飲酒運転周囲も重責 多賀城RV事故・同乗者に賠償命令
11月1日6時13分配信 河北新報
酒飲み運転のRV車が突っ込み、仙台育英高生18人が死傷した事故の損害賠償請求訴訟で、仙台地裁は31日、運転者だけでなく、同乗していた多賀城市の会社員男性(29)にも責任を認め、2人に賠償を命じた。事故をめぐっては、仙台検察審査会も「同乗者は危険運転致死傷ほう助罪に当たる」と議決した。飲酒運転の根絶に向け、ドライバーの周囲により重い責任を問う流れが加速している。(報道部・末永智弘)
仙台地裁は判決で、男性と運転者の佐藤光受刑者(28)=危険運転致死傷罪で懲役20年が確定=に、計約1億600万円を二遺族に支払うよう命じた。男性が事故以前にも佐藤受刑者が飲酒運転する車に同乗していた上、当日も佐藤受刑者と6時間近く一緒に飲んでいたことから、酒飲み運転を助長したと判断した。
酒飲み運転による事故で近年、刑事、民事を問わずドライバーの周囲の人が責任を問われる例が増加傾向にある。
東京地裁は2006年7月、飲酒運転で死亡事故を起こした男と一緒に酒を飲んだ会社の同僚と男の妻に「運転を制止する義務があった」として遺族への賠償を命じている。
今年9月施行の改正道交法では「同乗罪」「車両提供罪」「酒類提供罪」が新設された。東北でも既に郡山、登米両市で、ともに会社員男性が、一緒に飲食した知人に車で送らせたとして、同乗罪で立件されている。
仙台育英高生の事故では、仙台検察審査会が酒飲み運転ほう助容疑で書類送検された同乗の男性について「不起訴不当」と議決、「危険運転致死傷ほう助罪に当たる」との判断を下した。審査会が送検時より重い罪で起訴を求めるのは異例で、飲酒運転にかかわる行為に、市民の感覚が鋭敏になっていることを示したといえる。
事故を受け、宮城県議会が9月議会で制定した「県飲酒運転根絶条例」は、勤務先に従業員が飲酒運転で検挙された事実を通知したり、市町村に違反者数を伝えるなどし、地域全体で飲酒運転を監視していく意識の醸成を目指している。
訴訟の原告で、事故で娘の同校1年恵さん=当時(15)=を失った仙台市泉区の細井実さん(58)は、県議会で証言するなど条例制定にも大きな役割を果たした。「周りの努力や、注意し合うことで飲酒運転はなくせるはず」との思いからだった。
来年1月1日の条例施行に向け、県警は今後、条例に沿った具体的施策の検討に入る。飲酒運転者の周囲に向けられる目は今後、さらに厳しくなるのは間違いない。
1999年、飲酒運転の大型トラックに追突され、2人の娘を失った千葉市の会社員井上保孝さん(57)は「周囲も罰する法律ができ、かなりの抑止効果は期待できる。今後は飲酒運転の常習者向けの教育プログラムや再犯防止などのソフト対策の充実が急務だ」と指摘している。
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