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金大中事件 韓国外相「遺憾は遺憾」 日本、陳謝と解釈

2007年11月01日08時47分

 73年の金大中(キム・デジュン)氏拉致事件での日本への主権侵害をめぐり、高村外相に「遺憾の意」を伝えた30日の柳明桓(ユ・ミョンファン)駐日韓国大使の発言に対し、宋旻淳(ソン・ミンスン)外交通商相は31日、「遺憾は遺憾だ」とかわし、韓国政府としての謝罪を意味するかについては明言を避けた。日本は発言を「陳謝」と受け止めたが、複数の関係筋によると、世論を意識して謝罪の印象を薄めたい韓国と、一定の謝罪表明が必要とした日本が、ともに「遺憾」を都合良く解釈することで決着を図った。

 「大使発言は遺憾か謝罪か」とする韓国記者の質問に答えた。

 関係筋によると、当時の情報機関の関与を認める報告書が24日に公表されて間もなく、韓国政府は日本に「遺憾」を表明する方針を決め、日本側に伝えた。世論の反発を恐れて正面からの謝罪を避けたかった韓国は「遺憾には謝罪の意味がある」(韓国政府筋)。日本は「遺憾」を謝罪、陳謝と受け止めることで暗黙の了解ができた。

 だが、会談設定の段階で、日本は報告書の「日本の責任」の指摘を撤回するよう要求。「『遺憾』で国内世論を収めきれるか、双方とも見極めた」(関係筋)といい、当初26日に予定された会談は30日にずれ込んだ。

 会談で高村外相は「遺憾」を「陳謝と受け止める」と述べ、「日本の責任」部分についても「韓国政府の意見ではないですね」と念押し。柳大使は「私としてはそう思う」と応じ、決着した。

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