福田首相との党首会談の前々日、小沢民主党代表は与謝野前官房長官と囲碁をした。二人はかつて囲碁の師弟関係だったといい、師匠の与謝野氏は弟子に十五目半の大差で敗れたのに何やらうれしそうだった 囲碁は別名「手談(しゅだん)」と呼ぶ。石を打つ手で無言の対話をするからだ。旧知の碁敵(ごがたき)との勝負なら相手の心を読み取り、その日の体調まで分かる。知らない者同士が親しくなる手段でもあり、囲碁を名目に政財官の要人が密談するケースが少なくない 与謝野・小沢対局は公開だったから生臭い話ができるわけもなかったが、注目の政治家が大事な時期に交わした「手談」が単なる娯楽で終わるわけがない。一日おいて福田・小沢党首会談である 囲碁と違って非公開だったため「解散の布石」「大連立への一手か」と憶測を呼び疑心暗鬼が広まった。確かに小沢氏の変化は唐突であり、党首討論中止への非難は理解できる。が、対話が大事と言いながら中身が分からないと「密室談合」と非難するのには首を傾げる 世の中に「すべて公開」はあり得ない。政治の有段者?たちがそんな批判をするから聞く方が恥ずかしくなる。
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