマルホと併行販売の経験もあることやマルホの堅実な販売姿勢を高く評価しているためとしている。
 北陸製薬は同薬剤を同社の主力品として三年後には売上高三〇億円を見込んでいる。
 塩酸ツロブテロールは日本国内では錠剤、小児用のドライシロップや吸入剤が上市されている。海外ではアボット社やUCB社を通じてヨーロッパや中南米諸国で販売されている。
 ホクナリンテープの薬価基準は〇・五mg一枚七二円一〇銭、一mg一枚九八円、二mg一枚一三三円三〇銭。



● 吸入式喘息治療薬「アルデシン100D」−シェリング・プラウ

薬事日報:98/10/16  シェリング・プラウは十二日から、ステロイド吸入式喘息治療剤「アルデシン100D」を新発売した。

 同剤は一回の噴霧中に主成分であるプロピオン酸ベクロメタゾンを一〇〇μg含有。従来の一〇〇μg製剤の噴霧回数である六〇回の二倍に当たる一二〇回噴霧が可能となった吸入ステロイド剤としては国内で初めての製剤という。

 同剤の発売で、同社主力製品のステロイド吸入剤「アルデシン」のラインナップは従来の四製品(アルデシン、アルデシン100、アルデシンミニ鼻用、アルデシンAQネーザル)から五製品となり、アレルギー領域の治療において細かな対応が可能となったとしている。
 売上高は「五製品で約一〇〇億円」(同社広報課)を見込んでいる。










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■2007-------------------------------
1265★23/15★07.07.16★060★【短信】オマリズマブ(Xolair)によるアナフィラキシー/1pMLリソース:喘息薬MLリソース:喘息薬[個別薬剤]
■2006-------------------------------
1230★22/06★06.03.13★021★喘息治療薬レバルブテロールの定量噴霧式エアゾール製剤(Xopenex HFA - Sepracor)/2pMLリソース:喘息治療薬[1044_add]●MLリソース:喘息治療薬[個別薬剤]
■2005-------------------------------
1202★21/04★05.02.14★016★[短信]:Mucinex/1p[guaifenesin]MLリソース:喘息治療薬[個別薬剤]
1223-4★21/25&26★05.12.5&19★098★喘息治療薬モメタゾン(Asmanex Twisthaler)/2pリソース:喘息薬リソース:喘息薬[個別薬剤]
■2003 ------------------------------
1163★19/17★03.08.18★067★オマリズマブ(XOLAIR):喘息に用いる抗IgE抗体/2pリソース:喘息薬
■2002 ------------------------------
■2001 ------------------------------
1096★17/02★01.01.22★006★小児喘息治療薬ネブライザー吸入ブデソニド/2p(Pulmicort Respules)MLリソース:喘息治療薬[個別薬剤][mp_asthma2]
1102★17/08★01.04.16★031★喘息治療薬フルチカゾンとサルメテロールの配合剤/2p(Advair Diskus)MLリソース:喘息治療薬[個別薬剤][mp_asthma2]
1104★17/10★01.05.14★039★喘息治療薬ホルモテロール(FORADIL Aerolizer)/2pMLリソース:喘息治療薬[個別薬剤][mp_asthma2]
■2000 ------------------------------
1073★16/05★00.03.06★019★喘息治療薬/6pMLリソース:喘息治療薬
■1999 ------------------------------
1044★15/02★99.01.15★005★喘息治療薬/6pMLリソース:喘息治療薬
1054★15/12★99.06.04★051★喘息治療薬レバルブテロール/2pMLリソース:喘息治療薬[個別薬剤][mp_asthma2]
■1998 ------------------------------
1018★14/02★98.01.16★015★喘息に対するブデソニドTurbuhaler/2p1018追加メモ
1031★14/15★98.07.17★071★持続性の喘息に対するモンテルーカストナトリウム/3p1031追加メモ
■1997 ------------------------------
0995★13/05★97.02.28★018★喘息に対するジロートン
■1996 ------------------------------
0983★12/19★96.09.13★083★慢性喘息に対するプロピオン酸フルチカゾン
0990★12/26★96.12.20★111★喘息に対するザフィルローカスト
■1995 ------------------------------
0939★11/01★95.01.06★001★喘息に対する薬剤 /4p
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作成:1999.1.14 最終更新:2007.9.25 小菅博之
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●追加メモ to 1044,1073,1163,1265

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